キュウリなどの植物体に傷をつけると、その傷口から通常よりも非常に強いバイオフォトン(極微弱生物光)が発せられる。筆者らは、この現象を応用して、手かざしと呼ばれる非接触ヒーリング効果の定量測定を行ってきたが、その研究から切断したキュウリの自然発光には複数のメカニズムの存在することが想定された。本研究では、キュウリの生物光の発光機序を検討し、1)アスコルビン酸の酸化反応、2)スミレ葉アルデヒドなどの緑の香りの生合成反応、3)緑の香りの生合成反応に誘発される別種の生体防御反応の3種を主な発光起源と推定した。キュウリ切片に、α-リノレン酸、リノール酸、アスコルビン酸オキシダーゼ、脂質過酸化酵素を添加すると発光強度が増したことから、1),2)の反応系の発光が確認された。3)の反応の発光の確認と、1),2)の発光が自然発光に占める割合の同定が、今後の課題として残った。
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