自走式搬器の自動運転技術の一部である自動荷おろし機構について,これまで開発した制御手法を丸太に適用するための改良を行った。長さ10mと4mの丸太を吊荷として荷おろしを行い荷吊索ドラム駆動用油圧モータの差圧を計測したところ,重心からある程度離れた位置で吊り上げた場合において,接地直後に丸太の倒伏速度と索降下速度との差から荷吊索が緩んで差圧が一時的に著しく低下することが明らかとなった。シミュレーションの結果これにより着地の誤検知が発生する可能性があることが分かったため,接地時のフック高が一定値以上の場合には接地直後の着地検知を無視するよう制御手法を変更した。また,接地後に索降下と搬器走行を交互に行うことで,丸太を主索方向に揃えることができるため,これを自動で行う制御プログラムを作成し,既存の制御に組み込んだ。丸太を使用して自動荷おろしを行ったところ,荷おろし動作は正確に行われ,また荷おろし後の丸太を想定したとおり主索方向に並べることが可能となった。丸太の自動荷おろしが実現したことで,既に実現している自動走行技術と合わせて目標とする実走行〜荷おろし〜空搬器返送の自動運転が可能となった。
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