日本再生歯科医学会誌
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3 巻, 1 号
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総説
  • 武井 次郎
    2005 年 3 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/03
    ジャーナル フリー
    1980年代に提唱された組織工学という概念が,研究の発展に伴い,近年,現実的な医療として社会の注目を浴びている.組織工学に必要な足場材料は,ポリ乳酸などの合成ポリマー,βTCPなどの生体親和性の高い多孔性無機材料,天然ECMの精製物などが使われてきたが,化学合成品の持つ安全性と,真の3次元的環境を提供するECMの,両方の特徴を併せ持った足場材料は,これまでのところ実用化されていない.
    1993年にMITで開発された一連の自己組織化ペプチド(”PuraMatrixTM”)は,生体内に存在するアミノ酸のみから構成されており,生理的条件下で直径約10nm程の繊維を形成し,ハイドロゲルとなる.これまでに種々の細胞の生着,増殖が確認されており,また,生体内へ細胞なし,または細胞と共に注入することによって,骨,脳,心筋の損傷部位の再生を促すとの報告がある.動物を用いた安全性試験の結果を踏まえ,歯槽骨の再建のための生体材料として期待が持たれている.
  • 森川 訓行, 諸田 勝保, 富畑 賢司, 平 嗣良, 高橋 佳丈, 森田 真一郎, 鈴木 昌和
    2005 年 3 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/03
    ジャーナル フリー
    我々は,二種類のコラーゲンスポンジと二種類のヒト皮膚由来の正常細胞(真皮繊維芽細胞&表皮角化細胞)からなる新しい三次元培養皮膚モデル“Vitrolife-SkinTM”を開発した.この培養皮膚モデルは,真皮層と角質層を含む表皮層の二層構造を有しており,実際の皮膚に類似した構造となっている.この培養皮膚モデルを用いて,皮膚刺激性や皮膚腐食性試験などの動物実験代替法の検討を行い,新たな被験物質作用方法の開発を行っている.また,この培養皮膚モデルを用いた皮膚組織再生のための臨床応用に向けた検討も行っている.本稿では,我々の培養皮膚モデルについて概説する.
原著論文
  • -骨梁構成および骨密度測定について-
    中田 浩史, 諏訪 武利, 沼田 靖子, 岡崎 義光, 町田 健, 郡司 敦子, 寒河江 登志朗, 早川 徹, 加藤 仁夫, 和田 守康, ...
    2005 年 3 巻 1 号 p. 24-40
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/03
    ジャーナル フリー
    本研究は2種類の表面処理を施したインプラントの引き抜き試験を行った兎大腿骨を,Micro-CTを用いて,インプラントに接していた骨表面より100μm内部までの骨梁構成および骨密度測定について報告する.
    1. 骨梁構成
    Blastedは,Machinedと比較して8週から24週においてインプラント周囲の新生骨は,経時的な厚みを増し,骨梁構成の増加を認めるが,24週以降で骨梁構成に明らかな差は認めなかった.各週において,表面処理の違いで明らかな差は観察されなかった.
    2. 骨密度測定
    両表面処理において,4週から48週にかけてインプラント周囲の新生骨は経時的に有意に高い骨密度を示した.BlastedはMachinedに比べ各週において高い骨密度を示した.
    インプラントの表面処理は骨密度を左右させる要因のひとつであり,オステオインテグレーションと100μmまでの骨量に大きな影響を与える要因であることが明らかとなった.
  • 金 基燮, 隈部 俊二, 岩井 康智
    2005 年 3 巻 1 号 p. 41-56
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/03
    ジャーナル フリー
    再生医療を目的として組織幹細胞の研究が進展しており, 歯髄由来の培養細胞が象牙質形成能を持つことが報告されている.今回, scaffoldとしてアルジネートの有用性を検討するため, ヌードマウス腰背部皮下の筋膜上に培養したヒト歯髄由来細胞を移植した.培養実験では培地にβ-glycerophosphateを添加したところ, dentin sialoprotein (DSP) をコードしている mRNA が発現し, アルカリホスファターゼ活性が上昇した.移植実験では移植 6 週後には移植部位に放射線不透過性構造物の形成が確認された.免疫染色でコラーゲンタイプ ?T, ?V と DSP の発現が認められた.さらに象牙芽細胞様細胞の分化と象牙質様硬組織の形成が確認された.本実験により歯髄由来細胞のscaffoldとしてのアルジネートの有用性が示唆された.
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