日本冷凍空調学会論文集
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早期公開論文
早期公開論文の23件中1~23を表示しています
  • 鄭 宗秀, 宮岡 洋一, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-20_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    産業分野においてさらなる省エネルギーを推進するためには,工場等のプロセスにおいて未だ利用価値のある蒸気等の余剰熱の再利用や,エネルギー効率の低いプロセスに対して変換効率の向上が強く求められている.このニーズに対する解決策のひとつとして,ヒートポンプ技術の導入が有効であり,排熱等を再利用可能な温度レベルに効率よく昇温することや,利用効率の低いプロセスへヒートポンプを導入することにより,プロセス全体の大幅な省エネルギー化が期待できる.一方で,実際にヒートポンプを導入する際には,プロセスの年間の運用計画に基づき導入効果をあらかじめ把握しておくことが重要となるため,従来一つの方法として,ヒートポンプの実機を試験的にプロセスに導入してエネルギー計測を実施し,効果を定量的に把握する手法が採られていた.しかし,この方法は多額の費用が掛かることと効果を把握するためには長期間必要になることなど,ユーザーが容易にできる手法とは言い難い方法である.そこで,数理解析を導入し,比較的容易にヒートポンプ導入効果を分析できる手法を確立することを目的として,本研究において様々な冷媒やサイクルからなるヒートポンプの年間導入効果を容易に解析できる汎用性のある解析ロジックを構築し,産業用ヒートポンプの導入効果を明確にするシミュレーション技術を開発した.

  • 第1報:冷房試験の結果
    宮岡 洋一, 水野 亜杜, ドンディーニ ダミアーノ, ジャンネッティ ニコロ, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-21_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    エアコンディショナーの性能は,JIS で規定された年間性能評価指標としてのAPF をはじめとして運転データ取得を簡略化するため,圧縮機の回転数を一定とし,制御系を除外した状態で取得された数点の運転データをベースに導出される.一方,実際の機器では当然,搭載された自動制御によって,圧縮機の回転数や膨張弁開度などを適切に変化させながら運転されるため,この方法では実運転性能と大きく乖離することが指摘されている. そこで,本研究ではエアコンディショナーの動的性能を評価可能な新しい手法を確立することを目的とし,建物や室内外環境など任意の環境を疑似的に計算可能なエミュレーターと性能試験装置から構成される「エミュレーター式負荷試験装置」を新たに開発した.本稿では,「エミュレーター式負荷試験装置」を用いて空調機の動的試験を行い,本試験手法の反復性を検証した.また,ラウンドロビンテストとして,同一の空調機を3 つの異なる試験装置を用いて試験を行い,本試験手法の再現性の検証を行った.その結果,試験の再現性が検証でき,本試験手法による空調機の動的性能評価手法の有効性が確認できた.

  • 秋澤 淳
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-27_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    冷凍機は機種によって燃料消費の部分負荷特性が異なる.異なる部分負荷特性を持つ機種を組み合わせて運用する場合,どのような運転が望ましいかは部分負荷特性に依存するため,必ずしも明らかではない.本研究では異なる部分負荷特性を持つ2台の冷凍機を対象に,燃料消費量を目的関数として設備の運用をモデル化し,冷凍負荷を一時間帯としたケースについて解析的に最適解を導出した.また,その過程で一方の冷凍機が優位となる条件,両方が共存する条件を明らかにした.さらに,部分負荷特性を二次関数で表したときのパラメータ空間において,それぞれの冷凍機が優位となる範囲を導いた.理論解に基づき,圧縮冷凍機と吸収冷凍機の部分負荷特性の事例を用い,優位となる条件の数値例を示した.

  • 徐 祥源, 前城 裕太, MIKSIK Frantisek, THU Kyaw, 宮崎 隆彦
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-25_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究で吸着材に使用した粉末状活性炭(MSC-30)は,吸着材としてよく使われてきたシリカゲルより比表面積が大きく,さらに大きな吸着量が得られると期待される.吸着質には地球温暖化への影響が非常に小さい低GWP 冷媒のR 1233zd(E)を使用し,その吸着特性を同じ低GWP 冷媒のR 1234yf と比較した.本研究の結果から,単位質量あたりの吸着量および平衡状態に至るまでの吸着速度ともにR 1233zd(E) がより優れた結果を示した.なお,吸着相における体積変化を理論的に考慮したモデルで吸着熱を予測した結果,ほぼ同程度であった.吸着特性に関するこれらの基本情報は,機能性活性炭をフロン類の回収,分離,再生に活用するための基礎情報として高い有効性を有する.

  • 松﨑 駿, 堀部 明彦, 山田 寛, 磯部 和真
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-26_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では0 ℃以下の温度域において流動性を保持しながら潜熱の吸収,放出が可能な相変化蓄冷材の生成を目標とし,分散媒として濃度50 mass%のエチレングリコール水溶液を,相変化物質として融点-9.6 ℃Dodecane を採用した潜熱エマルションを生成した.実験の結果,界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートとソルビタンモノオレエートを採用しD 相乳化法を用いることにより,平均粒子径が0.24 μm 程度の微細なOil-in-water エマルションの生成が可能と判明した.試作試料の評価実験を行った結果,長期間乳化状態を維持し,相変化物質が凝固した状態でも流動性を保持することが可能であるということが明らかになった.また,示差走査熱量計による測定結果より,60 mJ/mg 程度の融解潜熱を有すると判明した.

  • 髙橋 幸成, Jubair A. SHAMIM, 徐 偉倫, 崔 埈豪, 大宮司 啓文
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-19NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,様々なマイクロピラー構造を有する超撥水性表面を用いて滴下されたfakir 水滴の蒸発による濡れ転移挙動と,凝縮水滴の濡れ転移挙動について実験的に調査した.超撥水性表面のマイクロ構造の耐久性を高めて再現性を確保するために,ダイヤモンドライクカーボンが用いられた.本研究の主な成果として,デピニング力が小さくて滑りやすい超撥水性表面においては,蒸発によって水滴の直径が0. 37 mm 以下となるまでCassie-Baxter 状態からWenzel 状態への濡れ転移が抑制されることを明らかにした.マイクロピラーのピッチとピラー幅を適切に選択することで,三相接触線長さが短くなり,デピニング力は小さくなった.さらに,凝縮した水滴の濡れ転移を防ぐために超撥水性表面の表面構造を改良した.マイクロピラーを囲む壁を追加し,ナノ粒子コーティングによって階層粗さをもたせた.この新しい表面構造では,凝縮水滴が成長し,隣接する水滴と合体して900 µm 以上の大きさになるまでの一連の凝縮過程において,濡れ転移を抑制することを確認した.この表面は滴状凝縮及び着氷防止に対してより優れた性能を示すことが期待される.

  • 服部 皓大, 吉田 幹男, 佐藤 哲也
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-22_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    極低温熱交換器での着霜は,極低温燃料の冷熱活用の障壁となっている.極低温下ではミスト生成を伴うため,現象の複雑さゆえ十分に霜形成メカニズムが解明されていない.そこで,本研究では強制対流下の冷却平板上での霜形成を対象に,レーザーシート光源を用いたミストの可視化観察とマクロレンズを用いた霜結晶の観察,霜質量や霜形状,ミスト層高さの定量計測を行った.ミストは冷却面温度が-75℃以下で観測され,冷却面温度が低いほどミスト生成時間が長く,質量低下や霜形成への影響が大きいことを定量的に明らかにした.ミストが生成する場合には,ミスト堆積で霜が形成され始めるが,やがて霜形成とともに表面温度が上昇し,昇華凝結での霜形成へと遷移することがわかった.

  • 諸隈 崇幸, 大久保 英敏, 川森 重弘, 廣谷 俊樹
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-12_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    沸騰冷却熱伝達の向上を目的として,直径d = 25 mm の無酸素銅球表面に自然対流下で生成・成長させた霜層を被覆層として用い,自然対流沸騰熱伝達に及ぼす空隙率の大きい多孔質被覆層の影響を検討した.最初に,球面上で生成・成長する霜層の厚さおよび着霜量を明らかにし,霜層の物性値であるみかけの密度およびみかけの熱伝導率について検討した.次に,霜層厚さを0.29 mm0.95 mm の範囲で変化させ,霜層を被覆することによって,全沸騰領域で熱伝達の促進が実現できることを示した.結果として,高熱流束・高熱伝達率冷却技術として,霜層被覆層を利用した沸騰冷却促進方法の有効性が明らかになった

  • 藤田 稔之, 永井 栄寿, 藤本 博志, 中川 倫博, 山下 尚也, 古井 秀治, 安田 善紀, 山際 昭雄
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-14NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    カーボンニュートラル社会実現に向けて様々な分野で取り組みが行われている.省エネルギー化技術の一つとしてエネルギーマネジメントシステムが注目されている.本論文では,太陽電池と定置バッテリを含むシステムの直流部に空調機・給湯器を接続し,電力変換システムにおける損失電力の低減およびエネルギーマネジメントによる太陽光発電電力の有効活用手法を提案する.実験機を構成し良好に動作することを確認し,直流電圧を制御することで空調機のCOP の向上の可能性を示した.また,年間を通したシミュレーションにより,直流接続化によってシステム損失が40%低減することを確認し,ヒートポンプ給湯器の動作を日中にシフトすることで発電電力を有効活用できることを確認した

  • Akihiro HATTORI, Tetsuya SATO
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 23-18_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    A novel frosting model based on Burton–Cabrera–Frank theory is developed. The proposed model contains correction factors for the amount of desublimation (βinn and βsf) and a parameter related to effective diffusivity in frost (F). βinn should be set to approximately 10-3 because of the impact of released latent heat and vapor consumption due to desublimation at nearby interfaces, and the growing ability of ice crystals depending on their crystallographic orientation. In addition, F should be set to approximately 5 to account for the effect of complex transportation of water vapor in frost. Without considering this effect, the frost becomes dense only near the surface. The density distribution becomes inconsistent with experimental findings. This compromises calculation accuracy. Moreover, calculations are performed to validate our model under the following frosting conditions: 243.15 K ≤ Tp ≤ 263.15 K and 8 g/m3 ≤ ρv ≤ 16 g/m3, where Tp is the cold plate temperature, and ρv is the absolute humidity. The results show that the present model can predict the frost mass and average frost thickness with a maximum error of less than 15% at 600 s under a wide range of conditions.

  • Tomohiko IMAMURA
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 23-10_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/10/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    The ignitability of the R290/air mixture by arc discharge at the gap of the electric contacts was experimentally examined. A series of ignition tests were conducted by opening and closing a pair of electric contacts, and the voltage between the anode and cathode, and the current through the circuit were measured. The varieties of electric load, power consumption of the circuit, and composition of the R290/air mixture were varied under the experimental conditions. The ignition frequency showed an upward convex curve against the equivalence ratio, and it was taken maximum value near ϕ = 1.3 (approximately 5 vol% of C3H8). It was easier to ignite when the electrical contacts were opened than when they were closed. It was also observed that ignition occurred more easily with increased power consumption. The minimum energy generated at the gap of the electric contact in the case of ignition (Earc m ) was much larger than the minimum ignition energy (Emin). This was because the contribution rate of energy available for ignition was much smaller than in the case of capacitive spark ignition. The net energy contributing to ignition (Econt) is less than 6% of the Earc m at most because go or no-go of ignition can be distinguished well by comparing and Econt(=0.006Earc m). This almost coincides with the data reported in the literature.

  • 濱本 芳徳
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-15NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/10/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では150 oC から200 oC 程度までの熱供給技術の一つとして,150 oC 程度までの集熱に適したCPC 型太陽集熱器と吸着式昇温ヒートポンプを組合せることで,集熱温度よりも高温の熱を出力できるシステムを提案した.また,冬と夏の各1 か月間の気象データを使用して,毎時の高温熱出力量の理論予測を行った.本システムの優位性は,集熱器単体のみでは供給量が少なくなる,あるいは供給不可能となる高温域の熱供給の際に認められ,冬は160 oC から,夏は180 oC からそれぞれ210 oC までの熱供給に適していることが計算で明らかになった.さらに供給温度を固定して計算すると,熱出力量が極大値を示す昇温ヒートポンプの最適な昇温幅が予測できた.最後に150 oCの集熱を冬に275 oC,夏に225 oC まで昇温できることが分かった.

  • 荒木 徹也
    原稿種別: 研究レビュー
    論文ID: 23-17R
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    日本冷凍空調学会の冷凍空調技術ロードマップ2050 における3 つの食品技術開発テーマはいずれもコールドチェーンと密接に関連する.本稿では,2000 年代の食のコールドチェーンに関する研究動向をレビューするとともに,冷凍空調技術ロードマップ2050 における食品技術開発テーマに関する今後の展望について考察した.ScienceDirect に収録されているすべての学術雑誌上で2010 年以降に掲載された総説論文および原著論文のうち,本文中に”food”と”cold chain”の両方を含みかつ論文タイトルに”cold chain”を含む論文件数は計197 件であり,その約3 分の2 に相当する130 件が直近5 年間で公表された論文であった.冷凍空調技術ロードマップ2050 における3 つの食品技術開発テーマのうち,凍結~解凍~食するまでを包括的に評価できる品質評価モデルの確立に関しては,その達成に向けて直接的に役立ちそうな論文は本稿でレビューした論文の範囲内では全く見当たらず,最もチャレンジングな課題であるものと考えられた.

  • 甲斐田 武延, 森 昌司
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-07_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,ヒートポンプ供給温度が60°C から200°C までの範囲で適切な冷媒を選択するための熱力学的な分析を実施した.ヒートシンクとヒートソースの温度変化が5 K と小さい条件で,17 の純冷媒を対象に,単純ヒートポンプサイクルとエコノマイザ付き二段圧縮ヒートポンプサイクルの計算を行い,熱力学的性能と経済性,安全性,環境性を考慮し,各冷媒の好適な作動領域を図示した.その結果,ヒートポンプ供給温度ごとに有望な冷媒を示すとともに,経済的に受け入れやすい温度リフトを示した.また,エコノマイザ付き二段圧縮による高効率化によって,温度リフトが10 K 程度拡大することが確認された.

  • 高橋 良平, 秋澤 淳
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-09_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    先行研究において吸着材に音波をかけることによって吸着速度が増加することが報告された.速度振幅が吸着促進に効果があることを受け,本研究では,音波ではなく逆流を含む振動流を加えることが吸着促進に及ぼす効果を実験的に観測することを目的とした.そのため,まず2つのブロワを用いて位相差を持った正弦波状の振動流を発生させ,その差分としてテストセクションに逆流を伴う0.05Hz の振動流を発生できることを確認した.次いでそこに吸着材を充填した配管を接続し,一方向流の場合と振動流の場合の実験を行い,一定時間における吸着量を計測した.その結果,音波による実験と同様に,振動流の振幅が大きくなるほど吸着量が増加することを確認した.また,テストセクションを逆流する空気の湿度を下げると吸着促進効果が低下することを見出した.このことは吸着材充填層の後流側の湿分を吸い込むことが吸着増進効果を与えることを示唆している.

  • 春木 直人, 森田 慎一
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-13_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,潜熱蓄熱材含有カプセルスラリーにおいて,軟殻材であるゼラチンで作成したカプセルに着目した.これは,一種のスラリーである血液での赤血球(カプセル)が持つ弾力性を付与するためである.まず,潜熱蓄熱材を含有したゼラチンカプセルを作成し,ゼラチンカプセルの形状の確認と,ゼラチンカプセルスラリーの熱物性値の実測と推定方法について検討した.さらに,ゼラチンカプセルスラリーの直管試験部における流動抵抗と熱伝達特性を実験的に検討した.その結果,比較的低濃度のカプセル濃度においては,スラリーの流動抵抗は,分散媒である水の値と同じであるが,熱伝達に関しては,水よりも増加することを確認した.さらに,含有する潜熱蓄熱材が液相の場合では,カプセル全体が変形することにより,固相時よりも熱伝達が増加することを確認した.

  • 関谷 禎夫, 久保田 淳, 野中 正之, 台坂 恒, 大宮司 啓文
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-11NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー 早期公開

    ロータリ二段圧縮機において,2つの圧縮室を接続する配管内の圧力変動特性と過給効果が生じる条件を明らかにすることを目的として,圧縮性を考慮した1次元解析モデルを構築した.一段目圧縮室と二段目圧縮室の回転位相差,および接続配管内における圧力波の伝播にともなう共振条件の2つの因子に着目した解析をおこない,回転位相差を適正化することで二段目圧縮室において過給効果が得られ中間圧力が低下すること,さらに共振条件を満たすとその効果が大きくなること,ただし回転位相差が適正でない場合は,共振条件を満足しても過給効果が得られないことなどを明らかにした.

  • 飯島 遼太, 千葉 紘太郎, 永田 修平
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-08_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/07/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    多くの容積型圧縮機において,潤滑油による微小隙間のシールや潤滑は重要であるが,微小隙間における油膜の存在を確認するのは容易でなく,その不確実性により給油機構の効率的な設計を阻害していた.本研究では,気液二相状態を検出可能な光ファイバプローブを微小隙間に設けた空隙に設置し,微小隙間内の気液二相状態を計測する手法の開発を行った.本手法では,微小隙間内の流体がプローブを設置した空隙に流入するかが重要となる.そこで,空隙内への気体および液体の流入の特性について気液二相流解析と可視化実験によって調べ,ウェーバー数が概ね1 を下回ると隙間に流入した流体が空隙を満たすことを示した.さらに,プローブ計測を模擬した二相流解析を行い,10 µm の隙間における相状態をプローブで検出できる見通しを得た.

  • 分岐管の加熱が液相分配に及ぼす影響
    小野寺 亜由美, 畠田 崇史, 澤原 風花, 森 浩平, 丸山 直樹, 西村 顕, 廣田 真史
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-01_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/05/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    住宅用や業務用空調機に用いられるパラレルフロー型熱交換器を模擬した垂直ヘッダ/水平多分岐管内の気液二相冷媒流について,分岐管を加熱し管内の冷媒を蒸発させた状態で各分岐管への気液分配量の測定を行った.試験流路は直径22 mm,高さ84 mm の垂直ヘッダに長さ540 mm の水平分岐管(アルミ製扁平多穴管)を10 mm 間隔で8 本接続した多分岐管であり,全分岐管を1 本当たり20100 W で均一に加熱した.その結果,分岐管の加熱により最下部分岐管への過大な液相分配が抑制されるとともに上部分岐管への液相分配量が増加し,液相分配の均一性が向上する傾向が明らかになった.

  • 宮岡 洋一, 森 稜平, ジャンネッティ ニコロ, 鄭 宗秀, 富樫 英介, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-17_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    地球温暖化防止の観点からカーボンニュートラルの実現が世界的要請となり,需要側の主要なエネルギー消費機器の一つであるエアコンディショナーにおいては更なる大幅な性能向上が必須となっている.エアコンディショナーの性能は,JIS で規定された年間性能評価指標としてのAPF をはじめとして運転データ取得を簡略化するため,圧縮機の回転数を一定とし,制御系を除外した状態で取得された数点の運転データをベースに導出される.実際の機器では当然,搭載された自動制御によって,圧縮機の回転数や膨張弁開度などを適切に変化させながら運転されるため,この方法では実運転性能と大きく乖離することが指摘されている. そこで,本研究ではエアコンディショナーの動的性能を評価可能な新しい手法を確立することを目的とし,建物や室内外環境など任意の環境を疑似的に計算可能なエミュレーターと性能試験装置から構成される「エミュレーター式負荷試験装置」を新たに開発した.この装置の健全性を確認するとともに,この装置を用いて具体的に機器の動的性能を把握することに成功した.この装置によって,エアコンディショナーの公平かつ再現性のある性能評価試験が実施可能となる.

  • 西山 貴史 , 打越 流河, 倉成 太郎, 本田 知宏, 高 雷
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-29_EM_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    地球温暖化への影響が小さい新規冷媒候補が次々と提案されるに伴い,それらを評価・利用するために必要となる高精度な状態方程式(EOS)の作成が求められている.各冷媒のEOS は信頼性の高い熱物性実測値を元に作成されるが,その最適化においてはPρT 関係の実測値データに加え,それらの誘導状態量にあたる音速値も重要な役割を果たす.本研究では,R1233zd(E)R1224yd(Z)の液相音速を市販のパルス式超音波センサーで測定した.純水およびR1336mzz(Z)の既存の状態方程式を基準として,圧力および音波吸収の影響について適切に校正することにより,EOS 作成に使用可能な精度の液相音速値を得ることに成功した.

  • 伊藤 誠 , 斎藤 静雄, 党 超鋲, 飛原 英治, 設楽 裕治
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-23_EM_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/01/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    エアコンの移設や廃棄の際,室外機へ冷媒をポンプダウンする際の誤操作により,圧縮機の破裂事故が発生する場合がある.ポンプダウン時のディーゼル燃焼の様子を,冷媒圧縮機を模型エンジンで模擬し実験により調べた.冷凍機油中に反応抑制剤を添加することによる燃焼抑制に及ぼす影響を調べた.冷凍機油としてポリオールエステル油(POE)を使用し,添加剤としてアミン系酸化防止剤,エポキシ系安定化剤など4 種類を使用した.冷媒は,R 22R 32R 1234yf,および R 290 である.アミン系酸化防止剤の燃焼抑制効果は顕著であり,R 1234yf R 290 の燃焼をほぼ抑制できることがわかった.R 22 R 32 の燃焼範囲はかなり制限されることも判明した.

  • 赤田 郁朗, 西田 耕作, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-15_OA
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/10/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    ステンレス製の平滑管,ローフィン管,3 次元加工管の3 種類の伝熱管について,水平に配置した管外のアンモニア流下液膜蒸発およびプール沸騰熱伝達に関する実験を行い,外面加工管による伝熱促進について検討を行った.流下液膜実験において平滑管は管頂部を起点とする円周角の増加に伴い局所熱伝達率が低下したが,外面加工管はフィンによって液膜が保持され,フィン間が液膜で覆われる範囲において熱伝達率が低下した.平均熱伝達率は低膜レイノルズ数域では平滑管が最も高い値を示し,3 次元加工管,ローフィン管の順に熱伝達率が低下し,フィンによる伝熱促進はみられなかった.高膜レイノルズ数域では3 次元加工管はフィンによって液膜に対流が生じたが,平滑管と同程度の熱伝達率となった.平滑管のプール沸騰熱伝達率はJung らの式と良い相関を示し,外面加工管は平滑管より20~30%程度低い値を示した.また,いずれの伝熱管も流下液膜蒸発はプール沸騰より高い熱伝達率を示した.

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