米國の肥料事情の特色は耕地面積が非常に廣大であり,その割合に農事從業者の數が少いために大農組織こよる農作方式が採られていること,石炭,硫黄,燐礦石,加里,天然ガス等の主原料資源が豊富であるために,比較的良質で品質の一定した原料を使用していること。未開拓地がまだかなり多くて肥料の消費能力が今後一層向上する余地が充分あることである。したがつて肥料の製造方式においては比較的簡單で能率的なる方式や,大量生産に適する連續方式を採用する可能性が多い。また肥料取締規則は各州別にそれぞれ規定されているのであるが,いずれもこれらの事情に則した實際主義的なものにできており,要するに監督行政,製造方式,消費方式を通じて一貫した合理性が認められるのである。以下筆者が昨年視察に赴いた際に,米國の肥料工業とその裝置に關して氣の附いた諸点を一括して記することにする。
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