有機農業研究
Online ISSN : 2434-6217
Print ISSN : 1884-5665
13 巻, 1 号
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【巻頭言】
【特集】コロナ禍と有機農業(第21回大会 全体セッション1)
【論文】
  • 石井 圭一
    2021 年 13 巻 1 号 p. 31-42
    発行日: 2021/07/31
    公開日: 2021/09/14
    ジャーナル フリー

    日本では認証を取得する生産者の伸びが鈍い.欧米に比べて有機農産物・食品市場は一部の購買層の需要にのみに支えられ,顔の見える範囲の信頼が有効に機能する場面が多いことが考えられる.しかし,有機農業がいっそう飛躍する段階では,固有の歴史性と検査認証の両立が求められる.フランスの経験を見ると両者の両立は以下のようにまとめられる.第1に認証制度の原型が有機農業者らの活動と実践を通して形成されたこと,いわば,グラスルーツイノベーションとして生み出され,決してトップダウンによる制度形成ではない.第2に認証制度は有機農業に限定されない地理的表示等を含めた品質政策の一環をなし,生産者に広く普及していること,そして,生産者らが規則解釈に関わるとともに,少量多品種の野菜生産者でもアクセス可能な操作性を備えている.第3に有機農業の原則を特に重視するN&Pに見る参加型認証にあっても,情報の非対称性を解消するための最大限の透明性の確保と履行確認がその仕組みの第一義的特性であり,有機農業の歴史性と検査認証を両立させるたゆまない努力と試行錯誤の積み重ねにより成り立っていることである.

【技術論文】
  • 中川 祥治
    2021 年 13 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 2021/07/31
    公開日: 2021/09/14
    ジャーナル フリー

    有機栽培でよく用いられる各種有機質肥料のSO4-S放出量を,土壌混和ビン培養法によるインキュベーション試験で評価した.まず,植物質肥料,動物質肥料,家畜家禽糞堆肥および生ごみ堆肥からなる25種類の肥料の全S含量を測定し,SO4-S放出量を検討するには全S含量が少なすぎるものを除外したところ,17種類が残った.それら肥料を2mm以下に粗粉砕し,その全S1mg相当量を風乾した土壌(淡色黒ボク土)20gに混和後,最大容水量の60%の水を加えて30℃で0,4,8および12週にわたりインキュベートした.基本的にSO4-Sの経時的放出パターンは肥料によって異なり,複雑で一様ではなかった.ただし,4週が最高値であったものが9種類と半数以上あったこと,および0週から4週にかけて増加したものが14種類と多かったことが特徴的であった.4週において特にSO4-S放出量が多かった(3.00 g kg-1 FW以上)のは,菜種油粕,魚粕および発酵鶏糞であった.SO4-S放出量の実測値を従属変数,そしてSO4-S含量および非SO4-S含量を独立変数とした重回帰分析において,4,8および12週におけるR2は0.85以上であった.

【書評】
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