日本鳥類標識協会誌
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30 巻, 2 号
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一般論文
  • 河地 辰彦
    原稿種別: 一般論文
    2018 年 30 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    栃木県北東部の那須野ヶ原で繁殖するケリVanellus cinereusについて,色足環を用いた個体識別と追跡調査をおこなった.その結果,複数年にわたるつがい関係や雌雄の帰還性の差,つがい相手が生存していても別な個体と再婚した例について情報が得られた.

    ケリは,年を隔てても同じ営巣場所を利用し続ける帰還性の強い鳥であることが確認された.しかも,雌よりも雄にその傾向が強く見られた.同じ営巣場所を継続して利用した年数は,雌が平均2.4年に対して,雄は平均6.1年で有意差が認められた.

    つがい関係は,1繁殖期間中は一夫一妻のみで,複数年にわたって継続していた.しかし,長期にわたって継続するものは少なく,雌は数年で替わっていた.つがい関係の継続は最長5年間であった.また,元つがい相手が生存しているにも関わらずそれぞれが別個体と再婚した例もあった.

資料報告
観察報告
  • 續 ユキ子
    原稿種別: 観察報告
    2018 年 30 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    2017年5月23日,山梨県北杜市でジョウビタキの巣を発見した.この巣の雌親には環境省標識調査用足環が付いており,写真撮影を行って足環番号を読み取ったところ,この個体は2016年に,繁殖場所から約220m離れた地点で,巣内雛で放鳥された個体と判明した.ジョウビタキは冬鳥だが,近年日本各地から繁殖報告が相次ぎ,繁殖分布の拡大が示唆されている.しかし,国内繁殖個体の越冬地や渡り経路,幼鳥の分散といった基礎的な生態は全く解明されていない.本報告は,日本で生まれたジョウビタキが,巣立ちの翌年に自らが巣立った場所の至近で繁殖を行った確実な記録として,今後の個体群動態を推測するうえでも貴重なものであろう.

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