1) オウトウとモモの葉片に6種の薬剤を塗布し, 葉柄基部の脱離現象について組織解剖的に検討した。
2) 薬剤を処理した葉はいずれも落葉が著しく促進された。
3) 薬害による落葉の場合, 離層形成経過は自然落葉に比べて, 次の3つの異なる経過を示した。
a) PMA, CuSO
4, Ca-cyanamide, Nachromate等の薬剤を秋季落葉期近くに処理した場合, 自然落葉によく似た離層形成と葉柄基部の脱離が行なわれる。しかしオウトウの葉痕では保護層の形成が遅い。
b) 伸長期の葉に薬剤処理をした場合には, 自然落葉時の離層位置よりも葉柄側に寄つた部分に速かに木化層および離層を形成し落葉する。ついで第2次脱離が行なわれる。
c) 葉片切除区やエチレンガスにさらした区では各葉柄基部の離層形成には, ほとんど木化層や澱粉の集積等の現象が現われず, 直ちに離層形成が行なわれて脱落する。
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