Wistar 系雄ラットを高糖質食群 (C食群) と高脂肪食群 (F食群) に分け, 前者はエネルギー比率70%のコーンスターチと15%の大豆油, 後者は35%の大豆油と50%のコーンスターチからなる合成飼料とし, さらにこれらC食群とF食群を7匹ずつ各4群に分け, 非運動群 (NE), 1日20分間毎週6日間強制的に水泳を負荷した群 (20-E), 40分間水泳を負荷して最終日の水泳直後に屠殺解剖した群 (40-E
1) と水泳負荷前に屠殺した群 (40-E
2) とした。ラットは10週齢より試験食を与え, 11週齢より毎日水泳を負荷して21週齢まで飼育した後, 屠殺して血清および肝組織の脂質成分や諸臓器ならびに体脂肪重量などを測定し, 次の結果を得た。
1) 体重はNEがいずれの運動群よりも高く, NE>20-E>40-E
1,2の順となり. またC食群はF食群より高い傾向を示した。体脂肪はC食群のNEが他の7群より有意に高く, 肝臓, 心臓重量の体重比率は運動群が高値を示した。
2) 血清総コレステロール (T-Chol) とTBA値はC食群よりF食群が高く, 両食群とも20-Eと40-E
2で低下した。血清トリグリセリド (TG) とαリポたん白質 (α-LP) はC食群がF食群より高く, TGはF食群の40-E
1,2で特に低下し,α-LPはC食群の20-Eで高値を示した。
3) 肝総脂質 (TL) と肝 Chol はF食群の40-E
1,2がC食群の40-E
1,2より高くなったが, 肝TBA値はC食群のNEと20-EがF食群のNE, 20-Eより高くなり, 肝TL, Chol, TBA値いずれもC食群では運動負荷で低下したが, F食群では運動負荷による肝脂質組成の好転は認められなかった。
以上の結果より, C食群では運動負荷によって脂肪組織の減少と血T-Chol,β-LP低下の傾向および肝脂質組成の好転を認め, F食群においても血清T-Chol, TGの低下とα-LP/(β-LP+preβ-LP) 比の上昇など運動負荷による好転の傾向をみたが, 血清Chol, 血清TBA値,α-LPなどの脂質組成は概ねC食群のほうが良好であった。
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