教育実践学研究
Online ISSN : 2436-0945
Print ISSN : 1880-2621
20 巻
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  • 山口 豊一, 奥田 奈津子
    2017 年 20 巻 p. 1-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,小学生の学校生活スキルと学校居場所感及び、学校適応感の関係を検討することであった.そこで,小学生375名に質問紙調査を実施し,有効回答347名を分析対象とした.学校居場所感と学校生活スキル及び学級満足度の性差と学年差を検討するため, 2要因の分散分析を行った.その結果,学校居場所感の「被受容感」は,男より女の方が高く,「心安らぐ空間」と「被受容感」は4年より5年が高かった.さらに学校生活スキルの「進路決定スキル」と「コミュニケーシヨンスキル」は, 4年より6年の方が高かった.また,学級満足度の「承認」は, 4年より5年と6年の方が高かった.よって,学校居場所感と学校生活スキル及び学級満足度の下位尺度の一部には,性差と学年差があることが明らかとなった.さらに,学校居場所感と学校生活スキル及び学級満足度の関連を検討するため,共分散構造分析を行った.その結果,学校生活スキルが高いほど,学校居場所感が高まり,学級満足度が高くなるという適合度の高いモデルが得られた.以上から,児童の学校生活スキルを高めることは,学校居場所感及び学校適応感の向上につながることが示唆された.
  • -TAPを実践している教師へのヒアリング調査をもとにー
    工藤 亘
    2017 年 20 巻 p. 13-30
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、TAPを実践している2名の教師が、TAPに対してどんな関心があり、どう認識しているかをヒアリング調査した結果から考察しまとめたものである。その結果は① TAPに関心を持った時期はTAPと出会った初期段階であり、管理職という視点とTAP体験から関心を持っている。② TAPは学級でのアイスブレキングと縦割りでの活動として導入していることがわかり、学級活動や授業で安心して過ごせる環境づくり・失敗を恐れずに挑戦できる雰囲気づくり・仲間づくりとして有効であることがわかった。そのために教師はTAPの考え方やアドベンチャーの理論を学ぶ研修が必要であり、時間や機会の確保が重要である。③縦割り活動でのTAPは学校行事と関連性を持たせ、活動後のふりかえりをすることで体験学習を意識し、継続的かつ計画的に実践することが重要である。④同僚の教師にもファシリテーションの考え方や役割などを知って欲しいと考えている。⑤ TAPの3つのコンセプトはあまり意識されていないことがわかり、tap・Teachers as professionals については学ぶ機会がなかった。⑥ Teachers as professionals は教師にとって、学級づくり・仲間づくり・チームづくりのために必要な考え方であると認識している。⑦アドベンチャーの理論は、教師として根本的に大切であると認識しており、学級経営等に活かすことができる。③TAPでの課題解決型の活動は児童生徒の成長のためには有効であると両教師ともに認識している。⑨ TAPの最重要課題は、ファシリテーターの養成であり、TAPセンターはこの要望に応えつつ、幼小中高まで、の系統的なカリキュラム・縦割りでのプログラム開発・対象者の特性やニーズに合わせたプログラム開発・現職教師との定期的な会議などを実施することが望まれている。
  • 一韓国コンジュ市における児童の交通に対する認識の分析を過してー
    大高 皇
    2017 年 20 巻 p. 31-45
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    モビリティ・マネジメント教育(以下「MM教育」と略記)は、モビリティ・マネジメント(以下「MM」と略記)の有効な手法として注目されるとともに、社会科教育の立場からもシティズンシップ教育の一手法として注目を浴びている。しかし、MM教育は総合的な時間などで単発的に実践されるに留まっており、その効果が限定的になっている。そこで、MM教育の実践の前提となる児童の交通に対する認識を明らかにすべく、乗り物の利用機会の増大、知識の蓄積、興味・関心の動向を韓国コンジュ市の小学生に対する質問紙調査等で分析した。その結果、先行研究が示唆する、交通機関の利用頻度・利用経験と興味・関心との相関は弱く、教科書や授業の内容と児童の興味・関心との対応の再検討の必要性が浮き彫りとなった。
  • 一「手品師」を事例として一
    板橋 雅則
    2017 年 20 巻 p. 47-57
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、従来の「道徳の時間」の「手品師」授業実践を取り上げ、学習指導過程の「展開」における発聞を分析し、その特徴と問題点を解明した。さらに、分析結果をふまえ、「特別の教科道徳」における「質的転換」をもたらす授業方法を開発した。従来の授業では、登場人物の心情を問う中心発聞が多くみられた。この指導方法の問題点として、形式化・画一化がなされている点、日常生活と君主離している点を指摘した。これらの問題点の克服をめざし、「特別の教科道徳」の授業において「問題解決的な学習」の導入を図ることを示した。さらに、授業において、道徳的判断力を育成するために行動・実践を問う発問を用いたうえで事後学習の充実を図る授業方法を提案した。
  • 林 尚示, 安井 一郎, 鈴木 樹
    2017 年 20 巻 p. 59-72
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,特別活動で社会的資質を育成するための教育課程と教育方法について海外の事例及び国内の事例をもとに検討を深めた.その結果,フランスや台湾での実践をもとにした社会的資質の育成方法の多様化について示唆が得られた.また,川崎市の事例のように,人権教育を基盤として社会的資質の育成を図る教育課程についての示唆が得られた.
  • 相場 博明
    2017 年 20 巻 p. 73-82
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    理科自由研究は,現行学習指導要領では扱われていない。しかし,小学校と中学校のすべての理科の教科書で取り上げられており,夏休みの宿題や自由課題として多くの小中学生が行っているのが現状である。そして,校内や地域ではその成果を発表するための自由研究作品展などが聞かれ,各種のコンクールなどもさかんに行われている。このように,自由研究が奨励され盛んに実施されていることは,その教育的効果を多くの指導者が認めているからと考える。しかし,その教育効果の具体的内容を児童・生徒の視点から考察した研究はあまりなされていない。本論では,実際に自由研究を実施したあとの児童ヘアンケート調査を実施しその分析より,理科自由研究の教育的効果について考察した。
  • ーキャリア発達段階と体験学習を踏まえた自己冒険カの育成を視座にー
    工藤 亘
    2017 年 20 巻 p. 83-99
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    キャリア教育についての理解を深めるため、キャリア教育に関連する歴史的背景や中央教育審議会答申の動向などを踏まえ用語と定義の整理を試みた。キャリア教育で育てたい力の中心は基礎的・汎用的能力を確実に育成することであるが、社会人や職業人として必要な基礎的な能力や自分の生き方を開拓し創造していく力(自己冒険力)が必要であると考える。これらの力を身に付けるためには、社会や職業との関連した実践・体験的な活動を充実させる必要があり、キャリア発達や体験学習を意識し、幼児期から高等教育までを体系的に進めなければならない。その過程において事前指導を充実させることは事後指導の充実につながり、その結果、職業観・勤労観の深まりにつながると考える。職業観・勤労観の研究は、高校生・大学生が研究対象として多数であり、教科・教科外で、のキャリア教育の導入やキャリア教育の動向の研究が多いことがわかった。職業観と勤労観は教え込むものではなく、各自が日々の生活や様々な体験などを通し自分なりに望ましい方向ヘ形成・確立していくものであり、自己冒険力はその一助となると考える。教師は、児童生徒の人生資源が豊富になり、豊かな人生や生き方が送れるように学校生活や生涯を見通したキャリア教育の実践が求められている。
  • 鎮目 千尋
    2017 年 20 巻 p. 101-118
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    この論文は、主権者教育の必要性と自身の実践について述べたものである。2015年に公職選挙法が改正され、選挙年齢が18歳以上に引き下げられた。今後は高校生も選挙に参加することになるため、学校現場で主権者としての自覚を育む必要性が高まりを見せている。実際の高校生に対して主権者を育てることを目的とした授業を行なってみると、様々な課題が見えてきた。今後の課題にも触れながら、主権者教育の重要性について述べていく。
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