第2報に於いては中心温度が間もなく100℃に達し,その温度で大部の水分が蒸発する場合の乾燥機構を明かにした.しかし100℃迄温度を上げることの許されない多くの物質がある.水の沸点以下で乾燥の大部が行われる場合の高周波乾燥の機構を調べた.石鹸の乾燥は失敗した,粘土について中心温度を100℃以下に抑えて乾燥した.
(1)高周波勢力を適当に維持すれば試料を任意の温度に留めることができ,大部分の水を蒸発させることができる.故にこの乾燥法は100℃以下の制限を受けるものにも適用できる.しかも乾燥速度はかなり速く,熱風乾燥で同じ恒率乾燥速度を得るには空気の温度を遙かに高温としなければならぬ.(2)乾燥の機構を重量減少,温度分布及び水分分布から檢討した.(3)この場合の特性曲線も第2報の時と同じく,準備乾燥期間,恒率乾燥期間及び減率乾燥期間(第1段と第2段)が存在する.(4)水分分布は中心が100℃以下にある限り常に中心高く周邊の低い状態を示す.
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