2016 年 16 巻 8 号 p. 381-386
多糖誘導体系キラル固定相が,幅広い光学異性体化合物群に対して,極めて高いキラル識別能力を有することは既によく知られている。現在の光学純度測定手法の主流はHPLC 法であり,そこでは多糖誘導体系キラルカラムが専ら使用されているとの報告もある。
一方,トリグリセリドに代表される油脂系化合物はキラル分離困難な化合物として考えられていたが,ここ数年,分離報告例が相次いだ。ここでは本分野の方にキラル分離を知って頂くためにHPLCキラル分離と多糖誘導体系キラル固定相の概略を振り返るとともに,最近の状況について解説する。