幼若永久歯の健康管理法の確立を目指している日本小児
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学会は,その第一歩として,第一大臼歯の保護を目的に,幼若第一大臼歯の実態調査を行った.調査は全国29大学の小児
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,11の小児
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専門医および1小学校において行われ,4821人の小児の18488本の第一大臼歯が調べられた.
第一大臼歯は小学校入学前の就学前1年において,既に約25%が齲蝕を経験し,その後増加して小学6年生では約80%にも達する.一人平均でも小学6年生では約3本の齲蝕ないし処置歯を持っている.
第一大臼歯4歯が健全であるものは,就学前1年で約54%であるが,6年生では約11%に減少する.
処置ではシーラントが早期から施され,これにより齲蝕の重症化が防げていると思われる.
萌出初期から齲蝕に罹患しているものが存在し,萌出が進むにつれて齲蝕が増加する.萌出度が同じでも,学年が高いもののほうが齲蝕経験率が高い.また,就学前に萌出が完了したものでは,上顎で約35%,下顎で70%近くが齲蝕経験を持つ.
乳歯齲蝕との関連では,乳歯齲蝕の経験歯数が多いものの方が,第一大臼歯の齲蝕経験歯数が多い.他の永久歯の齲蝕との関連では,第一大臼歯の齲蝕経験歯数の多いものに,他の永久歯の齲蝕が多い傾向がみられた.
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