パルプの漂白に関連して塩素処理でリグニンスルホン酸, チオリグニン等がどんな変化を受けるかを
メトキシ基
, スルホン基, チオリグニンのイオウに着目して実験を行った。スプルース, 樺のリグニンスルホン酸溶液に
メトキシ基
当たり,1~6mo1位の塩素を含有する塩素水を加え,0℃で塩素化を行った。スプルースの場合4Cl
2/MeO(モル比)の塩素を反応させた時に全
メトキシ基
の80%がメタノールになり,それ以上塩素を反応させた場合メタノールが分解されるためかえって減少する。樺の場合約3Cl
2/MeOの時に最大メタノール生成に達する。これはC
9当たり4molの塩素になり,スプルースの場合と同様ベンゼン核当たり4molの塩素消費で最大メタノール生成になる。残留物中の
メトキシ基
を加えると合計90%以上が回収され,この付近まではメタノールになるか,または
メトキシ基
として残留することが明らかになった。リグニンスルホン酸はまた塩素処理で,4Cl
2/MeO付近でスルホン基の半分が硫酸となって脱離する。バニリルスルホン酸,ベラトリルスルホン酸等においても同様の結果をえた。チオリグニン,塩酸リグニンでも塩素処理でメタノールの生成が認められ, 残留物中の
メトキシ基
と合し, ほぼ100%の回収率をみた。チオリグニン中のイオウは2Cl
2/MeO位の塩素処理で2.4%から1%へ減少した。
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