土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
65 巻, 2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
和文論文
  • 松下 博通, 佐藤 俊幸
    2009 年65 巻2 号 p. 149-160
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,硫酸イオンを含む地盤における住宅基礎コンクリートの劣化について取り上げた.建設当初は,表層地盤に含まれる硫酸イオンが低濃度であったにもかかわらず,建物基礎コンクリートが劣化崩壊した事例を詳説し,次に,劣化過程を明らかにするため,床下土および供試体コンクリートを用いた実証実験を行った.その結果,毛細管現象により水分とともに上昇した硫酸イオンなどの水溶性イオンが,地盤表層の床下土に濃集し,基礎コンクリート表面から水分とともに吸引され,コンクリート内で石こうやエトリンガイトなどの硫酸塩を生成するとともに,硫酸ナトリウムの結晶としてミラビル石が生成されることによりひび割れを助長し,膨張性破壊へと至ることが明らかとなった.
  • Xin XUE, 関 博, 広森 紳太郎
    2009 年65 巻2 号 p. 161-177
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
     せん断スパン比a/d,腐食対象鉄筋(軸引張鉄筋,スターラップ),鉄筋の腐食レベルなどをパラメータとしたRCはり試験体に関して,実験および解析で鉄筋が腐食したRCはりのせん断耐荷性状を調査した.その結果,スターラップの配筋比が0.39%,0.52%の場合,最大腐食減量率(平均腐食減量率の1.64倍程度)が35%程度以下では端部の定着不良あるいは極端な付着低下が発生しなければ,スターラップの腐食がせん断耐荷機構に及ぼす影響は少ないことを示した.一方,軸引張鉄筋の腐食に伴う付着低下は耐荷機構の変化をもたらし,せん断スパン比の影響が認められた.さらに,実験および解析結果に基づいて鉄筋腐食によるせん断耐力の算定式を提案し,既往の実験結果を概ね評価できることを示した.
  • 河金 甲, 佐藤 良一
    2009 年65 巻2 号 p. 178-197
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
     著者らが提案した収縮の影響を考慮した高強度RCはりの斜めひび割れ発生強度算定式を,新たに18体の供試体を追加して再度定式化し,特に圧縮鉄筋の影響の視点から再検証した.その結果,引張鉄筋に及ぼす収縮の影響により斜めひび割れ発生強度は低下したが,収縮の影響を考慮するための等価引張鉄筋比の概念を取り入れた提案式による計算値は実験値とよく一致した.また,等価引張鉄筋比の概念により収縮量の大きさに拘わらず有効高さの-2/5乗で寸法効果を統一的に評価できた.一方,曲げせん断域で収縮により圧縮鉄筋に沿う斜めひび割れが生じる場合には,斜めひび割れ発生強度の低下が圧縮鉄筋のない場合に比べて顕著になり,その低下は,圧縮鉄筋のかぶり部分を有効高さから除くことにより評価できる可能性のあることを示した.
  • 亀山 修一, 石田 眞二, 堀江 修一, 笠原 篤
    2009 年65 巻2 号 p. 198-207
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
     札幌市都心部では,昭和63年に策定された「ロマネット計画」に基づいて,景観を重視した歩行空間の整備が進められた.様々な材質やデザインの舗装材が歩道に用いられて美観性が向上した反面,すべりやすいとの苦情や補修が難しいなどの維持管理上の問題が生じている.本研究では,都心部の歩道105箇所で実施したすべり抵抗調査から,歩道のすべり抵抗の特性を明らかにするとともに,すべり抵抗が異なる歩道26箇所において歩行者によるすべり評価試験をおこない,歩道に求められるすべり抵抗を求めた.さらに,得られた結果を用いて都心部中心エリアの歩道のすべり抵抗分布を明らかにし,すべりやすい歩道が現在のまちづくり計画類で重要視されている軸上に多く分布することを示した.
  • 大津 政康, 中居 陽子, 大久保 太郎, 松山 公年
    2009 年65 巻2 号 p. 208-215
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
     インパクトエコー(衝撃弾性波)法に基づいてコンクリート内部欠陥の位置を断面部の画像化により検出するSIBIE (Stack Imaging of spectral amplitude Based on Impact Echo) 法を開発中である.この手法をプレストレストコンクリート構造のグラウト未充填部検出に適用した場合の現状の問題点を検討し,改良された手法について実証的に検討した.手法の有効性はモデル試験により考察し,未充填部のシースの大きさや部分未充填部検出の可能性を明らかにした.この結果,SIBIE法の適用により断面画像としてグラウト未充填部を検出する実用的な非破壊検査手法が提案できたと考えられる.
  • 寺口 秀明, 井上 晋
    2009 年65 巻2 号 p. 216-230
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
     筆者らは,開削トンネル等の地下構造物にPC圧着接合を用いたプレキャストセグメント工法を導入することを検討している.PC圧着工法に関する既往の研究によれば,一体型の接合部に比べ部材の繰返し荷重下の荷重-変形関係は原点指向の傾向を示し,復元力特性は優れているが,エネルギー吸収性能は劣ること,およびPC鋼材の付着性能が部材の荷重-変形関係に及ぼす影響がよりいっそう顕著になることが知られており,このことは前報の実験結果からも確認された.したがって,耐震性能の照査における限界値の算定に際しては,PC鋼材の付着性状の変化を考慮することが極めて重要であると言える.
     そこで,本研究では,前報の実験結果に対して解析的検討を加えるとともに,全体モデル実験を行い,解析手法の妥当性を確認した.
  • 大津 政康, 野口 翔, 飯笹 真也, 重石 光弘
    2009 年65 巻2 号 p. 231-237
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
     損傷力学に基づいてアコースティック・エミッション(AE)法のレートプロセス解析を適用し,コンクリートの定量的な損傷度評価法を開発中である.一方,衝撃エネルギーの応用技術に関して,高電圧のパルスパワーを利用した再生骨材の製造法を研究中である.そこで,原骨材の特性が不明な再生骨材コンクリートの場合に,その品質が損傷度として評価可能であるかについて検討した.
     その結果,再生手法の異なる場合に,再生骨材コンクリートの損傷度として粗骨材の品質評価が可能であり,パルスパワーにより製造された品質の異なる再生骨材を用いた強度や空気量の異なるコンクリートの場合にも,再生骨材の原骨材に対する品質低下が損傷度として評価可能なことを明らかにした.
  • 小澤 良明, 松井 邦人, James MAINA
    2009 年65 巻2 号 p. 238-248
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
     舗装表面に制動荷重が及ぼす影響を解析するとき,静的に水平荷重を作用させる.しかし実現象は,走行車のブレーキで舗装表面に作用する動的荷重である.そこで本研究は,動的な水平荷重による舗装の応答解析を目指している.舗装を構成する各層の力学特性をVoigt Modelと仮定し,変位を3個のポテンシャル関数で表しHankel変換とFourier変換を用いて理論解を誘導した.理論解の妥当性を検証するため汎用FEM (ADINA)と比較している.また動的水平荷重による舗装構造の応答を計算し,深さ方向および水平方向の伝播特性を明らかにした.また制動荷重の模擬を目指し,車両の制動時には鉛直等分布荷重と逆対称三角形分布荷重に加え摩擦力が舗装表面に作用すると想定し,摩擦力が舗装に及ぼす影響を評価した.
  • 宇治 公隆, 梁 俊, 新藤 竹文, 王 鋭
    2009 年65 巻2 号 p. 259-270
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,アルカリシリカ反応(ASR)劣化を生じたコンクリートの疲労特性の把握を目的としている.膨張率0%(基準),0.1%及び0.3%の3段階の劣化レベルを取り上げた.φ100×200mmの円柱供試体を作製し,膨張率0.1%及び0.3%用供試体については,材齢28日まで水中養生を行った後に,40°C,100%R.H.の環境で促進養生により所定の膨張率まで膨張を生じさせ,一方,膨張率0%の供試体については,材齢28日または91日まで水中養生を行い,それぞれ上限応力レベルとして静的強度の50%から80%の数段階で一軸圧縮疲労試験を行った.膨張率0%を含む,3段階の劣化レベルの供試体における上限応力比と疲労寿命の関係(S-N曲線)を把握し,ASRの劣化度をもととした圧縮疲労条件下における疲労寿命算定式を提案した.
  • 松本 信之, 涌井 一, 曽我部 正道, 岡野 素之
    2009 年65 巻2 号 p. 271-290
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
     鉄道構造物は,地震動に対して所要の耐震性能を有するのみならず,その上を走行する車両の走行安全性にも優れた構造であることが望まれる.鉄道高架橋において,地震時の車両の走行安全性を向上させる方策として,上部構造の軽量化による慣性力の低減,高架橋脚の高剛性化による横方向の固有振動数の向上および減衰機能の付加などが挙げられる.この高固有振動数と高減衰性能を実現する高架橋脚構造の一つとして,鋼製ダンパー・ブレース(ダンパー:低降伏点鋼の塑性せん断変形を利用)を付けたRC門型橋脚の開発を行った.静的水平交番載荷試験により,本構造を利用したRC門型橋脚は,高剛性,高降伏耐力および高減衰性能など,目的とする性能が得られることが分かった.本報告では,静的水平交番載荷試験結果および耐震性能に関する考察を示す.
和文報告
feedback
Top