呼吸臨床
Online ISSN : 2433-3778
ISSN-L : 2433-3778
4 巻, 6 号
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投稿
  • 山原 美穂, 藤原 慶一, 下西 惇, 松浦 宏昌, 西村 淳, 尾関 太一, 萱谷 紘枝, 南 大輔, 佐藤 賢, 柴山 卓夫
    原稿種別: 投稿/症例報告
    専門分野: 腫瘍
    2020 年 4 巻 6 号 論文ID: e00102
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー
    症例は79歳女性,非喫煙者。EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌術後再発のため,エルロチニブによる治療を受け,その後T790Mが陽性となりオシメルチニブが投与された。ドセタキセルに続きニボルマブ投与を行ったところ,6サイクル終了時点で胸膜播種病変,肺転移の縮小を認めた。組織検体でPD-L1は陰性であった。EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性は乏しいとされているが,奏効する症例もあり,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬や細胞障害性抗癌薬の後にPSが良好であれば試す価値はある。
  • 森本 耕三, 土方 美奈子, Guo Tz-Chun, 宮林 亜希子, 山田 博之, 慶長 直人
    原稿種別: 投稿/レビュー
    専門分野: びまん性肺疾患
    2020 年 4 巻 6 号 論文ID: e00103
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー
    原発性線毛機能不全症候群(PCD)は主に常染色体潜性またはX連鎖性遺伝形式をとる先天性疾患の1つで,気道上皮細胞などに存在する運動性線毛や精子鞭毛の機能的障害を来し,臨床的には副鼻腔気管支症候群の特徴や不妊症,内臓逆位など呈する症候群をいう。気道クリアランスの障害により進行例では気管支拡張の進展により呼吸不全を来す。原因遺伝子はこれまでに40以上が知られており,近年新たな遺伝子異常の報告が続いているが,推測される全遺伝子異常の70%までしかカバーできていないとされている。診断には電子顕微鏡(electron microscopy:EM)検査や鼻腔NO測定など専門的な検査を必要とするため,診断が難しく,多くの患者が未診断の状態にあると考えられている。システマティックレビューから本邦ではこれまで主にEMのみを用いた診断が行われており,その解釈も欧米とは異なることが明らかとなった。われわれはPCD専門外来を開設した。これまでにびまん性汎細気管支炎でマクロライド療法不応例とされていた症例にDRC1の広範囲欠失をもつPCDが存在していることを報告した。アジア人に最適化した遺伝子パネルの開発を含め診断体制の確立により本邦の実態を明らかとし,患者支援活動に繋げることが望まれる。
  • 西木 慎太朗
    原稿種別: 投稿/症例報告
    専門分野: 免役・アレルギー・炎症
    2020 年 4 巻 6 号 論文ID: e00104
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー
    Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)を用いた気管支充填術は,気管支胸膜瘻に対する治療法である。症例は83歳,男性。7年前の初診時に左血性胸水貯留を認め,胸水分析で滲出性であったが原因の診断には至らず,経過観察されていた。7年後湿性咳嗽と血痰が出現し,胸部CTで左胸腔にニボー形成を認めた。気管支鏡で痰が舌区より出ていることを確認し,EWSによる気管支充填術を左B4とB5に施行したが,EWSの自然喀出と再挿入を繰り返した。審査胸腔鏡で瘻孔は確認できず,生検した胸膜には非特異的炎症所見を認めるのみで原因疾患は特定できなかった。左B4とB5に各々2個のEWSを縦列に挿入後はEWS留置が維持され,自覚症状が改善し,胸腔内の空気も消失した。EWSによる気管支充填術は,高齢者の慢性出血性胸膜炎に合併した気管支胸膜瘻に対しても安全に施行可能で,呼吸器症状改善に有効であった。
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