布の吸湿過程では、吸湿により布温度が上昇し、温度差によって生じる大気の流れを観察することが出来た。その流れが吸湿の律速因子と考えられるので、繊維体積率と通気度の異なる絹布を試料として検討した。20°C, 65%R. H. の環境で繊維体積率を変えた絹布の吸湿と放湿実験を行い、それぞれの速度定数を比較した。その結果、吸湿速度定数の方が、放湿速度定数よりも、約2倍大きく、更に、吸・放湿速度定数とも、絶乾重量との積で表すと一本の直線で表され、布構造の影響は認められ無かった。しかし、吸・放湿速度定数を厚さの関係で表すと、綿状の不織布が、織物やニットなどの通常の布より著しく大きい速度定数を持つことが分かった。また、吸湿と放湿速度定数を、式を用いて推定し、比較的近い値を得ることが出来た。