精神看護学実習の準備や実習指導の資料とするために,精神看護学実習前後における精神障がい者に対するイメージの変化を明らかにすることを研究目的としてA大学看護学部3年生52人(全員女性)を対象に調査した。看護学生(以下,学生とする)の精神障がい者に対するイメージ21項目の平均得点とイメージの4因子「対人イメージ」,「行動イメージ」,「態度イメージ」,「意志のイメージ」の平均得点のそれぞれを精神看護学実習前後別に比較した。分析結果,精神障がい者に対するイメージ21項目の平均得点においては「つらい-楽しい」,「頼りない-頼もしい」,「消極的な-積極的な」,「内向的な-外向的な」,「臆病な-勇敢な」,「暗い-明るい」,「疲れた-元気な」,「不親切な-親切な」,「強情な-素直な」,「親しみにくい-親しみやすい」,「無気力-意欲的な」,「不安定な-安定した」,「弱々しい-たくましい」,「鈍い-鋭い」,「落ち着きのない-落ち着いた」の15項目のイメージ項目の平均得点において精神看護実習後は実習前より肯定的な方に有意に高かった(各p<0.01)。イメージ4因子の平均得点において4因子とも精神看護学実習後は,実習前より肯定的な方に有意に高かった(各p<0.01)。精神看護学実習における精神障がい者との接触体験によって,学生の精神障がい者に対するイメージは肯定的に変化するものと考えられた。今後の精神看護学実習準備や実習指導として精神障がい者に共感できる授業の工夫,行動の意味やその背景を考える機会をつくることの重要性が示唆された。
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