耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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35 巻, 3 号
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原著
  • 橋本 健吾, 都築 建三, 岡崎 健, 阪上 雅史
    2017 年 35 巻 3 号 p. 251-255
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
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    はじめに:一般に好酸球性病変は両側性が多いが,末梢血好酸球(eosinophils: Eo)のスコアによっては片側性病変においてもJESREC基準を満たす症例が存在しうる。今回,片側性の慢性鼻副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis: CRS)の手術症例におけるJESREC基準について検討した。

    対象と方法:2012年4月から2016年9月の4年6か月間に初回の内視鏡下副鼻腔手術(ESS)を行った片側性CRS 162例を対象とした。男性73例,女性89例,平均年齢51.9歳。腫瘍・嚢胞・外傷・手術既往例を除いた。JESREC基準に準じて,鼻茸の有無,末梢血Eo(%),篩骨洞/上顎洞(E/M)比,Lund-Mackayによる各副鼻腔・OMCに嗅裂を加えたCTスコアを評価した。また,喘息およびアレルギー性鼻炎の合併の有無について検討した。

    結果:鼻茸(+)は19%(31例),末梢血Eo≦2%;46%(75例),2%<Eo≦5%;38%(61例),5%<Eo≦10%;12%(20例),10%<Eo;4%(6例)で,E/M≧1は6%(10例)であった。JESREC基準を満たした(11点以上)症例は2%(3/162例)であり,その疾患内訳は,真菌性副鼻腔炎1例,歯性上顎洞炎1例,慢性副鼻腔炎1例であった。いずれの3例も鼻茸を有し,末梢血Eoが10%を超え,鼻茸組織中Eo浸潤も高度であった。喘息合併は7%(12/192例),アレルギー性鼻炎合併は65%(76/117例)であった。

    考察:片側性鼻副鼻腔病変において,JESREC基準を満たした症例(2%)は,末梢血Eo増多で鼻茸組織中のEo浸潤も高度であり,片側性病変であっても,易再発性,難治性を考慮し,適切な術後治療および経過観察が必要と考えられた。

臨床ノート
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