【目的】糖化とは,糖とタンパク質が非酵素的に反応し,糖化最終生成物(advanced glycation endproducts:AGEs)が生成することである。AGEsは食品調理中でも生成し,それらの摂取は人体に悪影響を与えると言われている
1,2)。本研究では,和食の基礎調味料である「だし」における,抗糖化効果の検証を目的とした。
【方法】(in vitro試験)荒節・枯節・昆布・煮干(カタクチイワシ)・椎茸から一番だしを調製し,試験サンプルとした。グルコース,牛血清アルブミン,試験サンプルを混合し,90℃30分間加熱反応後,AGEsの一つとして有名なN
ε-(carboxymethyl)lysine(CML)の生成量をOxiSelect
TM CML Competitive ELISA Kit(
コスモ
・
バイオ
(株))を用いて分析した。サンプル無添加のCML生成量と比較し,各試験サンプルの抑制率を求めた。(調理試験)団子状にした鶏モモ挽肉を,試験サンプルに上白糖を添加した調味液中で,95℃30分間加熱調理し鶏肉団子を調製した。調理後の鶏肉団子は,6N塩酸を添加し110℃24時間加水分解反応を行い
3),中和後,上記キットによりCML含量を分析した。
【結果】各種2.5%だしは,70~95%のCML生成抑制率を示した。抑制率の強さは,荒節だし>枯節だし>煮干だし>昆布だし>椎茸だしの順であった。また,調理試験では,だし濃度に比例して,肉団子のCML含量は抑制された。1)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 6474-6479 (1997) 2)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99, 15596–15601 (2002) 3)J. Biol. Chem., 271, 9982-9986 (1996)
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