脳神経外科と漢方
Online ISSN : 2758-1594
Print ISSN : 2189-5562
6 巻, 1 号
脳神経外科と漢方
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
原著
  • 佐野 貴志, 稲次 基希, 橋本 聡華, 高木 俊輔, 前原 健寿
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 6 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    シナプス小胞阻害抗てんかん薬であるレベチラセタム (LEV) は広く使用されているが,イライラ感などの精神症状により,しばしば継続が困難となる。我々はLEVの精神症状であるイライラ感に対して抑肝散を併用することで,安定したLEVの内服継続が可能かを検討した。対象は5例で,全例で抑肝散の投与によってイライラ感が減少し,Numerical Rating Scale (NRS) では76%と有意な改善を認めた。全例でLEVを減量することなく内服継続することが可能であり,LEVのイライラ感に対する抑肝散の有効性が確認された。

  • 矢野 昭正, 石川 泰成, 仲宗根 進
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 6 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    2019年本誌第5巻での症例報告以来,三叉神経痛に対する桂枝加朮附湯を中心とした漢方薬治療症例を重ねた。大後頭神経痛のような頚椎症性疼痛が修飾された痛みや舌咽神経痛にも漢方薬治療の幅を広げて,その有効性を検討した。三叉神経痛9例中8例で治療効果を認めた。そのうち症状改善し漢方薬治療を終了した3例は休止後も痛みのない状態が続いている。舌咽神経痛の1例は再来なく効果不明。大後頭神経痛の1例は駆瘀血剤使用の後に附子を含む漢方薬を使って痛みが取れた。桂枝加朮附湯を中心とした痛みに対する漢方薬治療で概ね満足できる治療効果が得られた。

  • 秋山 理, 原田 佳尚, 秋山 巖, 鈴木 まりお, 清水 勇三郎, 近藤 聡英
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 6 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    頭部打撲に伴う疼痛,腫脹は時に患者に不安や苦痛を与え治療が必要となる。治打撲一方は日本古来の漢方薬であり,外傷による腫脹や疼痛への有効性が報告されている。本研究では,頭部外傷による疼痛を伴う腫脹に対し治打撲一方を投与した症例を後方視的に検討しその有効性について検討した。その結果,治打撲一方の投与により疼痛の改善,腫脹面積の縮小が得られる傾向がみられた。副作用はなく短期の内服は安全と考えられた。ランダム化試験などの研究デザインにおける検討が必要と考えられた。

  • 郭 忠之
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 6 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    桂枝加朮附湯は,吉益東洞の経験方であり,四肢や躯幹の疼痛,関節痛や手足の痺れ感があり,寒冷に増強する証によい適応とされている。当科では,外来・入院にかかわらず患者の様々な疼痛に対し,痛みの部位や性状・手足の冷え・胃腸の状態・肩こりなどを問診し,舌診・腹診を行い,水痘・帯状疱疹罹患歴を確認し,証と考えられた場合に桂枝加朮附湯を処方した。その結果,神経痛・関節痛のみならず脳卒中後遺症に伴う諸症状など幅広い10症例に効果が認められた。奏功例を,東洋医学的見地から詳細に顧みて検討し,桂枝加朮附湯のよい適応について考察して報告する。

  • 柴田 靖, 石山 すみれ
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 6 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:五苓散投与前後の頭痛と気候の関係を詳細に検討した。

    対象:気候変化で頭痛が誘発されると訴える一次性頭痛例3例。

    方法:五苓散投与前後に詳細な頭痛ダイアリーを記録し,気象データと比較した。

    結果:頭痛回数は内服後に減少した。気圧,湿度,気温と頭痛発症は明らかな関係はみられなかった。

    結語:五苓散は特に雨天時頭痛に有効だが,単に気候の変化に対応するのみではなく,疼痛そのものの緩和が示唆された。

症例報告
編集後記
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