日本サンゴ礁学会誌
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原著論文
  • 伊藤 真裕子, 森 愛, 本郷 宙軌, 浅海 竜司, 宮入 陽介, 横山 祐典, 藤田 和彦
    2018 年 20 巻 1 号 p. 1-20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/12
    ジャーナル フリー

    琉球列島の海浜堆積物は主に石灰化生物の骨格片や殻で構成される。しかし,海浜堆積物の生産年代,生産場から海浜への運搬時間や堆積年代についてはよく分かっていない。本研究では,沖縄県瀬底島の海浜・サンゴ礁で採取した表層堆積物試料を用いて,有孔虫Baculogypsina sphaerulata(ホシスナ)の遺骸殻(以下,星砂と表記する)の磨耗度と放射性炭素(14C)年代から,海浜堆積物の生産年代や運搬・堆積過程を明らかにすることを目的とした。星砂の磨耗度分析の結果,礁原から海浜に向かって棘がある星砂の比率が低くなり,海浜では棘がない摩耗した星砂が多くみられる。14C年代測定の結果,サンゴ礁・海浜堆積物中の星砂の14C年代は全て約700cal yr BP(西暦1950年を基準とする暦年代)以降を示す。星砂の14C年代は礁原から海浜へ古くなる傾向がみられるが,礁池や礁原にも比較的古い摩耗した星砂がみられる。海浜堆積物の星砂の14C年代は,北端でより新しく,屈曲した中央部でより古い。一方,海浜堆積物中のサンゴ片・貝殻の14C年代の多くは西暦1950年以降の年代を示す。これらの結果から,星砂の生産は約700cal yr BP以降に増加したと考えられる。これは,後期完新世の相対的な海水準の低下に伴う礁原の発達によってホシスナの生息場が増加したことが関連すると考えられる。また,星砂は死後の数十年~数百年で波浪により礁原から海浜へ運ばれた後,沿岸流(潮汐流)により主に海浜の北側から中央部へ徐々に集積し,再びサンゴ礁へ戻されると推測される。さらに海浜の前進は現在も続いていることが示唆される。

  • 比嘉 義視, 新里 宙也, 座安 佑奈, 長田 智史, 中村 良太, 横倉 厚, 謝名堂 聡, 大森 信
    2018 年 20 巻 1 号 p. 21-37
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/12
    ジャーナル フリー

    沖縄県のサンゴ礁保全再生事業(2011-2017)は,「面的広がりのあるサンゴ植込みの実証事業」とサンゴ植え付けに関する技術的情報を補完するための「さんご礁再生に関する調査研究」を実施し,事業終了の時点で,3ヘクタールの適地に10万本以上のサンゴ種苗を植込み,育てることを目標に実施された。本報告は,3年間(2012-2014)に恩納村地先で行われた無性生殖を利用した種苗生産と植込みの結果を2016年5月までのモニタリングの結果を基に報告し,この間になされた移植技術について考察したものである。種苗は鉄筋を用いたひび建て養殖で育成した親株から採取したミドリイシ属で,このうちウスエダミドリイシAcropora tenuisについて遺伝子型を判定した結果,親株にはかなりのクローンが含まれていることが判明した。他方,天然サンゴにはクローンはなかった。植込んだ種は2012年は15種,2013年は12種であったが,2014年は成長が速く比較的高温耐性の強そうな6種が選ばれた。3年間に植込んだ種苗数は31,264本である。2012年と2013年は中間育成をせず,幾何平均径GMDが4cm程度の種苗を植込んだ。成長速度はそれぞれ,3.7cm/年と7.5cm/年であった。一方,2014年は3-6ヶ月の中間育成を行い,約8cmの種苗を植込んだ。6種平均の成長速度は12.0cm/年になった。台風や高温に見舞われた2012年植込みサンゴの1年後の生残率は28%,約4年後には14%以下になった。2013年植込みサンゴの生残率は約1年後64%,約3年後48%であった。 いくつもの技術改良を加えた2014年植込みサンゴの2年後の生残率は63%以上で,3年後の生残率50%以上が期待される。種苗生産,中間育成およびモニタリングに要した費用は種苗1本あたり約2,000円であった。

  • 谷中 絢貴, 波利井 佐紀, 香川 浩彦, 上野 光弘, 北野 裕子, 斎藤 佑太, 長井 敏, 安田 仁奈
    2018 年 20 巻 1 号 p. 39-51
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    アオサンゴHeliopora coerulea(Pallas, 1766)には,遺伝的に異なる2系統(A,B)が見つかっているが,その生態学的な違いは不明であった。そこで本研究では,遺伝的な分化の原因として,生殖時期に違いがあるかどうかを確認するため,石西礁湖周辺で同所的に生息する2タイプの生殖時期の推定を行った。2014年6月から2017年9月にかけて計468群体を採集し,野外観察と組織観察を行った。Bでは7月中旬から下旬にかけて幼生保育が観察された。組織観察では,Aは5月から6月にかけて,Bは6月から7月にかけて卵母細胞および精巣のサイズが最大となり,その後消失ないし縮小した。このことから,Aは6月中旬から6月下旬にかけて,Bでは7月中旬から7月下旬にかけて放精および幼生保育・放出が起きる生殖時期であることがわかった。同一環境下でも両タイプの生殖時期が異なることから,アオサンゴの遺伝的・内因的な要因が生殖時期の違いに寄与していると考えられた。

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