土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
64 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
和文論文
  • 依田 宏之, 相原 啓仁, 栗原 哲彦, 吉川 弘道
    2008 年 64 巻 2 号 p. 285-297
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,鉄筋コンクリート梁部材に対するせん断破壊メカニズムの解明を目的としている.修正圧縮場理論(MCFT)とファイバーモデル(FM)を併用したRC梁の非線形挙動の解析を行い,実験結果との比較·検証を行った.せん断力と曲げモーメントの相互作用に着目し,RC梁に作用する曲げモーメントの影響を等価軸力としてMCFTに考慮した.また,非接触変位計測による画像処理を用いて,変位のせん断成分·曲げ成分を分離·抽出した.その結果,直接変位計と画像処理による変形量は最大荷重まで合致した挙動を示し,直接変位計と画像処理による変形量の値は同等に扱えることが確認できた.
  • 田所 敏弥, 田中 浩一, 谷村 幸裕, 黒川 浩嗣, 服部 尚道, 室野 剛隆
    2008 年 64 巻 2 号 p. 298-313
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/21
    ジャーナル フリー
     地震時における構造物の安全性は,一般的に構造物全体系が崩壊しない性能と定義されるが,崩壊について精度良く照査するためには,大変形領域の地震時挙動を把握し,崩壊に関する限界値を適切に設定する必要がある.本研究では,本震,および余震を模擬した地震波による振動台実験を行い,大変形領域における鉄筋コンクリート柱の動的挙動について検討した.その結果,応答変位が,現行の設計法における限界値に達しても,構造物が崩壊しない場合があること,また,崩壊を免れても,地震波の位相特性によっては,余震で崩壊に至る可能性があることがわかった.このように現行の設計法では,構造物の崩壊を評価できない場合があるため,応答変位の振幅を照査指標とした安全性に関する新たな照査法を提案した.
  • 小澤 良明, 松井 邦人
    2008 年 64 巻 2 号 p. 314-322
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/21
    ジャーナル フリー
     舗装構造の非破壊試験法であるFWD試験とは,舗装表面に動的荷重を作用させ,その伝播波形を計測し診断する非破壊試験の一手法である.本研究の目的は,この伝播波形を理論的に求めることである.舗装を軸対称,円柱座標で示される多層構造体とモデル化を行い,各層の材料特性は,粘弾性モデル(フォークトモデル)で現せると仮定した.2つの調和ポテンシャル関数を用いて波動方程式を書き換え,Hankel変換とFourier変換を適用し波動方程式の解を求めている.なお,本理論解の妥当性を検証するため,ADINAで求めた応答と比較を行い,両応答の一致度を確認している.さらに作成したプログラムを使用して,ベッドロックのある舗装の応答解析を行い,その影響を評価した.
  • 細田 暁, 今野 拓也, 松田 芳範, 小林 薫
    2008 年 64 巻 2 号 p. 323-334
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/20
    ジャーナル フリー
     実構造物での暴露試験で,5年を経過して良好な吸水抑止効果を保持しているシラン系の表面含浸材2種類に対して,新設構造物のための最適な表面保護システムを構築するための基礎的な検討を行った.
     水セメント比が42%,50%,65%の3種類の配合に対して,含浸材を塗布する材齢,塗布前後の水分供給条件,型枠剥離剤の有無・種類などが,含浸深さと吸水抑止効果に及ぼす影響を調べた.
     含浸材を塗布する材齢は,吸水抑止効果と含浸深さに大きく影響した.吸水抑止効果を重視する場合は,より若材齢での塗布が有効であった.塗布前後の水分供給条件は,含浸深さと吸水抑止効果に大きく影響し,影響の仕方は水セメント比により異なった.実験結果に基づき,シラン系の表面含浸材を用いた表面保護システムについて検討した.
  • 山路 徹, 横田 弘, 中野 松二, 濱田 秀則
    2008 年 64 巻 2 号 p. 335-347
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/20
    ジャーナル フリー
     海洋環境下に位置する港湾RC構造物に対象を限定し,塩害に起因する鉄筋腐食照査を行う際に必要なパラメータである腐食発生限界塩化物イオン濃度Clim,表面塩化物イオン濃度C0および見かけの塩化物イオン拡散係数Dapについて,実構造物調査および長期暴露試験による検討を行った.Climについては,干満帯と海中部を再現した屋外水槽における長期暴露試験結果より,比較的湿潤した環境に位置している港湾RC構造物(桟橋上部工)においては2.0kg/m3とすることを提案した.C0については,桟橋上部工に対象を限定し,H.W.L. からコンクリート表面までの距離とともに直線的に変化させることを提案した.拡散係数については,普通ポルトランドセメントの場合,土木学会コンクリート標準示方書における予測値Dpに0.65を乗じた値を用いることを提案した.
  • 大野 俊夫, 渡部 貴裕, 万木 正弘, 渕上 学
    2008 年 64 巻 2 号 p. 348-360
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/20
    ジャーナル フリー
     極低温下におけるアスファルト材料は,温度応力に起因する低温ひび割れが発生する可能性があるが,アスファルト材料は使用する材料,配合,温度,載荷状態により物性値が大きく異なるため,その評価は容易ではなく,温度依存性などを考慮した評価方法の確立が課題となっている.そこで,温度応力を評価する解析方法について提案を行い,提案した粘弾性モデルを用いた温度応力解析の適用性について検討した.本温度応力解析は,温度や載荷条件などで変化する物性値を材料試験により求めて入力定数とする解析手法であり,本解析によってアスファルト材料に発生するひずみ履歴を再現できることを確認し,実構造物における温度応力による低温ひび割れの発生を評価する手法としての可能性を示した.
  • 三宅 淳一, 松下 博通
    2008 年 64 巻 2 号 p. 361-370
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/20
    ジャーナル フリー
     余剰ペースト理論によれば,余剰ペースト膜厚が最大になる細骨材率でスランプもほぼ最大になるとされるが,同膜厚の計算に水セメント比(W/C)は用いないため,W/Cの変化に伴いスランプを最大にする細骨材率が変化する現象は説明できない.本研究では骨材表面に付着しているペースト膜厚を考慮した指標による分析により,同変化現象は付着ペーストの膜厚がW/Cによって変化するため骨材粒子間の潤滑に寄与できるペースト量が変化することによるとの結論を得た.また,任意のW/Cと0.65の差に対してコンクリート標準示方書の方法により得られる細骨材率調整量を細骨材・粗骨材混合物の実積率が最大を示す細骨材率から減じることにより,そのW/Cにおいてスランプを最大にする細骨材率を推定できることが示された.
  • 幸左 賢二, 川島 恭志, 合田 寛基, 興梠 展朗
    2008 年 64 巻 2 号 p. 371-388
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究ではアルカリ骨材反応による損傷において,最も耐力低下に起因すると考えられる鉄筋曲げ加工部の破断現象に着目し,鉄筋破断メカニズムの解明を目的としている.本研究ではまず,曲げ加工による初期亀裂に着目し,鉄筋の違い(成分,節形状)による破断への感受性についての検討を行った.その後,実構造物を模擬した1/8スケールで種々の破断条件を設定した供試体を作製し,供試体内部に膨張コンクリートを用いることでASR膨張を模擬した実験を行った.その結果,使用する鉄筋や加工条件により初期損傷程度が変化すること,初期損傷程度が大きいほど膨張を受けた際,鉄筋曲げ加工部での損傷の進展が顕著となることを確認した.
feedback
Top