戦後20年間,コンクリートおよび鉄筋コンクリートの技術の発達は目ざましいものがあり,何人といえども予想できなかったところであります。AE剤・分散剤・フライアッシュ等の混和材料の使用のほかに,材料の面では,セメント年産3000万t突破,中庸熱ボルトランドセメント・混合セメント等の普及,構造用軽量骨材の開発,高張力異形鉄筋の使用等注目すべきものがあります。また,施工の面では,混合プラント・バケット・強力な振動機等,コンクリートの製造・打込み設備・器具の発達は,大構造物を短期間に建設することを可能としましたし,プレパックドコンクリート等の特殊コンクリート,レディミクストコンクリート・プレキャストコンクリートの使用も見逃すことができません。さらに,コンクリート構造物の設計を一新させた観のあるプレストレストコンクリートの発展も戦後の一大特色でありましよう。これらのわが国コンクリート技術の発展に尽力された方々に,この20年間を顧みて,その親蓄を語って頂き,さらに将来の展望に触れて預くことは,このさいきわめて意義の深いことと考え,去る6月15日東京丸ノ内ホテルに下記の方々にお集まりいただき,それぞれの立場から戦後のコンクリートの歩みについて語っていただきました。本文はその時の速記録をもとにとりまとめたものであります。紙数の関係で今月と来月の2回にわたって連載します。
抄録全体を表示