「総合的な学習の時間」への取り組みについては「総合性」の視点,「総合カリキュラム」の存在,「各教科」の横断的繋がりに対する学習者の自覚,「生活科」 との関連性という4点から捉える必要がある。本研究の目的は上記4点から小学校における「総合的な学習の時間」への取り組みを捉える必要性があることを論証するところにある。現在, 我が国で実施されている「総合的な学習の時間」の取り扱いが教科等への結びつきを含む学習の総合性への配慮を欠いている状況の中で, 筆者の考える「総合的な学習の時間」 の要点は学習の総合性にある。この目的を果たすために, 茨城大学教育学部附属小学校の「総合学習」実践記録の分析に基づき, 教科等との横断的繋がりを含む学習の総合性をもたせた「総合学習」 の存在を同実践記録において解釈する。そして, その解釈に従い, 精力的に進められてきた茨城大学教育学部附属小学校教育実践の構成要因でもある「総合学習」が,「総合的な学習の時間」の要点( 教科・生活科等との横断的繋がりを持った学習の総合性) を持った学習の場のあり方をすでに示していたことをさらに解釈する。この解釈を以って,筆者の考える「総合的な学習の時間」の要点が教科等との横断的繋がりを含む学習の総合性を持つところにあるということの論証とする。本研究の成果としては, 望ましい「総合的な学習の時間」への取り組みに関して,「各教科」と「生活科」との関わりと連携で総合的で統合的な能力が育成されることが期待される。
抄録全体を表示