群馬県内の知的障害者に対する医療体制作りの一環として、「群馬県知的障害者の医療を考える会」が発足し、その成果物の1つとして、知的障害者の医療受診をサポートするためのツールである「受診サポートメモリー」が群馬県より発行された。この「受診サポートメモリー」の配布後1年の医療受診者の利用実態を調査し、「受診サポートメモリー」による知的障害者への医療受診サポートの現状を把握することを目的に調査を実施した。その結果、「受診サポートメモリー」を持っているとの回答が7割を超えていた(70.8%)が、使っていないとの回答が9割近くを占めていることがわかった (88.1%)。その理由として、かかりつけ医に対応してもらっているが6割ほど(60.3%)となっており、既にかかりつけ医がいる場合には「受診サポートメモリー」が使用されていない状況にあることがわかった。また、定期的に通院していない場合の方が定期的に通院している場合に比べて受診サポートメモリーを使う割合が高いことがわかった。これらのことから、「受診サポートメモリー」は概ね保持されているものの、実際の利用にまでは至っていないことがわかった。またその理由として、かかりつけ医がいるというものが多く指摘された。しかし、定期的に通院していない場合の「受診サポートメモリー」の利用状況が定期的に通院している場合に比べて高いことから、医療受診が日常的ではない場合に「受診サポートメモリー」の必要性が生じることがわかった。
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