顎
関節症
の疫学的研究によると, 一般人においてなんらかの顎
関節症
症状を自覚している人の頻度は14~58%で, 他覚的な症状を有する人は41~88%といわれている。また, 顎
関節症
症状を訴えていない一般の歯科患者の中にも, 顎
関節症
患者は潜在しているものと思われる。
近年, 患者側の関心度の高まりや, 豊富なマスメディア情報などにより, 顎
関節症
を主訴として受診する患者が年々増加している。
今回われわれは, 1990年1月から1999年12月までの過去10年間に当科を来院し顎
関節症
と診断された1, 660症例について, その症型分類, 男女比, 年齢, 年度別推移などについて臨床統計的検討を行い, 知見を得たので報告する。
全症例の症型分類については, I型19.7%, II型22.3%, III型48.4%, IV型9.2%, その他のもの0.4%でIII型が最も多かった。性別では, 1, 660症例中男性478例, 女性1, 182例で男女比は1: 2.47と女性が圧倒的に多かった。年齢別では20歳台 (26.5%) を中心とした大きなピークと50歳台 (15.4%) を中心とした小さなピークの二峰性分布を示していた。年度別症型推移では, 近年の特徴としてIII型, II型, IV型が増加傾向で, I型, その他のものは横ばい傾向であった。また, 年度別・年齢別推移では特に20歳台, 50歳台が年々増加傾向にあり, その他の年代はここ10年間ほぼ横ばい傾向であった。
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