小児の精神と神経
Online ISSN : 2434-1339
Print ISSN : 0559-9040
62 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 篠川 裕子, 高田 哲
    2022 年 62 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,幼児教育施設における保育所等訪問支援の活用実態と活用に影響する要因を明らかにすることを目的に,保育所等訪問支援を受け入れた経験の有無から分析を行った.兵庫県内の2つの市に設置されている幼児教育施設を対象に,保育所等訪問支援の活用状態,認識度,幼児教育施設内での支援内容などについて質問紙調査を行った.その結果,①保育所等訪問支援を受けたことがある施設は全体の35%であった.また,②保育所等訪問支援を受けたことがない施設の47%がこの支援について「ほとんど知らない」,「全く知らない」と回答した.さらに③保育所等訪問支援を受けたことがない施設では,特に発達が気になる幼児に対する支援内容,他機関との連携に不十分さがみられた.以上から,保育所等訪問支援の認識度の向上を図り,特に発達が気になる幼児に対する支援をサポートできる体制を構築する必要が考えられる.
  • 山口 穂菜美, 佐竹 隆宏, 井上 雅彦
    2022 年 62 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル 認証あり
    食後の嫌悪的な結果と食物による感覚的な特徴の回避という回避・制限性食物摂取症(Avoidant/Restrictive Food Intake Disorder:ARFID)様の症状を呈した自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)のある9歳の小児に対して入院にて心理教育とトークンエコノミー法を用いた行動的介入を行った症例を報告した.入院開始時,患児の摂食量は1日1口程度であったが心理教育と行動的介入の開始後徐々に摂食量および体重が増加したため149日目に退院となった.心理教育によって食後の嫌悪的な結果への対処行動を身につけたこと,トークンエコノミー法によって経口摂食の動機づけが高まったことが有効であったと考えられる.さらに,保護者を通した心理的介入を行ったことや,ASD特性に配慮した方略を用いたことが重要な役割を果たした.また,精神科医,小児科医,心理職の多職種連携を行ったことで,身体面,栄養面,行動面の多面的な治療を行うことができたと考えられる.
  • 山口 翔, 明翫 光宜, 上ノ薗 美樹, 辻井 正次
    2022 年 62 巻 2 号 p. 127-139
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,自閉スペクトラム症者が自己意識的感情である恥と罪悪感をどのように体験しているのかを明らかにする目的で9名の面接調査を行った.面接調査で得られたデータを分析し,8カテゴリー(「失敗の評価」,「失敗の認知」,「失敗の受け止め方」,「適応行動の獲得」,「記憶想起の特異性」,「罪悪感体験」,「恥/照れ体験」,「恥・罪悪感を抱く前提条件」)が生成された.各カテゴリー間の関係性の検討から,自閉スペクトラム症者は,恥と罪悪感に関しては失敗体験に直接付随する形で語られなかったこと,一方で記憶想起の特異性に関する問題が失敗体験に付随することが特徴であると考えられた.恥と罪悪感は,他者から褒められることに対する照れ(恥)や支援を受けることへの申し訳なさ(罪悪感)と関連して語られており,青年期の支援において自閉スペクトラム症者の自己意識的感情を視野に入れることが重要だと示唆された.
  • 山口 穂菜美, 井上 雅彦
    2022 年 62 巻 2 号 p. 141-150
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル 認証あり
    障害児通所支援におけるペアレントトレーニング(以下,PT)の実施状況に関する調査の二次分析を行い,医療型および福祉型児童発達支援センター(以下,センター)と児童発達支援事業所および放課後等デイサービス(以下,事業所)で行われるPTの実施と普及に向けた課題を検討した.その結果,実施プログラム,PT実施者,PTの評価についてセンターと事業所でおおむね共通した特徴がみられた.一方,運営やPTの対象となる子ども,PTを実施するうえでの困難については一部異なった特徴がみられた.課題として,障害児通所支援の職員に対するPT研修やPT実施者へのスーパーバイズの機会の増加およびPTを実施できる人員の確保,利用しやすい評価ツールの開発などがあげられ,センターがPT実施において中核的な役割を担っていくことが期待されることを指摘した.今後,PT実施に関する困難の背景や実態をさらに調査していくことが望まれる.
  • 篠川 裕子, 高田 哲
    2022 年 62 巻 2 号 p. 151-160
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,神戸市発達障害者支援センターで実施した居場所事業に継続的に参加した神経発達症の特徴を示す参加者を対象に,参加者の作業遂行能力の特徴を明らかにし,さらに自己評価の機会を活用し自己理解を促す作業療法支援の成果を検討することを目的とした.参加者の作業遂行能力は「手の中の物品の操作」「力の調節(力加減)」「動きの流れ(なめらかさ)」といった運動スキル,「説明書を読み理解して作業できる」「スムーズな動作,手順の開始」「道具や材料を整理し効率よく配置」といった作業処理スキルに不十分さがみられた.一方で参加開始時では「安全な物の取り扱い」「力加減の調節」といった作業遂行能力を過大評価する傾向があった.しかし,参加者の作業遂行能力の特徴に合ったさまざまな作業を経験し,他者からのフィードバックと自己の振り返りにより,終了時には過大評価が改善を示した.以上のことから,居場所事業での継続的な作業療法支援は自己理解の改善に影響したと考えられる.
  • ラッセル・A・バークレー(著),中島美鈴,井口萌娜(訳)
    平井 恵奈
    2022 年 62 巻 2 号 p. 175-
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル 認証あり
  • 中井 昭夫(編著),若林 秀昭,春田 大志(著)
    古荘 純一
    2022 年 62 巻 2 号 p. 176-
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル 認証あり
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