外生菌根菌の接種がアカマツ実生の成長並びに根圏バクテリアに及ぼす影響吉澤潤也・上原巌・田中恵(東京農大)外生菌根菌は,宿主植物と共生関係を結び光合成産物を受け取る代わりに土壌養分や水分を供給し,乾燥や土壌病原菌から根系を守り,成長を促進するなどの役割を担っている.菌種による成長促進効果の違いを調べるため,無菌播種2ヶ月のアカマツ実生に培養菌株を接種して半年間育成した.実生は生重量,乾燥重量,茎長,根長,菌根数,細根数,菌根形成率を測定した.また,菌根からYG培地を用いて根圏バクテリアを分離し種を推定した.菌株は,キツネタケ,ウラムラサキ,クロトヤマタケ,ケショウハツ,ヌメリイグチ,チチアワタケ,アミタケ2株,コツブタケ3株,Cenococcum geophilum.の12株を用いた.計171個体について調べた結果,Cenococcum geophilum,クロトマヤタケ,ウラムラサキがアカマツ実生の成長を有意に促進していた.また,地上部の生育を促進する傾向があるものや,地下部バイオマス量に関与するものなど,菌種によって成長促進部位が異なっていた,根圏バクテリアは,Burkholderia属,Rhizobium属が出現種数の大半を占め,菌根形成率が低いほどコロニー数が多くなる傾向がみられた.
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