北海道札幌市羊ヶ丘にある森林総合研究所北海道支所実験林(以下,羊ヶ丘)において,典型的な夏鳥であるヤブサメ
Urosphena squameiceps,アオジ
Emberiza spodocephalaおよびセンダイムシクイ
Phylloscopus coronatusの巣内ヒナに標識調査用金属リングを付け,秋期標識調査期間中に再捕獲した日までの期間により,巣立ち後の幼鳥の出生地付近における滞留期間を類推した.ヤブサメは11例の再捕獲があり,すべて出生巣から南方向に位置する網によるもので,平均して巣立ち後56日,もっとも長いもので76日の再捕獲例があったことから,巣立ち後の2ヶ月前後は出生地付近に留まることが類推された.アオジは3例の再捕獲のうち,長いもので出生巣から南東方向で88日後,北北西方向で90日後の再捕獲があったことから,約3ヶ月間は出生地付近に滞在することが類推された.またアオジの秋の渡り最盛期には,羊ヶ丘と北海道内他地域の調査地との間で,一部の幼鳥が放鳥後に北もしくは東方向で短期間に再捕獲された例が確認された.センダイムシクイはわずか1例の再捕獲であったが,西南西方向にある網で32日後に再捕獲された.
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