Vol.1, No.1, pp.6-14, 2016
デザインプロセスを構成の観点で定式化する.このプロセスにおいて重要なのは(抽象,具象を問わず)デザインされたものごとの使用のフェーズである.それはサービスの提供のフェーズである.我々は「Xのサービス」を「X の提供と使用」として定義している.ここでX はものごとあるいは何らかのシステムである.サービス学会において提供者と使用者による価値共創が議論されることが多いが,我々は価値共創の概念はデザインにも当てはまると主張する.
我々はデザインや構成のプロセス(つまり構成的学問体系)をFNS ダイヤグラムとして定式化する研究を行ってきた.それは生成,(システムの)環境との相互作用,分析,創記の(そして生成に戻る)無限ループである.このループが無限である理由は,デザインという行為が,ある人工物を(個々の生成物は有限の生存時間しか持たないにしても)より望ましい状況に持っていくための,生成と改良の再帰的な終わりのない活動だからである.狭義のサービスは,このループに於ける生成と,生成されたシステムが使用に供される相互作用の部分に相当するが,広義のサービスはループ全体に相当する.「デザイン」を広義に捉えるとき,サービスはそのデザインプロセスの重要な一部となる.デザインされたシステムの提供と使用は,提供者と使用者のツインFNS ループとなる.
斬新なサービスシステムをデザインするとき情報技術(IT)が重要な働きをする.例として函館に於けるSmart Access Vehicle System のデザインと実装について報告する.
和文概要:中島 秀之 (東京大学)
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