日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
選択された号の論文の693件中251~300を表示しています
学術講演集原稿
  • 岡田 美香, 井上 真理子
    セッションID: P-036
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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     森林教育は、国際的に関心が高い。IUFRO(国際森林研究機関連合)は、世界各国の森林教育の現状を把握した上で、今後の森林教育の展望を示すことを目的に、国際森林学生協会と連携してGlobal Outlook on Forest Education(GOFE)プロジェクトを実施している。中間報告(2017年)から欧米等9カ国の現状を報告した昨年に続き、本報ではアフリカレポート(2019年)から3か国(カメルーン、ガーナ、ナイジェリア)の現状を報告する。

     大学での森林教育の開始は、カメルーンが2002年、ガーナが1982年、ナイジェリアが1941年と異なり、高等教育やプログラム創設に国際的な援助もあった。カメルーンとガーナには4機関、ナイジェリアには大学34校とカレッジやポリテクニック25校がある。カメルーンは人工林率が低く、教育内容に木材生産の他に野生動物の保護やアグロフォレストリー、森林認証も含む。ガーナは、21世紀に就職先が政府に加えて民間企業やNGOへ広がり、教育内容に人間と生態系の相互作用の考え方などの習得が求められている。教育機関が多いナイジェリアでは、学生数が減少傾向だった。

  • 小川 高広
    セッションID: P-037
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    本発表では、林業大学校に関する条例のうち、林業大学校を設置するために制定された条例について焦点をあてた。林業大学校が所在する道府県の例規集を調査し、条例の制定状況および条例から設置や組織の形態について、特徴の把握を試みた。この結果、林業大学校そのものを設置するための条例は、校種(学校種)が専門職大学(短期大学部を含む)、専修学校(専門学校)、各種学校の林業大学校において、制定されていたことがわかった。これら林業大学校は、道府県(一部は町)が設置や運営に直接携わる単独の機関・組織であった。他方、これら校種以外の林業大学校は、県の研究機関などに付属あるいは県の外郭団体が運営を委託された機関・組織であった。このため、林業大学校そのものを設置するためだけに制定された条例は、見られなかった。林業大学校の設置に関わる条例の制定は、校種により異なっていたことが明らかとなった。

  • 中村 和彦
    セッションID: P-038
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    学校教育において森林環境教育の推進を図る際には、森林体験活動から学校に戻った後の展開も含めた指導計画が重要となる。森林体験活動を教室内学習へ持続的に反映させるための方法論として、嗅覚や聴覚をはじめとする五感を意識した森林体験活動の振り返りを行うことの有効性が示唆されている(中村ほか,2020)。そこで本研究では、森林体験活動を行った児童の五感体験の記憶が、児童が抱く森林への印象とどのような関係にあるかを明らかにすることを目的とする。

    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林富士癒しの森研究所で10月に森林体験活動を行った山梨県内のA小学校第5学年の児童150名を対象として、約1ヶ月後に五感を意識した森林体験活動の振り返り学習を行い、その際の児童の五感体験の記憶状況を自由記述質問紙により把握した。さらに、その後の約1ヶ月にわたる調べ学習を終えた際に、同児童らが抱く森林への印象を選択式質問紙により把握した。

    児童の五感体験の記憶と森林への印象との関係を分析した結果、聴覚体験の記憶と森林への好印象との間や、嗅覚体験と森林の印象深さとの間などに、統計的に有意な関連性が見られた。

  • 石橋 整司
    セッションID: P-039
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    森林における体験学習を行う際に「星空観察」の活用を打診されることがある。星空観察とは文字通り「星空(星野)を観察すること」であり、基本的に肉眼で実施可能なため子どもを含む一般の人々にも参加しやすい活動といえる。一方、雲が出ている場合は実施できず、天候に左右されやすい森林における体験学習の中でももっとも天候の影響を受ける活動といっても過言ではない。そこで、実際の森林でどの程度の空が観察可能であり、また現地ではどの程度の確率で実施可能な天候に恵まれるのかを検討した。天候については地域や季節により晴天に恵まれる確率は大きく変わり、たとえば秩父地方では梅雨時の約25%から厳冬期の約80%まで差があること、特定の日を決めて実施しようとすると冬期であっても確率は40%程度に下がること等がわかった。また、樹木や崖など星空観察の妨げとなるものが森林には多くあり、隣接する森林との距離が十分とれない林地での星空観察は視野がかなり制約されることも問題点として挙げられた。さらに、長時間に及ぶ星空観察は集中力を保つことが難しいため専門家による解説などの工夫も必須と考えられた。

  • 倉本 宣, Wu Wimei
    セッションID: P-040
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    スマートフォンの写真を活用した環境学習プログラムをこれまで展開してきたので、その改善手法としてその場ですぐに画像が得られるインスタントカメラ(チェキ)を活用したプログラムを開発した。都市の中の舗装の割れ目や縁石のすきまに生育する植物をテーマに、人間キーステーションの主催により、成人を対象として、2021年11月13日に国立市富士見台団地の商店街むっさ国立において、観察会を開催した。主催者の学生は2名、参加者は9名であった。この企画はコロナ禍で制作した「くにたちすきま植物」を人間キーステーションの代表が担当の学生に紹介したことに由来する。

    「すきま植物」には茎を伸ばすと踏まれて折れてしまうことに起因してロゼットが多かった。ビロードモウズイカは、下見の段階ではロゼットであったが、当日は抽苔して開花していた。参加者が一人10枚ほどの写真を撮影し、A5の台紙に分類して貼ることによって、生活形スペクトルの一端について理解することができた。これまでは1枚の写真を貼ってコメントを書く方式をとっていたが、小さな写真を使うことで分類することにつながったといえよう。

  • 陳 田, 石橋 整司, 安村 直樹, 齋藤 暖生
    セッションID: P-041
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    竹林拡大問題は、竹のもつ生態学的特徴に加えいくつかの社会的要因によって生じるといわれるため、社会的要因の異なる地域毎に竹林拡大問題やその対策には違いがあると考えられる。そこで、47都道府県の竹林対策を担当する部署に竹林拡大問題と対策に関する質問票を送り、予算面、対策事業の内容について地域性に着目しつつ分析・検討した。回答が得られたのは41都道府県であった。調査の結果、竹林拡大対策において特に充当される財源に共通点が多く、竹の伐採処理など竹林拡大を抑制する対策は全国的に共通の試みが行われていた。この傾向は今後も大きく変わることはないと考えられる。また、対策事業には、総じて民間団体の竹林整備活動をサポートする形が多く見られたが、民間団体による竹林整備活動や竹資源有効活用については地域性が高くそれぞれの地域に合わせた活動を進めていくことの有効性がみられた。中でも竹の利活用については地域による特色が顕著であり、竹の利用が歴史的に盛んで知名度も高い地域では竹材やたけのこ製品の付加価値を高めブランド化も可能であるが、こうした下地を持っていない地域で同様の試みを成功させることは容易ではないと考えられた。

  • Kolonel Christian
    セッションID: P-042
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    The current study analysed the status and possibilities of briquettes production to enhance the understanding and potential of fuel briquettes in Japan. It was found that small-sized briquettes are imported from Kingsford company in the United States by Japan Barbeque Association, while long type briquettes used in restaurants/hotels and in domestics are imported from China, Indonesia, Vietnam, to mention a few. It was also found that renewable energy technologies utilizing forest biomass such as the Nambu town gasification and combined heat and power (CHP) plant in Yamanashi prefecture presents opportunities for briquettes production using charcoal produced at about 9% (12 bags of 100kg each) of the outputs per day. However, production hasn’t yet started due to the current mode of operation of renewable energy by the company.

  • 太田 みわ, 太田 徹志, 志水 克人, 溝上 展也, Sokh Heng
    セッションID: P-043
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    熱帯地域の森林減少・劣化は生物多様性や炭素ストックの観点から深刻な問題となっている。近年、これらの森林保全と地域住民の生計向上の両面から地域住民が森林を管理するコミュニティ林業(CF)に注目が集まっている。CFの森林保全効果は、主にCF設置地域の森林減少に着目した検証が世界各地で進められている。その一方で、分析に利用できるデータセットの不足などから、森林劣化や森林回復に着目した研究は見られない。また森林減少に関しても、既存のデータセットの性質上経時変化に着目した研究は困難であった。そこで本研究ではCFの設置が森林減少・劣化・回復に与える影響をCFの内外およびCF設置の前後の両面から評価した。対象地は森林面積の減少率が高いカンボジア全土とし、評価期間は1989年から2019年とした。時系列LANDSATから求めた評価期間における毎年の森林被覆および樹冠被覆率を結果変数とし、傾向スコアマッチングと分割時系列解析を用いて森林減少・劣化・回復量を分析した。以上の方法により、CF内外における森林被覆および樹冠被覆率の変化に加え、CF設置前後における経時変化も考慮した森林保全効果の検証を行う。

  • 査 世昊, 石橋 整司, 安村 直樹, 當山 啓介
    セッションID: P-044
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    戦後の拡大造林期に植栽された人工林が利用期に入って久しいがその利用は必ずしも拡がっておらず再造林の停滞などの様々な問題を抱えている。また、国民は森林の多面的機能の発揮を期待しており、民有林の森林整備に対する要請も高まっている。

    地域森林計画は、全国森林計画に即して所管の森林計画区の森林整備や保全目標を明らかにするものである。これまで地域森林計画全体に注目した研究は少ないが、計画内容や実行結果を分析することにより民有林の森林整備の実態や問題点を把握することができると考えられる。そこで、今回は158の森林計画区全体を対象に2000年以降の計画内容と実行結果について分析検討を行った。

    検討の結果、(1)全国森林計画の下で作成される地域森林計画であるが、現実には当該地域が含まれる地方自治体の森林政策の影響が大きいこと、(2)地域森林計画の実行結果は森林計画区ごとに異なり、多くの森林計画区の造林の実行結果、特に人工造林の進捗は計画目標と差があること、(3)新規の地域森林計画を作成するときに計画目標の設定と前期の実行結果が乖離している例が多いこと、等が明らかとなった。

  • 山下 淳也, 長島 啓子
    セッションID: P-045
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    森林の多面的機能の発揮や育成複層林への誘導、広葉樹の活用のため、森林計画において広葉樹林の再生や管理のあり方が問われている。このため、森林計画を行う上で広葉樹の様々な樹種について地形や地質といった立地環境に基づく分布特性を把握することが重要である。これまでの研究では林分の優占種となりうるコナラ等の分布特性について検討を行ったが、本研究では中低木種について立地環境に基づく分布特性の把握を行った。対象地は京都盆地の三方を取り囲む山々である。対象地内に10m×10mの方形区を130ヶ所設置し毎木調査を行ったデータをもとに解析を行った。数値標高モデル等のデータを用いて傾斜・凹凸・表層地質等の立地環境因子の主題図及びそれらを重ね合わせた立地環境図を作成した。また、毎木調査のデータから各立地環境の胸高断面積合計及び胸高断面積割合を算出し、これらの値を用いて各立地環境における対象樹種の分布の程度を2つまたは3つにクラス分けした。そして、各クラス間の立地環境の特性を決定木分析等を用いて解析することで、各樹種の分布特性を把握した。最後に解析結果を立地環境図にエクスポートし、各樹種の分布予測図を作成した。

  • 寺田 愛理, 太田 徹志, 溝上 展也
    セッションID: P-046
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    地位指数は、対象となる林分における主林木の平均樹高で表される。しかし、地上調査による樹高データの取得を広域的に行うことは容易ではないため、代替となる手法の検討が求められている。航空機レーザー計測は、森林の三次元情報を広域的に取得でき、地上調査が難しい場所での計測も可能である。そこで、本研究では、福岡県糸島市の針葉樹人工林を対象に、航空機レーザー計測により取得した林冠高データを用いた地位指数の推定を目的とした。同時に、航空機レーザー計測で求めた地位指数を目的変数、標高などの地形指標を説明変数とした統計モデルを作成し、地形指数から地位指数を推定できるかについても検証した。

  • 吉田 大智, 村上 拓彦
    セッションID: P-047
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    地位指数は、林地生産力を示す指標であり、上層木平均樹高と林齢によって推定される。人工林の高さ情報は、航空機LiDARの普及により、広域で取得が可能となった。林齢は、森林簿から取得することができるが、現地の実態と合わない部分があるなど情報の精度が低いことが課題であるため、本論では時系列空中写真に着目した。本研究の目的は、LiDARデータと時系列空中写真を組み合わせた人工林の地位指数推定手法を構築することである。新潟県村上市山北地区を対象地として、2020年10月21に行われた航空レーザ計測の各種データを用いて解析を行った。計測範囲は、約16,000haである。ArcGIS Proを用いて、LASデータからセルサイズ0.2mのDSM、DTMを作成し、その差分からDCHMを算出した。時系列空中写真については、国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」において過去の空中写真をダウンロードし、SfMソフトウェアであるMetashapeを用いて、撮影年別にオルソモザイク画像を作成した。その後、オルソモザイク画像間の変化抽出により、スギ人工林の林齢を推定した。

  • 向井 花乃, 美濃羽 靖, 長島 啓子
    セッションID: P-048
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    本研究では、広域的に多くの樹高データを取得できる航空レーザーから得た単木樹高を用いて、機械学習によるヒノキの地位指数の推定を行うことを目的とした。研究対象地は京都府立大学大枝演習林である。はじめに、航空レーザーデータから得られたDEMをもとにGISを用いて説明変数の傾斜角、有効起伏量、日射量、地形的湿潤指標の地形因子を作成した。これらの地形因子を造林保育簿の情報を属性にもつ林相区分図および航空レーザーから得られた樹高データとオーバーレイし、解析用データを作成した。このデータをもとに地形因子から樹高を推定するモデルをwekaのRandom ForestとMultilayer Perceptronを用いて構築した。この時、林齢36~44年生を林齢40年生とし、40年生の林分のみのデータと林齢に関係なく全林分のデータを使用した2つの学習モデルを作成した。その結果、いずれの場合も、特にRandom Forestを使用したモデルにおいて航空レーザーから得た単木樹高と予測値との間に強い相関がみられた。このため、モデルから推定した40年生時の樹高(推定値)と樹幹解析で求めた樹高(真値)について成長曲線をもとに地位ごとに分類し、比較検証を行った。

  • 黒木 俊太朗, 加治佐 剛, 寺岡 行雄
    セッションID: P-049
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    広域な森林の経営・計画において森林資源情報を簡易的かつ全域に把握することは非常に重要であり、従来から航空写真の利用が長く検討されている。

    そのなかでも、樹高成長の違いは林齢や立地条件といった要因が大きく関係しており、その関係性を把握することが出来れば森林計画の効率化につながる。

    近年、航空写真はデジタル化され、アナログで行っていた立体視からSfMによるDSM作成ができるようになっている。

    そこで本研究では、航空写真から得られる表面高(DSM)を用いて、鹿児島県垂水市に位置する鹿児島大学高隈演習林におけるスギの林冠高(DCHM)の変化と林齢・立地条件との関係を調べた。

    航空写真から生成される0.5m解像度のDSMとLIDAR計測で得られた国土地理院が提供している5m解像度のDEMからDCHMを計算した。その際、DCHMの解像度は森林域を単木的に捉えるようにした。

    林齢に対するDCHMがどのようにばらついているのかを林分単位で算出し、林齢と林冠高の関係を明らかにした。また、GISから得られる地形因子データを基に、地形的な影響が林冠高の変化に作用しているのか考察を行った。

  • 黒瀬 海晴, 仁木 美花, 小森 ひろ子, 長島 啓子
    セッションID: P-050
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    本研究はドローンと航空レーザ測量のデータを用いて広葉樹林およびアカマツ林の詳細な分類を試みることを目的としている。研究対象地である京都府南丹市八木町にある島津製作所の森に10 m×10 mの方形プロットを19カ所設置し、広葉樹林の植生調査を行った。植生調査で胸高直径・樹高・樹種を記録し、そのデータから樹種別胸高断面積割合を算出した。算出した樹種別胸高断面積割合を用いてクラスター分析を行い、対象地の植生をコナラ林・アカマツ林・ソヨゴ林・その他に分類した。また、春(2021年6月7日)にドローンによる撮影を行い、撮影した動画からオルソ画像を作成し、さらにArcMap上でオルソ画像からR値およびB値の単一バンドラスターを作成した。そして植生分類群別にArcGIS Proの分類ウィザードを用いて、得られた単一バンドラスターに対し教師付きオブジェクトベースの画像分類を行った。また、階層の違いを反映させるために航空レーザ測量で得られたDCHMのデータを用いて、ソヨゴ林を樹高の低いソヨゴ林と樹高の高いコナラ-ソヨゴ林に再分類した。その結果、70.59 %の精度で対象地の広葉樹林およびアカマツ林を詳細に区分することができた。

  • 岩間 大希, 村上 拓彦
    セッションID: P-051
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    展葉、落葉などフェノロジーは樹種毎に固有であるが、UAVの登場により高頻度での林冠表層の観測が容易になってきている。本研究では、観測時期が異なるUAV空撮画像を利用し、フェノロジーに基づく樹種分類を高精度で行うための方法を検討した。本論ではDJI社のMavic 2 Pro、Phantom 4 Proを使用し、研究対象地での空撮を年間通して様々な時期に行った。ドローン搭載用近赤外カメラのADC Auk(Tetracam社)で近赤外のデータも収集した。SfM技術とUAV空撮画像を組み合わせ、空撮46回分の様々な空撮時期のオルソモザイク画像を生成した。それぞれの時期のオルソモザイク画像をHSI変換した。それぞれの時期のH画像を重ね合わせた時期合成画像を作り、eCognitionDeveloperを用いてオブジェクトベース(分類器はランダムフォレスト)による樹種分類を行った。現地調査の結果を真値として、樹種分類の精度検証を行った。

  • 稲月 理央, 村上 拓彦
    セッションID: P-052
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    現在日本では、広葉樹資源を活用する動きが活発化している。国産広葉樹の有効利用を推進するためには資源蓄積状況の把握が欠かせない。そのため、広葉樹における資源情報の収集方法を検討する必要がある。我々は、森林資源量推定のツールとして、UAVの活用に注目している。本研究の目的は、UAV空撮画像を用いたブナ林の樹幹抽出である。具体的には、落葉広葉樹において、落葉期に樹幹が捉えやすくなる状況に着目した。UAV空撮データとSfM技術を組み合わせたUAV-SfM手法を用い、Mavic 2 Proにより取得された落葉期空撮データから三次元点群データを生成した。検証用データとして、YAMAHA製ラジコンへリLiDARとOWLを用いることにより、対象地の高密度点群データを準備した。得られた点群から樹幹データを取得することにより、樹幹抽出が可能になる。CloudCompareを用い、対象ブナ林において、立木本数の推定精度を確かめた。

  • 吉田 圭佑, 山本 一清, 島田 博匡
    セッションID: P-053
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    UAVを用いたリモートセンシングは利便性が高く、比較的安価に実施できることから、多時期・小区画・広域分散的な森林情報の把握・更新においては、非常に効果的であると考えられる。UAVによる空撮で得られた画像から、SfM 処理により空撮域のDSMを生成することが可能であるが、正確な立木位置、樹高を推定する際には、DSMのみではなく地盤高情報(DTM)が必要となる。そのため、過去に観測された航空機LiDARデータ等のDTM情報が利用されるが、RTK等を搭載しない一般的なUAVではGCP等を利用したDSMの補正が不可欠である。しかし、林地内に多数のGCPを設置することは容易ではないため、簡易な補正方法が必要である。そこで本研究では、LiDARデータを利用した簡易な補正方法について検討するとともに、三重県内の5地区に設置したスギ・ヒノキ林のプロットを対象として、異なる撮影方法による2019年から2021年の撮影で得た空撮画像から、プロット内の立木位置及び樹高を推定し、実測データと比較することにより、立木検出率や樹高推定精度に与える撮影条件の影響について検討した。

  • 齋藤 優, 溝口 知広, 皆川 昇, 塚野 大介, 小川 秀樹, 木村 憲一郎
    セッションID: P-054
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    近年,森林資源調査のため,高密度レーザスキャナを搭載したUAVが利用されるようになった.これにより従来の有人航空機と比べ,計測範囲は狭いものの,低空をゆっくりと飛行するため,より高密度な3次元点群を取得できるようになった.この高密度点群データでは,樹幹にもレーザが届き,幹の点群も取得できる.そこで点群中の樹幹を1つずつ正確に抽出することができれば,従来の樹頂点解析と比べ,立木位置や本数をより正確に把握することが可能となり,資源量の高精度算出に貢献できる.

    そこで本研究では,RANSAC法に基づく点群中の樹幹抽出手法を開発し,その有効性を評価した.提案手法では,幹が鉛直方向にまっすぐ延びる性質を考慮して,直線上に分布する部分点集合をそれぞれ樹幹として抽出する.実験より,スギでは98%,ヒノキでは82%の抽出率を達成した.スギと比べヒノキは,立木密度が高く,樹高が低く,幹が細いことに加え,下層植生も多かったため,抽出率が低下してしまった.またいずれも過検出の傾向にあり,下層植生などの樹木以外を抽出する場合があるため,これらを除外する手法を検討する.

  • Yupan Zhang, Asahi Hashimoto, Yuichi Onda, Hiroaki Kato, Takashi Gomi, ...
    セッションID: P-055
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    The present study demonstrated the feasibility of using UAV-LiDAR data to reconstruct the understory structure in a dense planted forest plantation and estimate understory vegetation biomass.

    - SfM as a passive measurement method has limited advantages in forest surveys. Both active LiDAR can reconstruct the multilayered forest structure, with a large range of Airborne LiDAR and a high density of UAV LiDAR.

    - For Stem Density detection both LiDAR systems have similar results, but UVA LiDAR has higher accuracy in Tree Height measurement.

    - The existing methods for calculating DBH, Openness and Tree Height are well established. Canopy/Trunk-based tree detection method still have potential for improvement.

  • Matsuzawa Takeshi, Gan Yi, Wang Quan
    セッションID: P-056
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    森林の葉の空間分布を表す指数として葉密度(LAD)、葉面積指数(LAI)がある。両者を推定する間接的手法として、近年リモートセンシング技術の一つである地上LiDAR が普及している。そこで本研究では、地上LiDARによる点群データを用いて落葉広葉樹林のLAD空間分布を推定した。調査地は静岡県川根本町に位置する標高1400mの落葉広葉樹林で、15×15平方メートルのプロットを60地点設置した。それぞれのプロットでTLS機器(FARO Focus Laser Scanner, FARO)を用いて測定を行った。さらにTLS機器での測定を行うと同時にFish eyeカメラを用いて全天空写真を撮影した。解析方法として、点群をボクセル座標系に変換し、ボクセル内のレーザの透過率にボクセル内のレーザの距離を用いて補正を行うことで、ボクセル内のLADの推定を行った。落葉前後で推定されたLADを比較することで非同化器官がLAD推定に及ぼす影響について検討した。また、LADから累積LAIを算出し、累積LAIの水平分布を求めた。地上LiDAR点群データから推定したプロットごとの累積LAIは、全天空写真から推定したLAIとの比較を行った。

  • YIN XIAO, Deng SongQiu, 加藤 正人
    セッションID: P-057
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    近年、森林調査に対するレーザセンサの応用が多くなっている。高精度の情報が豊富な点群データは正確な樹木材積の取得に役立つ。しかし、レーザセンサはビーム幅の影響を受けるため、目標物が遠くなると取得した点群データの誤差が大きくなる。

    そこで、本研究は地上レーザで取得した点群データを補正するための誤差検証を目的とした。信州大学農学部構内演習林を調査地として、高さにおける地上レーザデータから推定した直径と実測データの誤差を検討した。巻き尺で測量した15本の樹木の異なる高さの直径実測値を検証データをとした。高さ方向における誤差の検証として、地上レーザ計測で取得したデータから計算した直径と実測値の誤差を比較した。加えて、材積についても同様の検討を行った。

  • 山田 祐亮, 志水 克人
    セッションID: P-058
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    実効性の高い森林計画を策定するためには、対象とする地域の林業の傾向、ひいては伐採が行われやすい林地の条件を把握することが重要である。本研究では皆伐の行われやすさに影響する林地の条件を地域ごとに明らかにするため、研究対象地の隣接する3つの某市で皆伐の有無を目的変数としたロジスティック回帰を行った。その際、ステップワイズ法により、林齢、樹木のサイズ、材積、小班面積といった林相、傾斜、道からの距離、建造物からの距離といった地理的条件、所有者の在/不在といった社会的条件を候補として変数選択を行った。また、オッズ比により選択された説明変数の目的変数への影響を確認した。その結果、森林組合を中心とした皆伐施業が盛んな市では、傾斜等の施業の収益性に関する変数の影響が大きかった。一方で、新規参入や県外の林業事業体による皆伐施業が多い市では、地理的条件の影響は小さく、収益性以外の要因が施業地選定に影響していると考えられた。本研究から施業の空間的傾向は地域により大きく異なり、地域における森林管理にはそれぞれの傾向に沿った計画策定が重要であることが示唆された。

  • 佐藤 孝吉, 渡辺 皓大, 望月 一刀, 吉野 聡
    セッションID: P-059
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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     木質バイオマス発電事業は、大規模な直燃式から地域の特性を活かした2000kW未満の小規模発電へと展開してきている。山梨県南部町では、温暖な気候、豊富な森林資源、間伐などの保育作業が必要なことから2021年よりガス化による木質バイオマス発電事業を実施してきている。株式会社南部町バイオマスエナジー社と南部町が公民連携協定を結び実現した事業である。ダウンドラフト方式によるガス化システムで、760kWの電力と約2,000kWの熱量の産出が計画されている。原料は、合同会社南部Green Energyが年間7,000トンの素材をチップ化してガス化施設に供給するしくみである。FITによる売電、バイオ炭販売などを収益にした環境ビジネスに展開してきている。ガス化過程で生成された可燃性ガスを発電用燃料として使用したのち発生する熱は、町内の温水施設へと無償提供される。環境、社会面から公益的機能を高めていることから地域社会との協力体制を強化することにより、さらなる参加型の運営が可能になると考察した。

  • 津田 高明, 滝谷 美香, 大野 泰之
    セッションID: P-060
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    2011年の森林法改正以降、市町村が策定する市町村森林整備計画は地域森林管理のマスタープランとして位置づけられた。本整備計画において市町村は人工林資源の持続的供給を具体的に計画し実行管理する必要があり、資源量の将来推移を予測し持続可能性を評価する手法が求められている。人工林資源の将来予測においては、重要な因子として伐採齢分布が挙げられるが、伐採齢分布は造林木の地位や地域労働力等の林業に関する属性により変動する可能性がある。本研究では、北海道の市町村(179団体)にあるカラマツ一般民有林を対象に、各市町村の伐採齢分布の把握と地位等の林業に関連した属性との対応関係を分析した。減反率の分布をガンマ分布と仮定し、2014年及び2019年における各市町村の齢級別面積から最尤法により伐採齢分布を求め、クラスター分析を行ったところ、7つのグループに分類された。また、各グループと林業に関連する属性の対応関係を検討した結果、カラマツの地位や市町村周辺の製材工場での原木消費量と関連があることが示唆された。これらの結果を基に、市町村の分類階層を変化させることによる伐採材積の推定精度への影響を評価した。

  • 當山 啓介
    セッションID: P-061
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    日本の民有林への公的な森林計画制度では、最上位の森林・林業基本計画以下、全国森林計画・地域森林計画・市町村森林整備計画・森林経営計画が存在する。上位計画が策定され直すと下位計画もそれに対応して変更するといった実態からも、上位計画の優位性やトップダウン型の構造は明らかである。一方で地方自治体においては、地方自治法などと関連して大抵策定されている総合計画やその他計画等文書において、森林政策等を並列的に宣言している場合も多い。都道府県が森林計画区ごとに策定する地域森林計画について、それらの上位計画・下位計画・「並列計画等」との間での文書としての類似度合いの分析を試みた。公的森林計画制度では各々で記載すべき内容が森林法および関連命令等で規定されており、類似した体裁・文言であることが多いが、「現状、課題、基本方針」の内容を中心に可能な範囲内で独自の体裁・文言を採用している場合もみられた。同一県内の地域森林計画の体裁は非常に類似しており、共通部分を共通編等として完全に同一とする場合もあった。多くの県で並列計画等も存在するが、その位置づけや体裁は千差万別で、地域森林計画との類似の程度も様々であった。

  • 吉野 聡, 五十嵐 一平, 望月 一刀, 青山 将英, 佐藤 孝吉
    セッションID: P-062
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    山梨県南部町における公民連携木質バイオマスガス化発電所(以後、発電所とする)は地域資源の活用、FITによる売電、非常時の地域の災害対策を目的に運用されている。本研究では、発電所への供給可能な資源ポテンシャルとして間伐利用材積を資源供給可能量として明らかにすることを目的に、GISデータ、森林簿データを中心に分析した。分析できたのはスギ林分の小班数が全体の29%、ヒノキ林分の小班数が全体の28%となった。結果、①間伐時期のみの供給を仮定すると、私有林で間伐利用可能材積が5,265m3、県有林が4,306m3で、発電所の当初の計画需要量8,000m3が間伐材積を全て発電所に回した場合に需要が満たされ長伐期の施業区域からの資源供給が必要であること、② ①の仮定における搬出材から発電所用の資源を確保しようとすると私有林で1,106 m3、県有林が904m3しか確保できないこと、③距離別の間伐利用量をみると、私有林・県有林ともに発電所から4kmを境に資源量が大幅に増加すること、などが分かった。

  • 伊高 静
    セッションID: P-063
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    持続可能な森林資源の利活用において、様々な被害リスクを軽減するための資源利用のあり方を探求することが求められている。本研究は、病害虫の拡散に焦点を当て、カシノナガキクイムシによってもたらされるナラ枯れの時系列メッシュデータを利用した。機械学習の手法であるランダムフォレストを用い、気象データ・地形情報等に加え、害虫飛散経路となり得る空間的情報から、被害の拡散・移動の要因を明らかにした。拡散モデル構築にはセルラーオートマトン(CA)を利用した。CAのルールは、現実に観察される要因や枯れの変化を解釈しやすいよう、決定木を用いて設計した。また、薬剤注入やおとり丸太といった制御がどのように拡散に影響を与えるかについてシミュレーションした。

  • 光田 靖, 宮原 史浩, 谷山 雄介, 山岸 極, 伊藤 哲
    セッションID: P-064
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    近年、航空機やUAVによるLiDRA計測やSfMを活用した空中写真測量などにより、広域にわたって樹高を推定する技術が発展してきた。この技術が一般化したことにより、広域の森林資源をより高い精度で把握することができるようになった。ここで問題となるのが、各個体について樹高から胸高直径を推定する手法である。そこで本研究では樹高から胸高直径を推定する統計モデルの汎用性を検討するため、胸高直径推定モデルのパラメータがどのように変動するのかを検討した。宮崎県内3つの地域で複数のスギ人工林分において毎木調査を行い、拡張相対成長式によって樹高から直径を推定する統計モデルのパラメータを推定した。パラメータに地域レベル、林分レベル、プロットレベルの階層構造を持たせ、各レベルにおけるバラツキを検討したところ、林分レベルのバラツキ要因が最も重要であることが分かった。このことは、大規模データを用いた汎用的な胸高直径推定モデルを開発することが難しいことを示唆している。

  • 井上 昭夫, 前田 桐子, 池田 拓実
    セッションID: P-065
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    針葉樹における樹幹の発達にともなう細りの変化を解析した。資料にはスギとヒノキの樹幹解析データを用いた(東京大学農学部秩父演習林・東京大学農学部森林経理学研究室,演習林,1987)。細りの指標としては,TIFF(Taper Index based on Form-Factor)を用いた(Inoue et al., European Journal of Forest Research, 2021)。この指標は,幹材積と幹表面積の正形数との関係から求められるもので,タケにおける稈形の種間変異を定量できることが示されている。解析の結果,針葉樹における幹形は,林齢が高まるにつれて徐々に完満になることがわかった。このことは先行研究での知見に整合しており,TIFFの細り指標としての有用性を示唆していると考える。しかし,若齢の段階においては,TIFFのバラツキが大きかった。このことは,樹幹解析データの場合,若齢の段階においては,細り(樹幹直径)の測定箇所が少ないことによると考えられた。

  • 髙橋 正義, 加茂 憲一, 冨田 哲治, 西園 朋広, 北原 文章, 山田 祐亮, 鄭 峻介, 齋藤 英樹, 志水 克人, 鷹尾 元, 細田 ...
    セッションID: P-066
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

     林木の成長データを用いて将来を予測する際、しばしば非線形成長関数に成長データに当てはめ得られる成長モデルを使用する。同じ成長データを用いても当てはめる非線形成長関数によって予測値は大きく異なることから、適切な成長関数の選択が重要である。

    そこで関東中部地域で長期にモニタリングされている人工林収穫試験地データを用いて、様々な非線形成長関数を当てはめるとともに、最も適切な関数の選択について検討した。用いた関数は国内外で林木の成長にしばしば用いられる12種の非線形成長関数で、適切さの判断には情報量基準を用いることとし、スギ、ヒノキ、カラマツの長期モニタリングデータを使用した。最も適切な関数として選ばれる関数は、Chapman-Richards関数など国内でしばしば用いられる関数とは異なるものが多かった。また、間伐等の施業の有無によって選ばれる関数が異なる場合が見られた。これらを踏まえ、林木の成長予測に用いるべき非線形成長関数の選択について論考する。

  • 田中 邦宏, 小谷 英司
    セッションID: P-067
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

     近年、様々な測定機器・手法の進歩により林分の状況を単木レベルで把握することが可能になりつつあり、単木レベルでの施業も可能となりつつある。本研究では林内の局所密度と単木の直径成長の関係について検討した。

     調査地は秋田県男鹿市の固定試験地で、面積は0.23haである。31年生時に試験地を設定した。この時の本数密度は1,530本/ha、平均胸高直径は17.9cm、平均樹高は12.3mであった。立木位置図を用いてボロノイ分割を行い、ボロノイ多角形を用いて各林木に対する局所密度を算出した。局所密度LDiは解析対象木Niに隣接する林木の胸高断面積合計をGi、同じくNi隣接するボロノイ多角形の面積の合計をAiとしたとき、LDi= Gi/Ai(m2/ha)と定義した。

     31年生時を期首、36年生時を期末とし、各林木の期首の局所密度に対する定期直径成長量の関係を検討した結果、局所密度が高い箇所では定期直径成長量が小さかった一方、局所密度が低い箇所では定期直径成長量のばらつきが大きかった。この理由として、局所密度が高い箇所では成長量が局所密度によって抑えられる一方、局所密度が低い箇所では与えられた空間の中で個々の林木が発揮しうる成長を呈するためと考えられる。

  • 福本 桂子, 西園 朋広, 北原 文章
    セッションID: P-068
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    収穫予測は持続的な森林管理のために重要である。これまで、国内ではいくつかの収穫予測システムが開発され利用されてきた。国内で用いられている収穫予測システムの多くは林分レベルで成長予測を行うものであり、個体(単木)の成長を特定できるものではなかった。それゆえ、従来のシステムでは具体的な間伐木の選択ができないことや、残存木の成長推移を的確に把握できないという課題があった。そこで本研究では、単木レベルの収穫予測システムを開発する目的で、四国地方のスギ林を対象とした単木樹高成長モデル、単木直径成長モデル、単木枯死モデルを構築した。3つのモデルを組み合わせ、約50年間の単木の樹高・直径・立木幹材積を推定し、テストデータと比較した。その結果、林分平均樹高、直径、立木幹材積、直径分布の推移をおおよその精度で推定することができた。このことから、スギ林における単木レベルでの収穫予測は有効であると考えられた。その一方で、予測を重ねるたびに誤差は大きくなっていたことから、現段階では短・中期の成長予測に用いることが望ましいと考えられた。

  • Hiroshima Takuya, Wijenayake Pavithra Rangani
    セッションID: P-069
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    Survival analysis of tree populations is an important method applied to forest science researches such as prediction of dead trees, comparison of mortality trends by tree species, and assessment of tree mortality decline by insects and pathogens. The purpose of this study was to conduct multi-temporal survival analysis of a tree population in a natural forest stand. The study site was the permanent plot, of 0.26 ha, established in the secondary forest dominated by Abies firma, Tsuga sieboldii, and Quercus serrata at the University of Tokyo Chiba Forest in the southeastern part of the Boso peninsula, Japan. We set the two observation periods of 2000-2009 and 2012-2021, and collected tree age data for both living and dead trees in the two periods. The non-parametric survival probabilities were estimated and then their curves were compared in the two periods. The results showed that the survival curve significantly declined in the second period owing to the massive Oak Wilt diseases.

  • 北原 文章, 西園 朋広, 山田 祐亮
    セッションID: P-070
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    わが国では、2050年までにネットゼロエミッション達成という長期目標が発表された。そこで森林吸収源対策がネットゼロエミッション達成にどの程度貢献するのかを確認するために、新たな森林吸収源算定手法の検討を行った。新たな地上部バイオマス算定手法として、森林生態系多様性基礎調査データを用いて、林齢から蓄積を直接推定するモデル式を作成した。5つの樹種区分(スギ・ヒノキ・カラマツ・その他針葉樹・広葉樹)をそれぞれ地域で区分し(計20区分)、ミッチャーリッヒ式によるパラメータ推定(ロバスト推定)を行った。その結果、スギやヒノキでは高緯度地域ほど成長速度が遅く、成長上限値が大きい傾向にあった。しかし、使用したNFIデータにはばらつきが多いことから、今後外れ値の影響をさらに除外できる推定方法が必要である。また、間伐等の施業の影響を考慮したモデルの検討を今後行う予定である。

  • 豊田 信行
    セッションID: P-071
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

     愛媛県久万高原町にある、スギ人工同齢林を択伐林へ誘導する目標の試験地の林分変化を報告する。試験は愛媛大学の山本武、藤本幸司らにより開始され、愛媛県林業研究センターに引き継がれたが、その後調査は休止され、筆者が再開した。

     試験は、1961年に林齢31年、面積1.085haのスギ人工同齢林で開始され、択伐又は間伐を5年ごとに2001年まで40年間実施されたが、その後21年間は無間伐である。

     試験地設置16年後に周囲林分が皆伐・植栽された。本報告では試験地林縁から概ね10m内側の上木エリア0.2haと後継樹植栽ギャップ0.4haの計0.6haの林分構造の変化について、報告する。

     試験地は、設置時282m3/ha、平均DBH21cm、平均H15mであり、現在上木は90年生、立木材積1000~1500m3/ha、平均DBH50cm、平均H27m、Ry0.7~0.8である。後継樹は1個が0.01~0.05haのギャップに植栽され、林齢38~56年、立木材積70~600m3/ha、平均DBH10~30cm、平均H10~22m、Ry0.4~0.8である。上木とギャップとも現在は過密な状態と思われる。

  • 西園 朋広, 細田 和男, 福本 桂子, 山田 祐亮, 鄭 峻介, 北原 文章, 髙橋 正義, 志水 克人, 齋藤 英樹, 鷹尾 元
    セッションID: P-072
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    樹種間の成長傾向の違いを把握することを目的として、スギ・ヒノキ・カラマツ人工林における上層樹高の成長推移を樹種間で比較した。関東森林管理局・中部森林管理局の国有林に設置された固定試験地の長期継続調査データを解析に用いた。各樹種で得られた上層樹高の成長曲線に基づいて成長量の推移を比較した結果、スギとカラマツで初期成長量が大きく、特にカラマツの初期成長量が大きいことがわかった。ヒノキの初期成長量は他の2樹種に比べて小さかった。樹高成長量は加齢とともに減少した。しかし、その減少速度は樹種によって異なり、カラマツで大きく、ヒノキで小さかった。スギはその中間であった。高齢期の成長量には樹種間で大きな差はなかった。耐陰性の低い樹種では耐陰性の高い樹種よりも成長が減少し始める林齢が若く、減少速度が大きい傾向があると報告されており、スギ・ヒノキ・カラマツの成長推移の違いはこの知見と似ていた。

  • 重永 英年, 鹿又 秀聡, 北原 文章, 山田 祐亮, 鶴崎 幸, 武津 英太郎, 久保田 正裕
    セッションID: P-073
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    従来のシステム収穫表は、間伐計画や主伐収穫量の予測を目的として表計算ソフトのExcel等に実装され利用されてきた。主伐・再造林やスマート林業の推進を背景に、またオープンデータ化が進められている森林簿や航空レーザー計測のデータ活用を前提に、システム収穫表をGISに組み込んで機能を拡張し、林業現場が思考しながら主伐・再造林を効果的に進めるための施業評価ツールの開発を進めた。また、普及のハードルを下げるためツールの形態はフリーソフトであるQGISのプラグインとした。本プラグインでは森林簿のベクターデータと20mメッシュのスギ人工林の樹高および本数のラスターデータを利用する。ユーザーは数種のダイアログボックスを起動させ、クリックやテキストボックスへの各種条件の入力により、林小班の森林簿情報、地位指数曲線と密度管理図に基づく樹高成長曲線と林分材積、主伐収入と主伐後の地拵えから除伐までの造林初期コスト、除伐以降の間伐や主伐の収穫量、施業全体の内部収益率等を知ることができる。また、設定条件やグラフを含めた計算結果はExcelファイルに出力される。本発表では本プラグインの機能や動作概要を紹介する。

  • 壁谷 大介, 山川 博美, 武津 英太郎, 宇都木 玄
    セッションID: P-074
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    一般に植栽した苗木の成長は、微地形等の影響をうけるため、単一の植栽エリアのなかでも大きくばらつく。このため、植栽エリア内における苗木と下層植生との競合状況を細分化して評価することで、下刈り量の最適化が図れると考えられる。プロジェクト「成長に優れた苗木を活用した施業モデルの開発」では、成長に優れた苗木を活用した造林の省力化・低コスト化を目指しており、成長に優れた苗木の成長特性や競合植生の成長パタンに関する成果が得られてきている。そこで本研究では、施業現場でのプロジェクト成果の活用を目指して、DEMから求めたTWIのラスタ画像を元に小さな範囲での地形情報から苗木の成長を推定し、下草植生との競合状況を予測する事でその区域における下刈り回数を判断するwebプログラムを開発した。開発したプログラムは、OSやデバイスに依存しない。またプログラム本体はwebキャッシュでも稼働するため、オフライン環境でも利用可能であり、施行現場での状況判断ツールとしての活用が期待される。本研究ではさらに、林業の収益性について土地希望価(LEV)の観点から評価するWebプログラムについても紹介する。

  • 松英 恵吾, 八ツ藤 祐希
    セッションID: P-075
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    近年、計測機器の多様化、低コスト化および解析環境の充実により3次元点群(ポイントクラウド)データの活用が進んでいる。一般的にこれらのデータを取得するには新規の計測が必要で過去からのモニタリングに使用できない。一方、SfMによる点群データの生成は空中写真をソースにすることも可能である。本研究では1961年以降5年ごとに森林調査が実施されており樹木位置データが完備されている宇都宮大学農学部附属船生演習林ヒノキ成長量試験地(4林班ま小班)を対象地とした。対象地が含まれる1948年~2006年までの14時点の空中写真を使用しSfM処理により林冠面の3次元点群データを生成して林冠情報を定量化した。過去の空中写真を使用してSfM処理を行う際には、撮影高度の違い、白黒/カラーの違い、撮影時季の違いによる影の差、画質の差の影響により点群データの質の差が生じたものの結果的に3次元点群データによる林冠情報から幹材積推定式を算出することができた。本研究の結果により蓄積された空中写真データを活用することで過去からの森林資源量の推移を定量化することが可能であることが示唆された。

  • 飯田 玲奈, 奥泉 春夫, 太田 学志, 松英 恵吾, 河合 拓務
    セッションID: P-076
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

     森林経営計画制度に基づく間伐は、樹冠疎密度が10分の8以上の箇所において、定められた間伐率(材積間伐率35%)以下で、かつ5年以内に樹冠疎密度が10分の8以上に回復すること等の条件がある。間伐後の樹冠閉鎖を予測するためには、間伐後の樹冠が水平方向及び高さ方向に対してどのように伸長し、閉鎖していくのかを推測する手法の開発が必要である。人力による樹冠の調査は時間を要し、調査個体数を増やすことが困難である。このため、近年森林調査で用いられているUAVを活用し、個体の点群データから樹冠投影面積等を把握する研究が報告されている。しかし、スギ人工林において、樹冠の3Dモデルを構築し、立体的に樹冠成長を研究した事例はない。本研究では、樹冠が閉鎖した43年生スギ人工林を調査対象とし、材積間伐率約30%で間伐を行い、間伐後の樹冠を簡易型UAVにより空撮を行うことで立体的に樹冠伸長量の把握ができるか検討した。樹冠の点群データはボクセル化処理により定量化を行い、樹冠伸長量を算出した。間伐直後と間伐後1成長期目について樹冠伸長量を調べた結果、樹冠成長を立体的に把握できることが示された。

  • 矢田 豊, 木村 一也, 山路 佳奈, 上野 直人, 村上 良平
    セッションID: P-077
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

     DCHMを用いた針葉樹の樹高推定技術はほぼ確立・実用化されているが、広葉樹の樹高推定技術については、樹冠が丸く樹頂点検出が非常に困難であることなどから、報告例は多くない。演者らは、昨年の本大会において、広葉樹二次林内のコナラ上層木の樹冠面積合計値と平均樹高を用いて、コナラ上層木の材積およびきのこ原木採材本数を推定するための単純な数学モデルを提案した。このモデルを活用するためのアプリケーションソフトウェアにおいて樹高推定を自動的に行うことを目的として、UAV-SfMより生成したDCHMから広葉樹二次林内のコナラの上層樹高を推定するための手法を検討したので、報告する。

     石川県内の広葉樹二次林6林分においてUAV空撮により3D点群モデル(DSM)を生成した。国土地理院の数値地図等を用いて標高値の補正およびDCHMの生成を行い、レーザー測高器による樹高計測値との比較検討等を踏まえ、DCHM統計値とコナラ上層樹高との関係や、アプリケーションソフトウェアに実装するアルゴリズム等について、検討した。

     本研究は、生研支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業」の支援を受けて行った。

  • 井筒 憲司, 大原 譽丈, 木下 紗綺
    セッションID: P-078
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

     弊社では、木質バイオマス発電およびその周辺事業を自立可能な産業へ進化させることを重視し、山林事業においては持続可能な森林経営を目指している。そのためには森林資源の最適活用が不可欠となることから、資源量調査にも多角的に取り組んでいるところである。航空写真やLiDAR、ドローン画像を使って上空からの情報収集も可能だが、正確な資源量推計には森林内部の情報(林内立木の本数、胸高直径等)も必要となる。

     そこでの現地調査の効率化のため、株式会社FLIGHTSの協力のもと、自律飛行型ドローンskydioを使った森林内計測を試行している。2021年7月には動体計測研究会にて研究発表を行い、機体の優れた障害物回避能力を確認しつつ、標識座標の測位を省略し、長さ情報を付与するだけで同等の精度を確保できることを示した。例えば、標識間の距離がいくつかわかれば正確な三次元形状を復元できるので、運用が極めて容易になる。

     以降、将来的な機体の完全自律制御を前提として、実際の傾斜地の山林を計測するため複数の仮説と方法を提示し、実証実験にてその有効性を検証してきた。今回はその結果を、現機体の問題点や改善を要する点を含めて報告する。

  • 木下 紗綺, 井筒 憲司, 大原 譽丈, 佐野 晃一, 西家 綾子
    セッションID: P-079
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

     持続可能な森林経営には森林の現況を継続的にモニタリングし、成長量の推移を把握することが望まれる。森林の現況把握には現地調査のほか、空中写真や航空LiDAR測量結果による推定手法を用いるが、公開・販売データは希望時期に測量が実施されていないためにデータが存在しないことや、測量内容に依存するデータの質の問題で立木ごとの情報を把握できない場合があり、任意の時点及び場所において精度良く成長量の推定を行うことが難しい。

     本研究はUAVによる社有林の空中写真撮影とUAVレーザ計測を同時期に実施し、それぞれからDSMを作成して、国土交通省のDTMと組み合わせたDCHMを比較した。その結果、それぞれの計測手法由来のDSMに大きな差はなく、DTMが結果に影響していることが明らかになった。国土交通省のDTMを内挿することで結果精度を高められると考えられるため、レーザ計測からDTM(対象範囲の一部)を作成して真値とし、最もDCHMが真値に近づく内挿方法を検討した。作成したDTMと、2019年・2021年に撮影した空中写真由来DSMを用いてDCHMを作成して差分を確認することで、立木ごとに2時期の成長量を推定した結果を報告する。

  • 村上 拓彦, 塩野谷 瑞己
    セッションID: P-080
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    現在,旧薪炭ブナ林を用材林として有効利用しようという動きがあり,そのための資源量推定が必要とされている。バイオマス推定手法として樹冠径法が存在するが,ブナ林の樹冠サイズ推定を念頭におき,ブナ林の樹冠セグメンテーションに取り組んだので報告する。対象地は新潟県十日町市浦田地区に所在する旧薪炭ブナ林である。用いたUAVはMavic 2 Proである。空撮アプリであるLitchiを用いてオーバーラップ90%,サイドラップ90%で空撮を行った。UAV空撮データに対しSfM処理を施し,点群データ,DCHMに変換した。今回,2つの樹冠セグメンテーションを試した。ひとつはRのlidRパッケージを用いた方法である。lidRによる樹冠セグメンテーションでは関数segment_treesを使用し,アルゴリズムにはdalponte2016を採用した。もうひとつは,Valley Following法である。この手法は,樹冠と樹冠の間の谷部となっている境界部を抽出し,抽出されたデータにより囲まれた範囲を単木の樹冠領域として決定する手法である。今回,ArcGIS Proにおいてフォーカル統計などを組み合わせて実行した。真値となる樹冠ポリゴンを準備し,精度検証を行った。

  • 古家 直行
    セッションID: P-081
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    2018年9月の北海道胆振東部地震により大規模な斜面崩壊が発生し、甚大な被害をもたらした。被害は広範囲に及び、復旧に向けて、残存資源を把握し森林所有者の理解を得ながら、森林再生に向けた取組みを進めていくことが必要となっている。今回の災害は、1.被害が広域にわたり、2.崩壊地のアクセス困難、人員の不足等により、リモートセンシング技術を用いた簡便な残存資源の把握が現場で期待されており、UAV活用はこれらのニーズに合致することから、手法開発を進めた。北海道厚真町および安平町の崩壊地において、UAV空撮を実施し、色情報および数値表層モデルを用いて、被害木の線形をエッジ抽出により抽出した。崩壊地の上空からのUAV空撮では、残存被害木の一部が土壌や植生で覆われることが多く見られた。これらは断続した線形として認識されたため、線形抽出後に、隣接する線形の接続性をルールベースで確認し、同一の線形とされる場合に、これらを統合した。崩壊地の現場状況は被災前の資源状況や地形等により多様で、UAV空撮による把握には重なり合いや隣接林分との境界部での把握の課題が残ったが、簡易把握としての利用は可能で今後適用事例の収集を進める。

  • 溝口 知広, 橋本 爽香, 林 真優, 横田 沙也花, 皆川 昇, 塚野 大介, 小川 秀樹, 木村 憲一郎
    セッションID: P-082
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    近年,森林資源調査のためのUAVの活用が増加している.UAVでは比較的低コストに高分解能画像が取得できる利点がある.一般的には多数の空中写真からSfM処理にて3次元モデルを構築し,このモデルからオルソモザイク画像が作成される.調査項目の1つである樹種も,このオルソ画像上で判別することが通常である.しかしながらUAV空中写真から作成したオルソ画像は,風による葉の揺れや影の影響等のため,樹冠形状の再現性が低いことが指摘されている.

    そこで本研究では,深層学習による高精度な樹種判別のため,複雑な樹冠形状を詳細に撮影したUAV空中写真上でそれぞれ先に樹種判別を行い,その結果をオルソ画像上に集約する手法を提案する.さらに,UAV搭載レーザスキャナにより取得した点群も併用し,性質の異なる複数データを総合的に評価することによる判別精度の向上効果を評価することを目的とする.

  • 星川 健史, 坂倉 悠斗, 矢嶋 準, ザン ペイイー, 原田 丈也
    セッションID: P-083
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
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    航空機リモートセンシングによる森林の地上部バイオマスの推定は林冠高を利用したモデルが一般的である。しかし、この林冠高を利用したモデルは、単木材積や立木密度の推定精度に課題がある。UAV-LiDARは、低空・低速での飛行計測ができるので、広い視野角で、高密度の点群を得ることが可能である。特に、産業用無人ヘリコプターのように航続時間が長ければ広域の計測も可能である。広い視野角かつ高密度の点群は、林冠形状だけでなく林内の地物形状の計測を可能にする。本研究では、樹幹形状を直接計測するために必要なUAV-LiDAR計測の条件を明らかにすることを目的として、計測条件や林分条件と、樹幹計測の効率の関係を調査した。

    樹幹計測の効率は、樹幹付近における開空度を指標とした。調査は、樹幹付近から撮影した全天写真を解析することにより行い、国内の21の地域を対象とした。その結果、入射角度や樹冠疎密度が、樹幹の計測効率に大きく影響していることが明らかとなった。UAV-LiDARで樹幹形状を計測するためには、樹冠疎密度や入射角度に配慮して計測計画を立てる必要がある。

  • 加治佐 剛, 寺岡 行雄, 森脇 省吾
    セッションID: P-084
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    ドローン技術の発達により、ドローンレーザが普及し始めている。森林域では航空レーザ計測が主流であるが、ドローンレーザは即時性、詳細性が期待されている。詳細な点群データは従来の森林計測で対象としている項目以上の情報が得られると考えられる。本研究では、ドローンレーザで計測される点群データを用いて、スギ人工林の樹高計測を行い、その精度評価および取得データの特徴について考察する。

  • 齋藤 英樹, 西園 朋広, 髙橋 正義, 志水 克人, 山田 祐亮, 鄭 峻介, 田中 真哉
    セッションID: P-085
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的はUAVと地上レーザ(TLS)を用いてスギ林分の樹高を推定することである。対象地は群馬県の内野国有林内の間伐林分と無間伐林分である。UAVとTLSデータ取得に合わせ直径と樹高を測定した。調査林分の平均樹高と平均直径は、間伐区は22.2m、31.5㎝、無間伐区は22.5m、22.9cmであった。UAVから得られたDSMと、TLSから得られたDEMの差分からDCHMを作成し、これを利用して樹高を求めた。立木位置データは、TLSから得られるほかDCHMから樹頂点を抽出することでも得られる。間伐林分ではTLSから得られる樹木位置とUAVから得られる樹頂点を対応付けることが可能であり、単木で高い精度で樹高が推定できた。しかし、無間伐林分ではUAVで得られた写真から適切な樹冠面を示すDSMが作成できなかった。このため直径が約20㎝以下の樹木ではDCHMから得られた樹高は実測樹高を大きく下回り適切な測定値が得られなかった。これらのことから、間伐林分ではUAVとTLSを用いて樹高を適切に測定できるが、無間伐林分では被圧木など空中から測定できない樹木があることが明らかとなった。本研究は一般財団法人日本森林林業振興会の森林林業振興助成事業の助成を受けた。

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