目的:2016 年4 月14 日夜およびその2 日後の16 日深夜に最大深度7 を記録した熊本地震が発生し、これによって、50 人以上の死亡が確認された。災害が発生すると人は生活だけでなく、心身にも大きな負担がかかる。中でも災害が発生した地域の地方公務員は被災者であると同時に援助者にもなるため、特に災害の負担は大きいものとなる。本稿では、地方公務員に対しメンタルヘルスの維持のための支援を行う中で明らかとなった、彼らの震災後の様子について報告する。また、予防を含めた災害後のメンタルヘルスの維持のための適切な方法について考察を行う。
方法:被災地域の地方公務員188 名(男性119 名、女性69 名)を対象に、被災後のメンタルヘルスの維持のため、研修会を通じた支援を行った。支援の一環として質問紙調査も実施し、心身の症状および家庭と職場の状況がそれら症状にどのような影響を与えているか検証した。
結果:PTSD発症のレベルの深刻な症状を呈していた者は28 名(14.9%)いた。そのうち、過覚醒症状はすべての症状との関連が認められた。自尊心は震災後の心身症状に影響を及ぼしていなかったが、職場でのソーシャルサポートおよび家庭でのサポートが高いほど、心身の症状は軽かった。
結論:震災後の影響を軽減するために、望ましいソーシャルサポートの構築が必要であり、そのためにも、日ごろの人間関係が重要であることが示された。
抄録全体を表示