昭和58年1月より,昭和59年9月までの間に我々の施設で胆石症として手術された87例のうち, 4例は術中,術後の組織検査で,はじめて胆嚢癌であることが判明した.胆嚢癌の早期診断は難しく,腹部超音波検査では浸潤性病変はもとより,隆起性病変でも10mm以下のものでは診断が困難である. ERCPでも,同様であり,胆嚢不影の場合すらある.一般に,胆嚢癌の予後は不良であるので,我々は胆嚢摘出術後,速かに胆嚢内を検索し,肉眼的に疑わしいものがあれば,迅速組織検査を行い,発見につとめてきた.胆嚢を5~10分,ホルマリン固定すると粘膜の性状がより明瞭となり,異常を発見しやすくなり,有用な方法であった.手術は,肉眼的にStage Iであっても,胆嚢外への癌浸潤の可能性があるので,拡大胆嚢摘出術を行っている.不幸にして,術後の組織検査ではじめて,胆嚢癌と判明した場合は,可及的早期に二期的手術を行う様,努めている.
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