教育実践学研究
Online ISSN : 2436-0945
Print ISSN : 1880-2621
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 西川 洋史
    2023 年 26 巻 p. 1-10
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/15
    ジャーナル オープンアクセス
    アンモニアは理科の様々な学習場面で扱われる重要な物質であり,実験で検出や測定を行うことは意義がある。アンモニア濃度の測定方法はインドフェノール法が一般的であるが,フェノールやペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウムなどの劇物又は毒物指定の薬品を使う。したがって,授業や探究活動でインドフェノール法を実施する場合は,より安全なサリチル酸ナトリウムや食品添加物として利用されるヘキサシアニド鉄(II)酸カリウムに置き換えた方法が教育的には適切である。しかし,この測定方法では,それぞれ異なる体積の数種類の溶液を混合するため,生徒にとっては極めて煩雑な実験である。そこで本研究では,より簡便に実験操作ができるよう,試験溶液をすべて同体積で混合する条件を検討した。具体的には,発色に大きな影響を及ぼす次亜塩素酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムについて様々な濃度を組み合わせ,検出するための濃度範囲を求めた。
  • 西川 洋史
    2023 年 26 巻 p. 11-20
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/15
    ジャーナル オープンアクセス
     教材用として入手可能な動植物プランクトンの永久プレパラート標本は,実物の調達が困難な際に極めて効果的な教材である。しかし,その種類は限られている。永久プレパラート標本を作製するには細胞・組織の固定や脱水・染色など様々な工程があるため,その準備は容易ではない。手芸用品店などで購入可能な紫外線硬化樹脂は,UVA波長(315~400 nm)の照射によって数分間で硬化する液体樹脂であり,初心者でも使いやすい素材である。本研究では,ホルマリン固定されたウニ幼生の液浸標本を紫外線硬化樹脂でプレパラートに封入し,その耐久性について評価した。その結果,約1か月にわたって蒸発が抑えられることを確認した。また,授業における演示用プレパラートとして使用することができた。本手法によるプレパラート標本は,微小な液浸標本を封入したものであるため「マイクロ液浸標本」と命名する。
  • 相田 直樹
    2023 年 26 巻 p. 21-28
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の目的は,高等学校公民科「政治・経済」の授業実践を通じて,生徒が日常生活の中で素朴に感じていることを経済学の諸原理と比較しながら学習していくことにあった。具体的には,マンキュー経済学の十大原理のうち,限界原理に焦点を合わせて,授業実践前後の質問紙調査及び中間考査における生徒の解答の分析を通じて,効果検証を行った。その結果,財を追加的に売る際の値下げに関する素朴理論が経済学理論へと変容する過程を確認することができた。具体的には,追加的に財を販売するときの限界費用と限界効用を比較した上で,後者が前者よりも大きければ,元の値段より安い値段でも販売するという経済学的に合理的な理論を生徒が持つようになる傾向を確認することができた。
  • ―三段階の心理教育的援助サービスの視点から―
    原田 恵理子
    2023 年 26 巻 p. 29-37
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,高校生を対象としたソーシャルスキル・トレーニング(Social Skills Training,以下SST)における教師による評定を工夫した実践報告である。SSTの実践において教師による評定がアセスメントの1つとして重要とされることから,学校心理学における三段階の心理教育的援助サービスの考え方に基づき,集団構成の特徴を把握する三段階の評定を授業前後に学級担任の教師が行った。その結果,教師による評価は簡易的なアセスメントとしての有効性と,教師のアセスメント力の向上に寄与することが示唆された。
  • ―特別支援学級自立活動における一考察―
    齊藤 太郎
    2023 年 26 巻 p. 39-44
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,エコスクール化に向けた環境教育に関して,小学校教育現場における教育実践を行い,その成果と課題をまとめた。エコスクール化に向けた環境教育の実践により,児童が学校施設や学校環境整備に対して興味を持つきっかけとなり,環境教育への興味や関心の高まりが見られた。また,エコスクール化に向けた活動を教材とすることで,児童への環境教育提供の充実につながることを明らかにすることができた。一方,本研究は特別支援学級の自立活動のみの実践のため,さらなる教育実践と検討の必要性が課題である。
  • ―グランドデザインの明確化とミドル・アップダウン・マネジメントを通して―
    山口 豊一, 折本 正巳
    2023 年 26 巻 p. 45-52
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/15
    ジャーナル オープンアクセス
     現在の学校は,「令和の日本型学校教育」の実現,いじめ・不登校の解消,多様化する保護者への対応,教員不足など数多くの課題を抱えている。文部科学省は学校経営の在り方の一つとして「チームとしての学校」を提唱し,その有効性は誰もが認めているが,学校現場において具体的にどのような工夫が有効であるかについては実証されていない。そこで,本研究では,学校の抱える様々な課題を,学校全体のチーム力を生かして解決するための学校組織マネジメントの在り方について追究していく。心理教育的援助サービスにおける,マネジメント委員会とコーディネーション委員会でのミドルリーダーの役割を重視した学校運営組織構築の有効性をもとに,グランドデザインの明確化とミドル・アップダウン・マネジメントの実践例を考察の対象とする。
feedback
Top