北海道畜産草地学会報
Online ISSN : 2434-138X
Print ISSN : 2187-5391
11 巻, 1 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
原著
  • 足利 和紀
    原稿種別: 原著
    2023 年11 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    チモシーにおける初期生育性の効果的な選抜方法を解明するため、チモシー63品種系統、オーチャードグラス(OG、品種「パイカル」)およびペレニアルライグラス(PR、品種「チニタ」)を用いて、圃場および室内試験を実施した。 初期生育性の指標は、播種年における1番草の乾物収量とした。その結果、初期生育性について供試材料間に有意な差異が認められた一方で、その狭義の遺伝率は中程度から低かった。そのため、個体選抜よりも系統選抜が望ましいことが示唆された。さらに、初期生育性の間接選抜指標として、圃場条件では定着時草勢、室内条件では1,000粒重とシャーレでの7日目乾物重が有望であることが明らかとなった。また、上記3形質を用いた重回帰分析によるチモシー乾物収量の予測変化値から、PRほどの初期生育性の達成は困難であるものの、OGと同程度の初期生育性を達成する可能性はあり、チモシーの追播利用の可能性が示唆された。

  • 藤井 弘毅
    原稿種別: 原著
    2023 年11 巻1 号 p. 13-25
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    要約 北海道東部太平洋側の少雪寒冷地帯に位置する十勝地方の生産者圃場で導入されたペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)において、冬枯れの発生実態を調査した。その結果、冬枯れは頻発するものの、その程度および要因には地域間および年次間で差異が認められた。また、牧草の越冬に関する既往の文献を参照し、調査で認められた冬枯れの程度および要因と気象要素との関係から、冬枯れの多発条件を暫定的に設定した。それにより、道内の主なアメダス観測所105地点の過去20カ年(2001~2020年)の各々について、冬枯れ多発年に該当したか否かの判別を試みた。 冬枯れ多発年の出現頻度が20カ年中6カ年以上と高かった地点は、道東、すなわち太平洋側東部とオホーツク海側で30地点と多かったが、道東以外でも日本海側の太平洋側西部との境界付近や太平洋側西部で6地点が該当した。一方、道東でも冬枯れ多発年の出現頻度が低かった地点も認められた。したがって、冬枯れの危険度をより細かく評価することの重要性が示唆された。なお、各地点は、冬枯れの危険度と冬期の気候との関係によって、少雪かつ厳寒なために正常な越冬が難しい地点(Ⅰ)、積雪は少ないが温暖なため越冬することができる地点(Ⅱ)、厳寒か温暖かに関わりなく、初冬から、または寒くなるのと同時に着実に積雪が進むため、あるいはそれに加えて多雪であるために越冬することができる地点(Ⅲ)の3つのグループに大別することができると推察された。

feedback
Top