北海道畜産草地学会報
Online ISSN : 2434-138X
Print ISSN : 2187-5391
9 巻, 1 号
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原著
  • 藤井 弘毅, 田中 常喜, 飯田 憲司
    原稿種別: 原著
    2021 年 9 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2021/03/22
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    早晩性が異なるチモシー(Phleum pratense L.)6品種を供試し、夏以降の播種期が翌年の生育に及ぼす影響を検討した。9月に播種した結果、品種にかかわらず翌年1番草の乾物収量は激減し、8月播種に対する減収程度に品種間差異が認められた。再生草を加えた年間収量でも、8月播種に追いつくことはできなかった。1番草における減収程度は、極早生の「クンプウ」が最も大きく、早生の「なつちから」、中生の「なつぴりか」、「キリタップ」では小さかった。いずれにしても、播種翌年から品種の潜在生産力を活かすには、1番草から本来の生育を発現することができるよう、播種期を遅らせないことが肝要と考えられた。なお本試験結果は、単年1回の調査データに基づくものであることに留意することが必要である。

  • 山田 未知, 幸 可奈子, 松井 知聖, 岩崎 智仁, 長谷川 靖洋, 竹花 一成, 杉山 慎治, 蛯原 哲也, 小山 洋一, 中辻 浩喜
    原稿種別: 原著
    2021 年 9 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2021/03/22
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    肥育前期からのコラーゲンケーシング残さ(ケーシング)給与(市販飼料への5 %または10 %添加)によるブタの発育、産肉と血清成分への影響を検討した。肥育後期と肥育期全体の1日平均増体量で市販飼料のみを給与した対照区に比べ、市販飼料の10 %をケーシングで代替した区(10 %区)で有意に低い値を示した。肥育前期、後期および肥育期全体の1日1頭当たりの飼料摂取量は対照区に比べ10 %区が有意に低く、市販飼料の5 %を代替した区(5 %区)に比べても肥育後期では低い傾向を、肥育期全体では有意に低い値を示した。血清成分ではA/G比、γ-グロブリンおよびHDLコレステロール濃度が対照区に比べ10 % 区において、総コレステロール濃度が対照区に比べケーシング給与区において影響がみられた。よって、10 %区で見られた飼料摂取量と増体量の低下から、ケーシングの肥育豚における飼料添加割合は10 %より5 %が適していると考えられた。

  • 髙谷 龍馬, 山根 慧悟, 小坂 和誠, 茅野 光範, 萩谷 功一, 三上 奈々, 林田 空, 宮下 透, 小出 明里, 山口 佳男, 村西 ...
    原稿種別: 原著
    2021 年 9 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2021/03/22
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    ハンガリー原産のマンガリッツァブタが十勝に導入されたが、その成長に関する情報は国際的にもほとんど存在しない。そこで、マンガリッツァの増体性や産肉性について商業用品種(ケンボロー種、三元交雑種)と比較検討を行った。

    マンガリッツァは出生体重1.2±0.0kgで、その成長は緩やかであり、商業用品種の出荷時期である約6ヵ月齢で63.8±1.2kg、15ヵ月齢以降に体重の高止まりが認められた。また、枝肉成績において枝肉重量は18ヵ月齢以降増加せず、背脂肪厚は商業用品種の2倍以上であった。背脂肪および頸部脂肪の融点において両種の間に差はなかったが、脂肪酸組成では、商業用品種と比較してリノール酸が有意に低い値を示し(P < 0.05)、オレイン酸は高い傾向であった(P < 0.10)。以上の結果から、マンガリッツァは十勝の気候下での放牧肥育が可能であり、15-18ヵ月齢が出荷適期と結論づけた。

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