本邦は超高齢化社会を迎え,ポリファーマシーは社会問題である.糖尿病患者は複数の合併症を抱え,ポリファーマシー発生リスクは高いことが推測されるため,糖尿病によるポリファーマシー発生リスクへの寄与について検討した.対象者は6,706人(DM群2,766人,non-DM群3,940人)だった.対象者全体のポリファーマシー率は48.1%で,DM群65.6%,non-DM群35.9%だった.ポリファーマシー発生のオッズ比は高齢者・eGFR低下で高くなる傾向にあり,糖尿病既往ありのオッズ比2.65(2.37–2.97)であり,75歳以上の高齢者におけるオッズ比3.09(2.69–3.55)に近い値を示した.65歳未満,65-75歳未満,75歳以上において糖尿病の既往の有無で分類したポリファーマシー発生のオッズ比は,いずれも non-DM群に比べDM群のオッズ比が高かった.本研究より,糖尿病はポリファーマシー発生のリスク因子であり,非糖尿病患者に比べ,65歳未満からもポリファーマシー発生リスクを上昇させることが明らかになった.チームとして糖尿病の個別化医療を行い,問題のあるポリファーマシーを適正化することが患者のQOLを維持し,糖尿病治療の目的達成に必要であり,薬の専門家として薬剤師が担う役割は重要であると考える.
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