子音文字の視覚情報処理に関する基礎実験として、1 名のヘブライ語母語話者に表1 の視覚刺激1〜6 を呈示し、それらを黙読する指示を与えて事象関連電位を測定したところ、次の結果が得られた。①母音記号を付した刺激は母音記号なしの刺激よりもN170 の電圧が高い。②同一の文字列を1 形態素の語として読む場合と2 形態素の語として読む場合を比べると、前者よりも後者の方がN170 の電圧が高い。このうち①については、母音記号を付した刺激の方が形状的に複雑で、より多くの情報を処理する必要があるためだと考えられる。他方、刺激1 と刺激4 は同一の文字列で、唯一の違いは形態素の数である。したがって、施行Ⅰと施行Ⅳの電圧差 (上記②) は形態素数を反映すると考えるのが自然であろう。これは、子音文字が語根や接辞等の形態論的単位を書き記す文字であるという仮説を支持する結果だと言える。
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