くすりと糖尿病
Online ISSN : 2188-5885
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6 巻, 2 号
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原著論文
  • 石田 陽美, 津田 雅大, 佐藤 弘康, 石王 麻里乃, 門野 冴美, 小笠原 綾香, 三本松 泰孝, 和泉 秀明, 田村 広志, 小森 均
    2017 年6 巻2 号 p. 175-178
    発行日: 2017/12/20
    公開日: 2018/02/08
    ジャーナル 認証あり

    糖尿病診療ガイドラインでは2型糖尿病の合併症予防には厳格な血糖コントロールが必要であり,強化インスリン療法(BBT)を含めたインスリン治療を行うとされているが,具体的なBBT導入の基準は設定されていない.そのため2型糖尿病患者におけるBBT導入時に有効な指標や基準についてC peptide index(CPI)に着目し検討した.当院に入院した2型糖尿病患者のうち,退院6か月後のHbA1cが7.0%未満となっている患者を対象とし,対象患者は退院時の処方がBBTであった患者をBBT群,BBT以外であった患者を非BBT群とした.入院時に測定した空腹時血中Cペプチド,空腹時血糖を用いてCPIを計算し,CPIの値を0.1ずつ刻みそれぞれの点におけるBBT群を陽性として,感度と特異度を算出しROC曲線を作成した.ROC曲線から読み取ったカットオフ値は,CPI 1.1(感度63.9%,特異度93.3%)であった.本研究では,合併症予防のための目標値であるHbA1c 7.0%未満を設定して強化インスリン療法を導入する指標について検討し,CPI 1.1未満の2型糖尿病患者では強化インスリン療法の必要度が高いことが示唆された.

  • 堀井 剛史, 壁谷 悠介, 清水 淳一, 富田 益臣
    2017 年6 巻2 号 p. 179-187
    発行日: 2017/12/20
    公開日: 2018/02/08
    ジャーナル 認証あり

    本邦は超高齢化社会を迎え,ポリファーマシーは社会問題である.糖尿病患者は複数の合併症を抱え,ポリファーマシー発生リスクは高いことが推測されるため,糖尿病によるポリファーマシー発生リスクへの寄与について検討した.対象者は6,706人(DM群2,766人,non-DM群3,940人)だった.対象者全体のポリファーマシー率は48.1%で,DM群65.6%,non-DM群35.9%だった.ポリファーマシー発生のオッズ比は高齢者・eGFR低下で高くなる傾向にあり,糖尿病既往ありのオッズ比2.65(2.37–2.97)であり,75歳以上の高齢者におけるオッズ比3.09(2.69–3.55)に近い値を示した.65歳未満,65-75歳未満,75歳以上において糖尿病の既往の有無で分類したポリファーマシー発生のオッズ比は,いずれも non-DM群に比べDM群のオッズ比が高かった.本研究より,糖尿病はポリファーマシー発生のリスク因子であり,非糖尿病患者に比べ,65歳未満からもポリファーマシー発生リスクを上昇させることが明らかになった.チームとして糖尿病の個別化医療を行い,問題のあるポリファーマシーを適正化することが患者のQOLを維持し,糖尿病治療の目的達成に必要であり,薬の専門家として薬剤師が担う役割は重要であると考える.

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