予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
6 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 根本 隆洋
    2021 年 6 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
  • 大久保 亮, 吉岡 貴史, 佐々木 洋平, 池澤 聰, 田淵 貴大
    2021 年 6 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルス感染症流行は、就労・学業・経済活動など社会に大きな影響を及ぼすとともに、多くの健康アウトカムや健康関連行動を悪化させている。我々はそうした社会や健康への影響を検討するために、JACSIS=Japan COVID-19 and Society Internet Survey(日本における社会と新型コロナウイルス感染症問題に関するインターネット調査研究)として、日本全国すべての都道府県から人口分布に合わせて2020年9月にサンプリングした28,000人を対象として調査を行い、その後も2021年2月、9月と縦断調査を行っている(https://takahiro-tabuchi.net/jacsis/)。2020年9月の調査から、新型コロナウイルス感染症流行下でメンタルヘルスが悪化する危険因子として、女性や若年とともに、低所得者と自営業、介護負担感の増加やドメスティックバイオレンス、そして新型コロナウイルス感染症そのものへの恐怖が重要な心理的不調の危険因子であることを示した。また居住環境に焦点を当てた解析から、メンタルヘルスの悪化が、新型コロナウイルス感染症患者発生の有無にかかわらず全国的な問題であり、特に人口密度が高い地域、貧困の度合いが高い地域であるほど、深刻であることを示した。心理的不調を来たす方の早期発見や支援、自殺予防は急務の課題であり、上記研究が少しでも参考になればと願っている。また、2021年2月の調査では、ワクチン忌避の実態を明らかにする研究を行った。ワクチンは感染収束の切り札として期待されている。ワクチン接種率を高め維持するための取り組みの一助になればと願っている。
  • 林 みづ穂
    2021 年 6 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルス感染症は、「新しい生活様式」をはじめとする感染予防のための日常生活ならびに家族関係の変化や経済的困窮など、さまざまな変化をもたらした。新型コロナウイルス感染症自体の精神的影響のみならず、随伴する日常生活変化などの影響もあい相まって、若年者には、うつ症状やストレス症状、自傷行為などがあらわれている。かつ、2020年の小中高生の自殺者数は、前年から25%増加した499人で、統計の残る1980年以降では最多となった。これらに対する支援としては、新型コロナウイルス感染症に関する正確な知識の周知を前提とした上で、本人や保護者らに対する心理教育や一般向けの普及啓発、支援者の人材育成、関係機関の連携、アクセスしやすい相談体制、生きることの促進要因を増やすことが挙げられる。今後は、ポストコロナをも視野に入れながら、自殺予防を含む若年者のメンタルヘルスの向上に、一人一人が立場を活かして努めることが求められる。
  • 西園マーハ 文
    2021 年 6 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
    【目的】 コロナ禍が、摂食障害の発症や受診状況にどのように影響しているか考察する。また、既に発症し て長期化した事例では、コロナ禍による生活の変化がどのように症状に影響しているかを知る。 【対象と方法】 日本摂食障害協会で、2020 年4 月15 日から同5 月7 日の外出自粛期と同8 月25 日から9 月11 日の自 粛解除期の2 回、当事者対象の調査を実施し、それぞれ278 名、193名の結果を解析した。また、日本摂 食障害協会アンケートの自由記述や臨床事例からの考察を行った。 【結果】 神経性やせ症、神経性過食症のどちらの病型でも、コロナ禍では、外出自粛期、自粛解除期のいずれ の時期においても症状が悪化する傾向が見られた。食行動だけでなく、その背景の精神症状の悪化も 見られた。しかし、中にはコロナ禍による生活変化が症状の改善をもたらした事例も見られた。休校 期には思春期の神経性やせ症の新たな発症も見られたが、比較的早期に受診する事例も見られた。 【結論】 摂食障害は、初発時の受診抵抗の強さや、長期化例における症状改善の難しさが知られているが、コ ロナ禍の生活の変化は、発症形式や受診行動、症状の在り方にも様々な変化を起こしている。今後は 平常時との比較を行い、早期の対応に生かしていくことが重要である。
  • 内野 敬
    2021 年 6 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
    精神疾患は5人に1人が経験し、その約75%は25歳以前に発症するとされている。自身のメンタルヘルス不調・精神症状に対して、若年者の多くは戸惑いを覚え、時に自身を責め、自ら援助希求行動に至るには極めて高いハードルがある。その結果、家族や友人、学校、職場、さらには社会から孤立することも稀ではない。そのうえ昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大、いわゆる「コロナ禍」の影響により、他者との物理的つながりのみならず、心理社会的なつながりすら希薄となっている若年者も多い。近年、精神科早期介入の一つの流れとして、若年者に向けた地域の早期相談・支援窓口を設置する試みが世界的にある。本邦においても、2019年より厚生労働科学研究費補助金 障害者政策総合研究事業「地域特性に対応した精神保健医療サービスにおける早期相談・介入の方法と実施システム開発についての研究(MEICIS)」の一環で、東京都足立区にワンストップ相談センター「SODA」が開設され、実証的な取り組みを行っている。SODAにおいて、オンライン面接を含め相談・支援を実施する中で、若年者の孤立・孤独がコロナ禍のため一層深刻化している様子が浮かび上がっている。
  • 高橋 由佳, 長岡 千裕, 今野 純太郎
    2021 年 6 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ禍)が及ぼす社会的影響は、社会的弱者の若者にも影響を及 ぼしている。特に、精神疾患へ移行する可能性のある若者、すでに精神疾患を抱えながら一般就労を目指す若者にとって、コロナ禍に起因する労働環境の悪化(解雇・失業率の増加)により、働く場を失いさらに生活の場を失ってしまうことによる症状の悪化などが懸念される。 彼らの就労形態の中には、非正規雇用かつ寮付き派遣の仕事が多く、解雇によって住居も同時に失って しまうケースも起こっている。生活環境の悪化によりさらに精神症状が顕著になることも懸念され、早期介入の必要性からもコロナ禍の中で、どのように早期に支援体制を構築し地域ならびにチームで支えていくべきかの段階になっていると考える。 一方、若者のリカバリーのスピードや可能性においては、筆者の支援機関での事例からも期待するところでもあり、彼らのストレングスを活かした支援スキームを、コロナ禍によって失われつつあるあたりまえの生活を取り戻すための就労支援のあり方を、どのようにカスタマイズしていくか本稿で考察した。 今後の雇用情勢にもよるが、大都市圏の求人と地方での求人の傾向から、さらに感染のリスクを回避する上でも生活の場を一時的に地方へ移行し就労支援を行いながら、安心安全な生活の場を提供していくことからスタートし、段階的かつ包括的な支援スキームを構築していく。
  • -大学保健管理センターの経験を踏まえて-
    西山 志満子
    2021 年 6 巻 1 号 p. 53-62
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルス感染症(Coronavirus disease 2019:COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2:SARS-CoV-2)による感染症である。SARS-CoV-2は一般的なコロナウイルスと同様、一本鎖のRNAをもつ。ウイルスが宿主細胞に侵入し、新たなウイルスを複製するために自身のRNAをコピーする際にエラーが起きると変異ウイルスが発生する。変異株の問題は、①伝播性の上昇、②病毒性の上昇、③ワクチン逃避、薬剤耐性である。日本ではワクチン供給の遅れや変異株の出現などにより、2021年6月後半からこれまでで最大規模となる第5波の流行を迎えているが、変異株であっても基本の感染対策が重要である。様々な制限を余儀なくされ、終息の時期を予測することが難しいコロナ禍の生活は、いつの間にかストレスが蓄積し、心の不調をきたしやすい。感染拡大を防止するため、大学においても入構制限を課すなどの措置がとられるが、学生・教職員のメンタル面の悪化を防ぐため、保健管理センターでは遠隔システムを活用し途切れのないケアを提供している。コロナ禍を乗り切るために、一人一人が心身の健康を意識した生活(食生活や睡眠、運動、メディア情報のコントロール)を心がけ、面会は叶わなくとも電話やオンラインを利用して人とのつながりを保ち、心の不調に気づいたときは早めに専門機関に相談する、コロナ明けの未来を見据えて生活してくことが肝要である。
  • 藤井 千代
    2021 年 6 巻 1 号 p. 63-64
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
  • 高橋 努
    2021 年 6 巻 1 号 p. 65-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー
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