1) 本試験はヘリココプター散布において液剤の同時防除効果を実証し, 実用化促進の資料を得るため, 紫波郡都南村の本田30haを使用して, 穂いもち病およびニカメイチュウ第2世代に対して試験を行なったものである。
2) 薬剤の付着についてみると, 風向 (飛行方向) 飛行高度などによって付着量に差があったが, 標準高度5m, 風速2m/sec程度の条件では, 巨視的にほぼ均一に散布ができる。高度8mでは明らかに付着量が減少した。
色素法によって間接的に計算した, 有効付着量は, 水銀0.5ppm, スミチナン8ppm, と推定され, 穂いもち病およびニカメイチュウの被害を, それぞれ5%以下におさえることができた。
3) ヘリコプター散布での薬剤の付着効率は35.9%でかなり高率であった。この付着効率と有効付着量から, 10a当り投下薬量を計算すると, 最低水銀が3g, スミチオンが49g (98cc) が必要である。
4) 散布液量については試験しないが, 落下指数や付着量のばらつきから, 3l/10a以下は無理で, 散布能率経費の点さえゆるせるならばむしろ多いことが望ましい。
5) 多数の圃場について, 被害防止効果を調査した結果は, 水銀またはブラエスM3gとスミチオン50g (100cc) の混合散布で, 実用効果は期待できる。エアーフミロンとプラエスMでは効果の差はないが, 薬害の心配もないエアーフミロン (PMI) が好ましい。
6) 稲株での薬剤の垂直分布は上部位が圧倒的に多く, この部位に発生する病害虫防除にに適しているが, 紋枯病のように中~下部に発生するものには効果が疑問視されるので検討の必要がある。
7) 散布効率は試験散布であったため, 44.6%にすぎなかったが, 包装単位の改良やまた実用化では50%には達するものと思う。
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