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クエリ検索: "歴史言語学"
300件中 1-20の結果を表示しています
  • 平子 達也
    歴史言語学

    2024年 13 巻 87
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
  • 歴史言語学

    2023年 12 巻 iii-iv
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
  • 加藤 大鶴
    歴史言語学

    2024年 13 巻 103-115
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
    日本漢語を対象としたアクセント史研究はこれまでほとんどなされてきていない。中国語原音が日本語アクセント体系にどう受容されるかということ,また形成されたアクセントが音韻史の俎上でどう変化したかという大きな課題が解決されていないのである。本稿では稿者がこれまで携わってきた漢語アクセント史研究に関わる借用語適応の話題を提供する。具体的には,①漢語のアクセントを音韻史のうえに捉える時の位相的観点,②漢語のアクセントを比較言語学的に捉えようとする研究,③漢語のアクセント型についての形成史研究,の 3 つの話題である。以上の話題を通じて,漢語アクセントの研究が,個別・普遍の両面の歴史言語研究にとって重要であることを示唆する。
  • 平子 達也
    歴史言語学

    2024年 13 巻 89-102
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
    日本語のアクセント史研究は,豊富な文献資料と多様な地理的変異を背景に発展してきながら,一般的な
    歴史言語学
    的研究と交渉することなく,ガラパゴス的な発展をしてきた側面がある。本稿では,そこに功罪両面があることを認めた上で,日本語アクセント史をより一般的な声調言語の歴史という文脈の中で説明する試みとして,日本語を restricted tone language (限局的声調言語)と見做し,平安期から現代に至る京都方言アクセントの史的変化を描く際に問題となる点について述べる。そして,それらの問題について考察を行うことが通言語的な声調(史)研究にどのような貢献を齎し得るのか考える。
  • 3系統の聾語彙「ミミシヒ」「ミミキカズ」「ミミツブレ」にみる複層的かつ多面的な連環
    末森 明夫
    歴史言語学

    2024年 13 巻 55-85
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
     本稿は,平安時代中期に京都の医家により編まれた『医心方』,鎌倉時代後期に 鎌倉の僧医により編まれた『頓医抄』,南北朝時代に京都の僧医により編まれた『福 田方』の諸本(鈔本・刊本)にみる聾語彙「ミミシヒ」「ミミキカズ」「ミミツブレ」 の実態(形式,意味,語用など)を緝輯した。その結果を中古中世日本の字書,韻書, 辞書,キリシタン版にみる聾語彙の実態と比較し,中古中世日本医書にみる聾語彙 の実態を通時的ないし共時的実態を範疇化し,日本聾語彙史に連関布置した。
     中古中世日本医書において,聾字彙「聾」「耳聾」に連環する聾語彙「ミミシヒ」 「ミミキカズ」「ミミツブレ」にみる実態は,語用時期や医書の特性のような聾語彙を 取りまく文脈に応じて,「定訳と補完的和訓」や「漢文訓読体と口語体」のような 対義的概念の揺らぎを内包するものであった。畢竟,中古中世日本医書にみる聾語 彙の実態は,「ミミシヒ」「ミミキカズ」「ミミツブレ」という 3 系統が通時的な複 層性や共時的な多面性を内包するものであった。
     たとえば,ハ行転呼を伴う変遷を伴う「ミミシヒ」系統聾語彙は『医心方』『頓 医抄』『福田方』諸本に散見する他,「ミミキカズ」系統聾語彙や「ミミツブレ」系 統聾語彙との和訓併記も見受けられた。「ミミキカズ」系統聾語彙は『頓医抄』『福 田方』諸本に散見するものの,名詞性が色濃いものと,連用形に留まっているもの が混在する実態が窺われた。「ミミツブレ」系統聾語彙は『福田方』諸本に散見し, 「ミミツブレ」初出典拠が南北朝時代に遡及し得ることが窺われた。
  • 白鳥 詩織
    歴史言語学

    2024年 13 巻 31-54
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
     早田輝洋は,舌根調和を日琉祖語の特定のドメインに再建する仮説を提唱した。 木田章義とジョン・ホイットマンは早田の仮説の射程を拡大したが,有坂・池上法 則における *u, *o₁, *o₂ の振舞を説明しなかった。本論文では,この問題を解決す るために,有坂の第一則と第二則を音法則の連鎖として再解釈する。文献学的証拠 と内的再建によれば,有坂の第二則の最も厳格な部分は福田の法則 (*o₂ > o₁ /u$_) によって再解釈可能である。しかし,有坂の第一則を音変化として解釈することは 難しい可能性がある。以上は,日琉祖語の母音体系の改訂の必要を暗示するもので ある。
  • 藤原 郁弥
    歴史言語学

    2024年 13 巻 17-29
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
    古英語の強変化動詞では現在形、過去単数形と過去複数形、過去分詞形との間に ヴェルナーの法則に由来する子音交替が生じるが、一部の動詞ではこの子音交替が 消失する。特に、ロタシズムを経た s–r の交替に関しては、第I類動詞 rīsan “rise”、 第V類動詞 lesan “collect”、 同じく第V類動詞 nesan “escape” の 3 つの動詞において そのような子音交替が見られない。この現象は長い間平準化 (levelling) によって説 明されてきた。この見解は一般的に受け入れられているが、形態的要因のみに基づ く説明では OE wesan “be” を除く第I類、第V類動詞では s–r 交替が消失するのに対 しすべての第II類動詞においてこの子音交替が維持される理由については説明する ことができない。
     そこで本研究では、上記 3 動詞における s–r 交替の消失について、古英語におけ る /r/ 音の異音分布が関係しているという新たな仮説を提唱し、古英語以前の時代 に /r/ が舌尖音を異音として持っていたことによりロタシズムが発生したという神 山 (2014) による仮説を導入する。さらに s–r 交替が消失した第 I 類と第 V 類動詞は 過去複数と過去分詞の語幹に前舌母音をもち、s–r 交替を保った第 II 類動詞は後舌 母音を持つという音声環境の違いを考察し、前者では /r/ が硬口蓋寄り(=舌尖音) で調音され、後者では軟口蓋寄りで調音されたことを論じる。そして、そのような 異音の分布状況において、本来の語幹末子音である /s/ との差異が小さい舌尖音の /r/ を持つ第I類、第V類動詞の過去複数形および過去分詞形において s–r 交替を排 除するような類推が働いたという結論に至る。
  • 西尾 純一朗
    歴史言語学

    2024年 13 巻 1-16
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿は,Lambeth Psalter の注解が示す語順に着目し,動詞先行の強い傾向や,それ に伴う副詞などにかかわる諸問題から,注解者の文法的意識を探るものである。 Lambeth Psalter は11世紀イングランドで作られたラテン語の詩篇の写本であり,行 間に古英語語彙注解に加え,統語注解が付されていることが特徴的である。統語注 解は,ラテン語で書かれた原文に対して,どのような語順で単語を見ていけば古英 語話者にとって理解しやすいかを指示するものである。この統語注解のシステム自 体は,Robinson (1973) や O’Neill (1992) などによってすでに明らかにされてきたが, この統語注解が示す語順の特異性について考察するものは,山内 (2004) を除いては ほとんどない。Lambeth Psalter の注解が指示する語順は単に古英語文法に拠るもので はなく,いくつかの点で特有の規則性を示している。その一つが「規則的に動詞が 先行する語順」であり,これを明示することが本稿の目的の一つである。この動詞 先行の語順は,読者にとって確固とした指針を与える一方で,þa や þonne などの古 英語単語を含む節においては,古英語散文一般にみられる語順との齟齬も示してい る。古英語の þa や þonne といった語は,接続詞としても副詞としても用いられるも ので,古英語散文においては,これらの語が接続詞と副詞どちらとして用いられて いるかを語順によって区別する方法が確立されている。これは主に動詞の位置を差 別化することによる方法であるが,一方 Lambeth Psalter の注解においては,動詞が 先頭に位置する語順を一貫しているため,同様の方法を採ることができない。これ に際して注解者は,副詞の位置を差別化する手法や,語彙注解において不変化詞 þe を用いるという手法によって解決を試みている。これらの方策はいずれも Lambeth Psalter を通して有意に多用されており,こうした注解上の工夫から,注解者が特定 の文法的課題とその解決に対して殊に意識的であったことを見出すことができる。
  • 歴史言語学

    2024年 13 巻 iii
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
  • 小柳 智一
    歴史言語学

    2024年 13 巻 135-154
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
    「日本語の文法変化」と言う時,「日本語の」という個別性と「文法変化」という一般性の 2 つの側面があり,2 つを同時に捉えたいという欲求がある。その研究の方法には,他言語で明らかにされた文法変化の一般性に拠って日本語文法史を見る方法(例えば,日本語を対象とする「文法化 (grammaticalization)」研究)と,日本語文法史に即して文法変化の一般性を探る方法があり,ここでは後者の方法を採る。日本語文法史に即して,機能語(文法形式)が何を資材として作られたか(「機能語生産」と称する)を整理すると,広い範囲を覆って類型化ができ,「文法化」はその 1 つに収まる。機能語生産には,事例の多い有力な類型とそうでない類型があるが,この見方によればその違いの生じる理由が説明できる。しかし,この見方も文法変化を捉える 1 つの見方であり,これでは捉えきれない個別事例を紹介して,個別研究の重要性を再確認する。
  • 古代の萬葉仮名表記を例に
    尾山 慎
    歴史言語学

    2024年 13 巻 117-133
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
    古代日本語は漢字だけで書かれているが,表語用法と表音用法を交ぜ,後世の漢字仮名交じりに通じる方法がすでに模索されている。このとき,「於オ保ホ岐キ美ミ」のような萬葉仮名表記は確実な語形の復元にあたって重要とされ,古代語の研究は多く,かかる用例を足がかりにしてきた。しかし,仮名による語形復元の絶対性を期待しすぎると,必然的に仮名の音節は揺るぎないという前提を作り上げる。そもそも文字表記は,音声を忠実に復元する道具ではない。その代表が訓仮名であるが,この仮名が,音仮名そして表語の漢字とも併用されているのが古代の表記の実態である。そこでは,文字や表記が表す音の根拠と,それによる語形復元が試みられるが,テクストに用例を閉じて統計的研究をすることで,循環論のリスクを孕む。この問題及び,その打開方法を論じ,漢字以外の文字も使われるようになる後代も含めた日本語文字表記論の課題と見通しを述べる。
  • 歴史言語学

    2024年 13 巻 i
    発行日: 2024/12/27
    公開日: 2025/07/19
    ジャーナル フリー
  • 上野 貴史
    歴史言語学

    2023年 12 巻 i
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
  • 田中 牧郎
    歴史言語学

    2023年 12 巻 91-106
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
    日本語史の近代を,明治時代以降ととらえるとき,漢語爆発期(明治前期),漢語 淘汰期(明治中期~昭和前期),外来語増大期(昭和後期~平成期)の 3 期に分ける ことができる。漢語爆発期では,西洋語彙の翻訳借用によって多くの漢語が登場し た。漢語淘汰期では,前の期に登場した漢語の多くが淘汰され,一部の漢語は定着 するが,定着する漢語は既存の和語との間で語彙体系を調整し,安定していく。外 来語増大期は,西洋語彙が音訳によって受容され,定着する外来語は既存の和語・ 漢語との間でやはり語彙体系に調整を生じ安定していくが,スタイル差によって使 い分けられるようになるものもある。
  • 語彙の近代化をめぐって
    高田 博行
    歴史言語学

    2023年 12 巻 89
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
  • 笠松 直
    歴史言語学

    2023年 12 巻 71-87
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
    サンスクリットの動詞 hā「捨てる」の現在形は,jahā-ti のように重複語幹をとる。 受動態は hīya-te,未来形は hāsya-ti,絶対詞であれば hitvā ないし vihāya のように派生する。  これに対してパーリ語では,歴史的な語形が一部に残存するものの,jah-a-ti のよ うな幹母音幹語形が優勢である。絶対詞はこの現在語幹から jahitvā のようにつくる。 また新たに hāya-ti の語幹が用いられるようになる。  Mahāvastu では jah-a-ti ないし hāya-ti の両語幹が生産的である。このような中期イン ド語的状況で文献を形成していた学派が,次第にサンスクリット化の洗礼をうけ, 「正規の」語形―具体的には受動態 hīyate ―の使用に傾斜したものであろう。現行 の Mahāvastu に見える hā の活用語幹は,jah-a-ti・jahā-ti・hāya-ti の混用状況に見えるが, それは完全に同時代的なものとは言いがたい。  こうした事情は梵文『法華経』においても同様であっただろう。幹母音幹として は 2 人称複数命令法 Saddhp XV 19b jahathā を例に挙げることができる。校訂本では古 典サンスクリット文法に適う vijahāti の語形が見られる箇所も (KN XIII: 285,12 = WT 244,9f.),中央アジア伝本の並行によれば原形は幹母音幹であったものと思しい (Kashg XIV: 272a5 vijahati)。幹母音幹活用は第XXV章の散文部分になお健在で,希求法の KN XXV: 464,2 = WT 379,9 jaheyur の読みは諸伝本に共通する (= Gilg A: 171,12 ~ Kashg XXVI: 438a1 (jahe)yu)。  重複語幹に基づく -ana- 名詞形 jahane (KN 464,2 = WT 379,8 = Kashg 437b7) はパー リ文献にも用例がある。パーリ語と同形の gerund 形 jahitvā も重複語幹を基礎に作っ たものと解せる。標準文法に適う gerund 形 vihāya が校訂本ないし Gilgit 写本に見 られるものの (Saddhp I 20d; XIII 43c),その本来の読みは中央アジア写本に証明さ れるように jahitva の可能性がある (Kashg 18b2 および273b4)。  現行の校訂本を見る限り,hā の活用形は混在している。しかし写本の読みを参照 すれば梵文『法華経』は本来,韻文・散文を通じてほぼ差異のない中期インド語的 な文法を基礎として形成されたものと想定される。
  • 佐藤 知己
    歴史言語学

    2023年 12 巻 53-70
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
    アイヌ語の名詞の所属形の起源として,名詞化辞 *IHI を仮定する考えが従来か ら提案されている(中川 1983)。南 (2020) は中川の提案に基づき,Creissels (2009) を援用して中川説を補強している。しかし,中川,南の主張は,類型論的,音韻的, 統語的観点のいずれの点からも問題が多い。また所属接尾辞の不規則性を説明する ための Janhunen (2020) の提案は,アイヌ語の歴史に大規模な母音脱落や子音脱落 があったことを仮定するが,子音や母音の「脱落」が概念形の形成や他動詞からの 逆使役のような,極めて限られた形態領域にしか起きないという問題がある。この 論文では概念形や逆使役の意味的特殊性に着目し,かつてのアイヌ語では,言語学 的に著しく有標な形態を形成する手法として,「マイナス特徴」が用いられたので はないかという仮説を提案した。この手法は,本来備わっているべき特徴(他動詞 における動作主,身体部位名詞における特定性)の欠損という異常な事態を表示す る手段として用いられたが,類像性を帯びるために一部の形式に使用が限定され, その後,接尾辞の付加として再解釈された可能性があることを指摘した。
  • 柴谷 方良
    歴史言語学

    2023年 12 巻 1-52
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
    This paper motivates the typological framework dubbed “dynamic functional typology” in terms of its utility in the description and analysis of classifiers and gender marking, which, we contend, have been mishandled by leading researchers in the field. The advantage of functional typology over the form-based, holistic typology presupposed by the WALS survey of numeral-classifier languages is demonstrated by its ability to bring to light a large-scale methodological limitation inherent in the past treatments of classifier/gender marking. In particular, it exposes numerous classifier/gender-marked constructions that do not accommodate a head noun functioning as a gender-agreement controller (Corbett 1991), or for a classifier to individuate the nominal referent for the counting purpose (Greenberg 1974) or to categorize the referent of the head noun (Allen 1977, Aikhenvald 2019). In place of the traditional analysis of classifier/gender-marked forms taking their modification use (e.g., Mandarin [yī zhǐ] ɡǒu ‘[one CLF] dog’, Spanish [una] casa ‘[one.F] house’) as a starting point of analysis, we take a radically different nominalization approach that analyzes such classifier/gender-marked forms as [yī zhǐ] and [una] in their own right, as nominalized constructions denoting respectively “one animal-class thing” and “one feminine-class thing”, independently from the head noun, which may not exist. A need to dynamicize functional typology arises in accounting for both crosslinguistic variation and language-internal crossconstructional/ functional variation of classifier/gender-marking. We offer a two-dimensional structural/functional hierarchy that provides a fine-grained comparative framework that both constrains the synchronic distribution patterns and predicts historical developments of classifier/gender marking across constructions, functions, and languages.
  • 歴史言語学

    2023年 12 巻 171-182
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
  • フランス語の標準化への歩み
    西山 教行
    歴史言語学

    2023年 12 巻 161-169
    発行日: 2023/12/27
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー
    フランスはヨーロッパ諸国の中でも比較的早い時期に言語整備を行い,1635年に リシュリューによって設立されたアカデミーフランセーズはフランス語の標準化に 重要な役割を果たした。アカデミーフランセーズは辞書,文法書,修辞学,詩学の 編集を通じてフランス語の純化と整備をめざしていた。辞書の編集は現在にいたる まで継続しているものの,文法書は1932年にいちど限り刊行され,また他の著作に ついてはひとたびも刊行されていない。  アカデミーフランセーズの辞書は1693年に刊行されたが,その重要な目的は「ひ とつのフランス語」を提示し,フランス語の顕彰を通じて国王の威信をヨーロッパ 諸国に誇示することであった。そこでのフランス語の規範は宮廷や上流社会の「良 き慣用」に基づくもので,古典主義文化のオネットオムに向けられていた。  このフランス語は時代とともに変化し,アカデミーフランセーズの辞書も科学技 術用語などを取り入れていた。ところが大革命のただなかで刊行された第 5 版はフ ランス語の標準化にもまして,革命イデオロギーや革命の生み出した新語の表明に 専念し,また王政廃止後の共和国市民へ向けたフランス語の整備を標榜している。 19世紀以降,アカデミーフランセーズはイデオロギー装置としての第 5 版を否認し たが,革命の生み出した社会現象を表現する新語はその後の言語生活に統合されて いった。  20世紀におけるフランス語の標準化は政府機関によっても実施され,法制上の規 定を伴っているのに対し,アカデミーフランセーズの辞書は言語法ではなく,機関 の権威や威信を根拠とするもので,公的な文化機関としてフランス語への介入を実 施しており,これが統制されたフランス語の表象の構築にも貢献している。
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