【目的】 米飴は、我が国独自に発達した水飴の一つであり、もち米と
麦芽
を材料として伝統的な製法により作られる。米飴は、
麦芽
に含まれる糖化酵素を利用して、もち米中のデンプンから
麦芽
糖を生成するもので、優しい甘さを特徴とする。また、
麦芽
に含まれるプロテアーゼにより、原料由来の旨味や芳香成分が生成されるため、デンプンを酸で糖化した水飴とは異なり、コクのある風味や味、香りを有する。加えて、調製過程において添加物を一切使用しないこと、生成された
麦芽
糖は血糖値の急激な上昇を抑えることなどから、安全面や健康面から注目を集めている。しかし近年、水飴はコーンスターチなどの安価なデンプンを主原料として大量生産されるようになっている。米飴は伝統的な甘味料であることから、米飴の衰退は伝統的製法をはじめとした食文化継承の面から懸念すべき状態といえる。そこで、本研究では伝統的製法により米飴を調製し、成分の変化を検討することとした。文化的・科学的側面から米飴を見直すことにより、米飴をはじめとした米利用の多様性に気づく一助とする。
【方法】 米飴の材料は、もち米(精白米)と乾燥大麦
麦芽
とした。大麦
麦芽
はフードプロセッサーにて予め粗く粉砕して用いた。もち米はかゆ状に炊飯し、
麦芽
を添加して60℃で糖化させた。
麦芽
の添加量を米100gに対して15~35%まで変化させて、各種成分を測定した。また、もち米の品種などが米飴の糖化に及ぼす影響について検討した。
【結果】 麦芽
添加量の増加に伴い、糖度、マルトース、グルコース、いずれも経時的に増加し、4~10時間で平衡に達した。
麦芽
1gあたりの糖生成の効率は、
麦芽
15%添加が最も高く、次いで25%、35%と続いた。
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