内径6.0cmのガラス製円塔に1cmの磁製ラシヒリングを105cm不規則充填して,水と数種の油を連続向流せしめ,水を連続相とする場合の溢汪速度を求めた。本報では水を連続相とする場合に限り,しかも塔,充填物,ノズル等の実驗裝置は変化させなかつたが,非連続相の油の粘度に主眼をおき,從來の研究よりも粘度の広い範囲(2.85~26.8c.p.)に亙つて実驗を行つた。連続相の流速は空塔断面積に対して大体0.44~18m/hr(=U
c)**,非連続相の流速は同じく,0.20~18.5m/hr(=U
d),両相の流速比は0.09~63(=U
c/U
d)の範囲であつた。実驗の結果,非連続相の油の粘度が大きくなるにつれてこの影響は無視できなくなり,溢汪速度式にこの因子を導入した方が良いことが判つた。よつてBreckenfeld氏ら3)が提案した(1)式に,非連続相の粘度の項(μ
d0.3)を入れで実驗結果を整理し,液粘度の高い場合にも適用できる溢汪速度式(2)を得た。たゞし(2)式は(1)式と同樣無次元ではない。
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