スピーチエイド装着症例における
口蓋帆
挙筋活動が,鼻腔気流量および口腔内圧の変化に対して,どの様な対応を示すのかを明らかにすることを目的として以下の実験を行った.実験は,口蓋形成術を受けたものの鼻咽腔閉鎖不全症を呈するために,スピーチエイド(Bulb-PLP)を装着している症例10名を対象に行った.Bulb-PLPのバルブを中央部において口腔-鼻腔方向に穿孔し,穿孔部の口腔側に直径7mmのオリフィスを有するプレートを設置した実験用Bulb-PLPを作製した・バルブ穿孔部に設置したフ.レート上に,オリフィスを設けていないプレートならびに直径4mmのオリフィスを設けたプレートを挿入することによって.発音時呼気の鼻腔への流入量を制御できる.オリフィスのない状態およびオリフィスの直径が4mm,7mmにおいて,被験者に/pu/を20回以上表出させて,
口蓋帆
挙筋活動,鼻腔気流量,口腔内圧について検討し,以下の結果を得た.
1.オリフィスのない状態からオリフィスの直径が4mm,7mmと開放されるに伴って,
口蓋帆
挙筋活動が上昇する傾向が認められた.
2.スピーチエイド装着下において呼気が鼻腔に漏出した際の
口蓋帆
挙筋活動は,鼻腔気流量ならびに口腔内圧を2説明変数とする重相関関係にあることが示された.
3.
口蓋帆
挙筋活動の調節には,鼻腔気流量ならびに口腔内圧が関与するものの,鼻腔気流量の影響がより大きいことが示された.
以上より,スピーチエイド装着下において呼気が鼻腔へ流入した揚合の発音時の鼻咽腔閉鎖運動の調節には,口腔内圧と呼気が鼻腔に漏出した際の鼻腔気流量の両者が関与し,また口腔内圧よりも鼻腔気流量の増加に伴って
口蓋帆
挙筋活動が上昇することが示された.
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