日本冷凍空調学会論文集
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早期公開論文
早期公開論文の13件中1~13を表示しています
  • 甲斐田 武延, 森 昌司
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-07_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,ヒートポンプ供給温度が60°C から200°C までの範囲で適切な冷媒を選択するための熱力学的な分析を実施した.ヒートシンクとヒートソースの温度変化が5 K と小さい条件で,17 の純冷媒を対象に,単純ヒートポンプサイクルとエコノマイザ付き二段圧縮ヒートポンプサイクルの計算を行い,熱力学的性能と経済性,安全性,環境性を考慮し,各冷媒の好適な作動領域を図示した.その結果,ヒートポンプ供給温度ごとに有望な冷媒を示すとともに,経済的に受け入れやすい温度リフトを示した.また,エコノマイザ付き二段圧縮による高効率化によって,温度リフトが10 K 程度拡大することが確認された.

  • 高橋 良平, 秋澤 淳
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-09_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    先行研究において吸着材に音波をかけることによって吸着速度が増加することが報告された.速度振幅が吸着促進に効果があることを受け,本研究では,音波ではなく逆流を含む振動流を加えることが吸着促進に及ぼす効果を実験的に観測することを目的とした.そのため,まず2つのブロワを用いて位相差を持った正弦波状の振動流を発生させ,その差分としてテストセクションに逆流を伴う0.05Hz の振動流を発生できることを確認した.次いでそこに吸着材を充填した配管を接続し,一方向流の場合と振動流の場合の実験を行い,一定時間における吸着量を計測した.その結果,音波による実験と同様に,振動流の振幅が大きくなるほど吸着量が増加することを確認した.また,テストセクションを逆流する空気の湿度を下げると吸着促進効果が低下することを見出した.このことは吸着材充填層の後流側の湿分を吸い込むことが吸着増進効果を与えることを示唆している.

  • 春木 直人, 森田 慎一
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-13_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,潜熱蓄熱材含有カプセルスラリーにおいて,軟殻材であるゼラチンで作成したカプセルに着目した.これは,一種のスラリーである血液での赤血球(カプセル)が持つ弾力性を付与するためである.まず,潜熱蓄熱材を含有したゼラチンカプセルを作成し,ゼラチンカプセルの形状の確認と,ゼラチンカプセルスラリーの熱物性値の実測と推定方法について検討した.さらに,ゼラチンカプセルスラリーの直管試験部における流動抵抗と熱伝達特性を実験的に検討した.その結果,比較的低濃度のカプセル濃度においては,スラリーの流動抵抗は,分散媒である水の値と同じであるが,熱伝達に関しては,水よりも増加することを確認した.さらに,含有する潜熱蓄熱材が液相の場合では,カプセル全体が変形することにより,固相時よりも熱伝達が増加することを確認した.

  • 関谷 禎夫, 久保田 淳, 野中 正之, 台坂 恒, 大宮司 啓文
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-11NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/07/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    ロータリ二段圧縮機において,2つの圧縮室を接続する配管内の圧力変動特性と過給効果が生じる条件を明らかにすることを目的として,圧縮性を考慮した1次元解析モデルを構築した.一段目圧縮室と二段目圧縮室の回転位相差,および接続配管内における圧力波の伝播にともなう共振条件の2つの因子に着目した解析をおこない,回転位相差を適正化することで二段目圧縮室において過給効果が得られ中間圧力が低下すること,さらに共振条件を満たすとその効果が大きくなること,ただし回転位相差が適正でない場合は,共振条件を満足しても過給効果が得られないことなどを明らかにした.

  • 飯島 遼太, 千葉 紘太郎, 永田 修平
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-08_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/07/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    多くの容積型圧縮機において,潤滑油による微小隙間のシールや潤滑は重要であるが,微小隙間における油膜の存在を確認するのは容易でなく,その不確実性により給油機構の効率的な設計を阻害していた.本研究では,気液二相状態を検出可能な光ファイバプローブを微小隙間に設けた空隙に設置し,微小隙間内の気液二相状態を計測する手法の開発を行った.本手法では,微小隙間内の流体がプローブを設置した空隙に流入するかが重要となる.そこで,空隙内への気体および液体の流入の特性について気液二相流解析と可視化実験によって調べ,ウェーバー数が概ね1 を下回ると隙間に流入した流体が空隙を満たすことを示した.さらに,プローブ計測を模擬した二相流解析を行い,10 µm の隙間における相状態をプローブで検出できる見通しを得た.

  • 分岐管の加熱が液相分配に及ぼす影響
    小野寺 亜由美, 畠田 崇史, 澤原 風花, 森 浩平, 丸山 直樹, 西村 顕, 廣田 真史
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-01_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/05/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    住宅用や業務用空調機に用いられるパラレルフロー型熱交換器を模擬した垂直ヘッダ/水平多分岐管内の気液二相冷媒流について,分岐管を加熱し管内の冷媒を蒸発させた状態で各分岐管への気液分配量の測定を行った.試験流路は直径22 mm,高さ84 mm の垂直ヘッダに長さ540 mm の水平分岐管(アルミ製扁平多穴管)を10 mm 間隔で8 本接続した多分岐管であり,全分岐管を1 本当たり20100 W で均一に加熱した.その結果,分岐管の加熱により最下部分岐管への過大な液相分配が抑制されるとともに上部分岐管への液相分配量が増加し,液相分配の均一性が向上する傾向が明らかになった.

  • 宮岡 洋一, 森 稜平, ジャンネッティ ニコロ, 鄭 宗秀, 富樫 英介, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-17_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    地球温暖化防止の観点からカーボンニュートラルの実現が世界的要請となり,需要側の主要なエネルギー消費機器の一つであるエアコンディショナーにおいては更なる大幅な性能向上が必須となっている.エアコンディショナーの性能は,JIS で規定された年間性能評価指標としてのAPF をはじめとして運転データ取得を簡略化するため,圧縮機の回転数を一定とし,制御系を除外した状態で取得された数点の運転データをベースに導出される.実際の機器では当然,搭載された自動制御によって,圧縮機の回転数や膨張弁開度などを適切に変化させながら運転されるため,この方法では実運転性能と大きく乖離することが指摘されている. そこで,本研究ではエアコンディショナーの動的性能を評価可能な新しい手法を確立することを目的とし,建物や室内外環境など任意の環境を疑似的に計算可能なエミュレーターと性能試験装置から構成される「エミュレーター式負荷試験装置」を新たに開発した.この装置の健全性を確認するとともに,この装置を用いて具体的に機器の動的性能を把握することに成功した.この装置によって,エアコンディショナーの公平かつ再現性のある性能評価試験が実施可能となる.

  • 西山 貴史 , 打越 流河, 倉成 太郎, 本田 知宏, 高 雷
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-29_EM_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    地球温暖化への影響が小さい新規冷媒候補が次々と提案されるに伴い,それらを評価・利用するために必要となる高精度な状態方程式(EOS)の作成が求められている.各冷媒のEOS は信頼性の高い熱物性実測値を元に作成されるが,その最適化においてはPρT 関係の実測値データに加え,それらの誘導状態量にあたる音速値も重要な役割を果たす.本研究では,R1233zd(E)R1224yd(Z)の液相音速を市販のパルス式超音波センサーで測定した.純水およびR1336mzz(Z)の既存の状態方程式を基準として,圧力および音波吸収の影響について適切に校正することにより,EOS 作成に使用可能な精度の液相音速値を得ることに成功した.

  • 伊藤 誠 , 斎藤 静雄, 党 超鋲, 飛原 英治, 設楽 裕治
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-23_EM_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/01/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    エアコンの移設や廃棄の際,室外機へ冷媒をポンプダウンする際の誤操作により,圧縮機の破裂事故が発生する場合がある.ポンプダウン時のディーゼル燃焼の様子を,冷媒圧縮機を模型エンジンで模擬し実験により調べた.冷凍機油中に反応抑制剤を添加することによる燃焼抑制に及ぼす影響を調べた.冷凍機油としてポリオールエステル油(POE)を使用し,添加剤としてアミン系酸化防止剤,エポキシ系安定化剤など4 種類を使用した.冷媒は,R 22R 32R 1234yf,および R 290 である.アミン系酸化防止剤の燃焼抑制効果は顕著であり,R 1234yf R 290 の燃焼をほぼ抑制できることがわかった.R 22 R 32 の燃焼範囲はかなり制限されることも判明した.

  • 赤田 郁朗, 西田 耕作, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-15_OA
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/10/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    ステンレス製の平滑管,ローフィン管,3 次元加工管の3 種類の伝熱管について,水平に配置した管外のアンモニア流下液膜蒸発およびプール沸騰熱伝達に関する実験を行い,外面加工管による伝熱促進について検討を行った.流下液膜実験において平滑管は管頂部を起点とする円周角の増加に伴い局所熱伝達率が低下したが,外面加工管はフィンによって液膜が保持され,フィン間が液膜で覆われる範囲において熱伝達率が低下した.平均熱伝達率は低膜レイノルズ数域では平滑管が最も高い値を示し,3 次元加工管,ローフィン管の順に熱伝達率が低下し,フィンによる伝熱促進はみられなかった.高膜レイノルズ数域では3 次元加工管はフィンによって液膜に対流が生じたが,平滑管と同程度の熱伝達率となった.平滑管のプール沸騰熱伝達率はJung らの式と良い相関を示し,外面加工管は平滑管より20~30%程度低い値を示した.また,いずれの伝熱管も流下液膜蒸発はプール沸騰より高い熱伝達率を示した.

  • 高屋敷 昌弘, 西村 勝彦, Sciazko Anna, 岡部 貴雄, 谷口 淳, 鹿園 直毅
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-07SI_OA
    発行日: 2022/09/30
    [早期公開] 公開日: 2022/07/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    寒冷地におけるヒートポンプの普及を促すためには,霜を抑制する手法の開発が急務であり,様々な環境条件における霜の3 次元構造を定量化することが求められている.本研究では,環境条件を系統的に変化させた場合でも霜の局所構造を計測することが容易なレプリカ法を用いて,冷却面上に成長する霜の3 次元構造を構築する手法を開発した.顕微鏡を用いてレプリカ作製過程霜の様子を観察し,霜を破壊することなくレプリカが作製可能であることを確認した.得られたレプリカをX μCT で観察し,機械学習による画像処理を行うことで,霜の3 次元構造を再構築することが可能となった.

  • 宮脇 皓亮, 山岸 鈴奈, SCIAZKO Anna , 鹿園 直毅
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-09SI_OA
    発行日: 2022/09/30
    [早期公開] 公開日: 2022/07/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    空調機内を循環する冷媒の非定常挙動の予測手法として,深層学習モデルの一つである長・短期記憶ネットワークの実用性を評価した.空調機の運転履歴に対する予測精度を確認するため,圧縮機の立ち上がり速度および冷媒充填量に対するシステム内の冷媒分布の推移を予測した.学習データが十分である場合,冷媒分布の推移を高精度に予測できることを確認した.学習データが少ない場合は,冷媒充填量変化に伴う相状態をネットワークに入力するなど設計ノウハウを用いた改善を行うことで,予測精度の向上が可能であることを確認した.

  • 近野 雅嗣, 中村 聡, 長谷川 修士, 中野 奏典
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-03_EM_OA
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/06/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    部分負荷運転における圧縮機の効率向上のためには,漏れ損失や吸込加熱損失を抑制する必要があり,そのためには吸込室や圧縮室への適正な給油制御が重要となる.本稿では,環油給油構造と吸込給油分配構造を組み合わせて,圧縮室への給油はスリットで,吸込室への給油は油ポケットで調整することで,軸受摺動部と吸込室と圧縮室への給油を完全に独立して制御することを可能とし,それぞれに必要な量だけの油を供給できる給油構造について検討した.圧縮室給油量や背圧を可変とした供試機にて,吸込室給油量を変化させて,これらのパラメータと効率の関係を詳細に把握した結果,各パラメータの適正値を見出すとともに,APF で0.8%の向上を確認した.

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