土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
66 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
和文論文
  • 佐伯 竜彦, 竹田 光明, 佐々木 謙二, 嶋 毅
    2010 年66 巻1 号 p. 1-20
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,塩分浸透予測において適切に環境条件の影響を考慮できる手法の確立に資することを目的として,飛来塩分環境の定量評価について検討した.
     同一地点において,飛来塩分量の測定とモルタルおよびコンクリート供試体の暴露試験を行った.その結果,各地点の飛来塩分量は,地点個別の条件の影響を強く受けること,飛来塩分量とコンクリート内部への塩分浸透量には相関があることが明らかとなった.
     材料および配合がコンクリートの塩分浸透量に及ぼす影響は塩分拡散係数と固定化量によって評価することが可能であることを明らかにし,ある材料・配合の供試体の暴露試験結果から異なる材料・配合のコンクリートの塩分浸透量を推定できることを示した.さらに,それらの検討結果を利用した塩分浸透予測手法を提案した.
  • 山路 徹, 審良 善和, 濱田 秀則, 山田 一夫
    2010 年66 巻1 号 p. 21-37
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
     海洋環境下におけるコンクリートの劣化性状および劣化指標に関する検討を行うため,実港湾コンクリート構造物から採取したコアおよび自然海水中に長期間暴露された試験体を用い,ビッカース硬さ分布,中性化深さ,EPMAによる各種元素(マグネシウムMg,硫黄S,塩素Clなど)濃度分布,等の測定を行った.その結果,中性化深さとMgの侵入深さとの相関が高いことが確認された.一方,表面近傍でClの濃度が低下する範囲(ycl)と中性化深さの相関は必ずしも高くなく,yclは硫酸イオンの存在を表しているSの侵入深さとの相関が高いことが確認された.また,ビッカース硬さの低下が見られた範囲(劣化深さとみなす)とMgの侵入深さには良い相関が確認され,Mgの侵入深さが劣化指標となりうる可能性が示された.
  • 藤倉 裕介, 大下 英吉
    2010 年66 巻1 号 p. 38-52
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
     配合設計段階において,任意の使用材料の構成,水和反応過程,相組成に基づいてセメント硬化体の空隙構造を理論的に評価できる手法を構築するため,セメントの水和反応と各クリンカー鉱物の反応速度に基づいてセメントペーストの相組成を算定し,構成相における物質の粒度変化に着目した空隙構造の推定モデルの構築を試みた.また,提案モデルに基づいて算定した空隙構造と,水銀圧入法にて測定した空隙径分布を比較し,その適用性について検討した.その結果,相組成に基づいて算定された空隙構造は,水銀圧入法にて得られる空隙構造と類似した分布の傾向を示し,しきい径やインクボトル型空隙といったセメント硬化体の空隙構造の特徴を反映したモデルとして十分に適用可能であることが分かった.
  • 野間 康隆, 渡辺 健, 二羽 淳一郎
    2010 年66 巻1 号 p. 68-79
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,同一水セメント比下で,単位水量,単位細骨材量ならびに単位セメント量の質量比で表されるモルタル部の配合(以下,W:S:C),粗骨材種類ならびに粗骨材絶対容積に依存して高強度コンクリートの圧縮強度が変化する現象を確認した.これら高強度コンクリートの圧縮強度の変化現象を説明するため,デジタル画像相関法を使用した画像解析を実施した.ひび割れ発生に伴う損傷状況,すなわち画像解析より得られる載荷直交方向の横ひずみ拡大領域に着目して,高強度コンクリートの圧縮破壊性状の相違を考察した.横ひずみ拡大領域のうち,横ひずみが卓越する領域の分布状況や横ひずみ拡大領域の広さから,W:S:C,粗骨材種類ならびに粗骨材絶対容積に依存した圧縮強度の変化現象と圧縮破壊性状の関連性を示した.
  • 石田 剛朗, 河合 研至, 市場 大伍, 佐藤 良一
    2010 年66 巻1 号 p. 80-93
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
     速度論に基づいた高pH溶液中へのCO2ガス溶解モデルを構築し,実験的・数値解析的な検証を行なった.アルカリとしてNaOHを用いた模擬細孔溶液,および固相物質としてCa(OH)2を加えた模擬細孔溶液中へのCO2の溶解に関して,構築した溶解速度モデルを適用して数値計算を行った結果,pH等の実験値の挙動を概ね再現することができた.
     一方,気相に接する液相要素が瞬時にCO2の溶解平衡に達するとの仮定に基づいた平衡モデルと,溶解速度モデルとの数値計算結果の比較を行なった結果,気相のCO2濃度が低くなり実環境条件に近づくほど平衡モデルにおける仮定は成立しなくなり,実環境条件において CO2の溶解プロセスを律速しているのは拡散速度ではなく,溶解速度であることを示した.
  • 渡辺 健, 東 広憲, 三木 朋広, 二羽 淳一郎
    2010 年66 巻1 号 p. 94-106
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,載荷中の試験体の変形を画像解析を用いて計測し,有限要素の形状関数により算出したひずみの分布を示すことで視覚的に試験体の変形を捉えるという一連の作業を,載荷中に行うことができるリアルタイム画像解析システムを開発した.そして,鉄筋コンクリート(RC)はりの載荷実験を行い,目視では判別できない主引張ひずみを,リアルタイム画像解析を利用して可視化することで,載荷が進むに伴いひずみが集中する部位を評価した.そして,曲げ引張型および斜め引張型破壊といったRCはりの最終的な破壊形態を,載荷中に予測できることを確認した.
  • 小川 秀夫, 名和 豊春, 大矢 嘉津
    2010 年66 巻1 号 p. 107-118
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
     破砕処理で製造された再生細骨材は,クラック,空隙,気泡等の欠陥部が多く含まれていて脆弱である.本報告では,再生細骨材の欠陥部だけを選択的に除去するとともに,粒度分布や粒形状の改善を図ることを検討した.破砕作用があるジョークラッシャ,磨砕作用がある整粒機,両作用があるボールミルを用い,各粉砕機の作用機構と骨材品質の関係を評価した.その結果,磨砕作用のある整粒機またはボールミルにより,脆弱な欠陥部をある程度選択的に除去できること,及び粒度分布や粒形が改善されて実積率が向上することを明らかとした.
  • 皆川 浩, 久田 真, 榎原 彩野, 齊藤 佑貴, 市川 聖芳, 井上 浩男
    2010 年66 巻1 号 p. 119-131
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
     コンクリートの電気抵抗率は,測定方法が簡便・短時間・非破壊であること,および,塩化物イオンの浸透性の支配的要因であるコンクリートの空隙構造を間接的に評価できることから,塩分浸透性の評価指標として着目されてきた.しかし,電気抵抗率と塩分浸透性の評価指標である塩化物イオンの見掛けの拡散係数の関連性については整理が不十分であり,定量的な関係式は十分に把握されていない.本研究では,結合材の種類,水結合材比および骨材量が電気抵抗率及び塩化物イオンの見掛けの拡散係数に及ぼす影響を整理し,コンクリートの電気抵抗率と塩化物イオン拡散係数の関連性について検討した.また,Nernst-Planck式等から電気抵抗率と拡散係数の関係式を導出し,電気抵抗率から塩化物イオンの見掛けの拡散係数を定量的に推計する方法を検討した.
英文論文
feedback
Top