全国22県から収集されたトールフェスクの39エ
コタイ
プ,市販の牧草7品種について,種子内のエンドファイトの有無を光学顕微鏡で調べた。また,葉鞘内のエンドファイト感染の有無をそれらと市販の芝草9品種について光学顕微鏡で調べ,感染の認められたエ
コタイ
プ及び品種からエンドファイトの分離・同定を行った。種子の観察結果,14エ
コタイ
プと牧草1品種にエンドファイトが検出された。しかし,葉鞘組織の観察結果,エ
コタイ
プ2系統と芝草6品種の葉鞘内に,無色で分枝が少なく,捻れて伸展しているAcremoniumエンドファイト菌糸が観察された。このことは,収集されたエ
コタイ
プと牧草品種の種子を長期間貯蔵している間に,エンドファイトが死滅してしまったことを示唆する。葉鞘組織から分離されたエンドファイトの菌叢は白色で綿毛状の気中菌糸を多く形成し,PDA培地上での菌叢の伸展はきわめて遅く25℃で0.3〜0.5mm/日であった。フィアライドは菌糸側面からT字型に直立して生じ,その先端には平均5-12×1.0-1.6μmの分生子が1個形成されていた。以上の形態から,このエンドファイトをAcremonium coenophialum Morgan-Jones et Gamsと同定した。また,走査電子顕微鏡観察の結果,エンドファイトの菌糸は植物組織の細胞内に侵入することはなく,細胞間隙を伸展していることが明らかとなった。
抄録全体を表示