関東南部地域の低層大気中において, 昭和57年7月22日, 23日の両日, 航空機を用いて大気を採取, 21成分の非メタン炭化水紮 (NMHC) を分析し, その組成と光化学反応性について検討した。反応性の評価にはNMHC成分濃度とOHラジカル素反応速度常数との積和の全NMHC換算値 (OHREAC) を用いた。
(1) 22日と23日は気象条件が異なったがOHREACは海風の影響が見られ, その水平分布に差異が見られた。OHREACが高い値を示した地域は埼玉県東部, 東京都心付近であった。NMHC成分の中で高い濃度を示した成分は, 両日ともトルエソ, エチレソ, アセチレン, プロパン,
n一ブタソ, エタン, ベンゼン等であった。
(2) NMHC成分とエタンとの濃度の相関性を調べた結果, 両日とも反応性の低いアセチレン, プロパン,
n一ブタソ, イソブタン,
n-ペンタン, イソペンタンおよびエチレン等との相関性が高く, 相関係数はほぼ0.8以上であったが反応性の高い物質との相関性は低下し, 特にブテン類が低く, この原因は光化学反応による濃度の減衰によると考えられる。
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