有機農業研究
Online ISSN : 2434-6217
Print ISSN : 1884-5665
14 巻, 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
【巻頭言】
【特集】公開シンポジウム「今なぜ,有機学校給食なのか?─国内外の事例から考える─」
【特集】農医連携と有機農業(第22回大会 全体セッション1)
【論文】
  • 中村 南美子, 冨永 輝, 石井 大介, 飯盛 葵, 松元 里志, 稲留 陽尉, 塩谷 克典, 赤井 克己, 大島 一郎, 中西 良孝, 髙 ...
    2022 年14 巻1 号 p. 52-62
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー

    本研究では,草地へのシカ侵入防止技術の開発に向けた基礎的知見を得ることを目的とし,5段張り電気柵と高さ120cmの金属製ネット柵を草地で併用する形で設置し,その侵入防止効果について侵入防止策を何ら講じなかった場合(1年目)と5段張り電気柵のみを設置した場合(2年目)との間で比較し,設置・維持にかかる労力やコストを含めて総合的に評価した.試験は2017年6月~2020年5月にかけての3年間,鹿児島大学農学部附属農場入来牧場内の場内の採草地(2 ha)で行われ,夏季(6~8月)には栽培ヒエ(Echinochloa utilis Ohwi et Yabuno:以下,ヒエ),冬季(10~5月)にはイタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)がそれぞれ栽培された.夏季および冬季におけるシカの侵入頭数は対照区で7.4および11.1頭/日,電柵区で1.6および6.1頭/日であったのに対し,併用区でいずれも0頭/日であった.電柵区では冬季にシカの電線間の通り抜けがみられ,併用区では柵を視認後,回避もしくは逃避する状況が多く観察された.対照および電柵区ではシカによる牧草の減収は大きく,それぞれ89~99%および32~92%を示したのに対し,併用区では採食被害がみられなかった.

    以上より,5段張り電気柵と高さ120cmの金属製ネット柵の併用は草地において高いシカ侵入防止効果を示し,野生動物を傷つけることなく,視覚的に侵入を防ぐことが示唆された.

【調査論文】
  • 丁 利憲
    2022 年14 巻1 号 p. 63-72
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー

    タネの図書館は1970年代以降,世界中で多く設置・運営されているインフォーマルシードシステムの一部である.欧米では[コミュニティ・シードバンク」と呼ばれていることも多い.タネの図書館が持つ機能と管理システムは国,地域,構成メンバーにより様々であるが,タネ保存という目的は共通している. 本研究では韓国におけるタネの図書館の特徴と,タネの図書館のインフォーマルシードシステムにおける位置づけを,現地調査と聞き取りにより明らかにし, 種子システムの全体の新しい理解と展開を示した. 韓国において1997年に起きた金融危機により,有力な国内種苗会社のほとんどが多国籍企業に買収され,韓国の作物遺伝資源も海外の多国籍企業に渡ることになった.2008年には米韓FTAが締結され,食への関心が高まり,食料主権・種子主権など権利意識が芽生えた.そのため,韓国のタネの図書館ではタネを保存することを食料主権運動と考えており,社会的な問題と関わっていると考えている.国際的な動向からみると韓国のタネの図書館はNGOでありながら,行政からの支援を受け入れると共に活動における官民協力が密接に行われていることから「セミフォーマルシードシステム」であると評価した.最近では,韓国のタネの図書館は食料主権とタネに関する伝統知識の保存と未来への伝達という新しい目的を元に活動しており,新しいインフォーマルシードシステムの展開につながる新しい動向であると考える.

【技術論文】
  • 中村 南美子, 小澤 優作, 冨永 輝, 石井 大介, 飯盛 葵, 松元 里志, 稲留 陽尉, 塩谷 克典, 赤井 克己, 大島 一郎, 中 ...
    2022 年14 巻1 号 p. 73-80
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー

    本研究では,5段張り電気柵(20,40,70,100および140cmに架線)を通電ならびに非通電状態にしたときのシカ侵入防止効果に及ぼす影響を検討した.実験装置内(400×600cm)に通電状態の5段張り電気柵を提示したところ,供試した2頭のシカ(メスおよびオス,2歳)は試験開始直後に警戒しながら口唇で電線に接触し,感電後,飼槽側に侵入または後退する状況が観察された.さらに,2~3回感電した後は電気柵を忌避するようになり,試験4日目には侵入阻止率が100%に達した.次に,非通電状態の5段張り電気柵を提示したところ,試験開始直後には電気柵を忌避する状況が確認されたものの,メスで4日目およびオスで19日目に口唇による電線への接触行動が確認され,7および43日目には架線間を通り抜ける状況がそれぞれ観察された.通り抜けは高さ40cmと70cmの架線間のみで観察され,侵入阻止率は徐々に低下し,最終的に20%以下を示した.以上より,5段張り電気柵は通電状態で高いシカ侵入防止効果を示すが,非通電状態になると感電を経験して電気柵を忌避しているシカであっても,1週間以内に架線間を通り抜けてしまうことが明らかとなり,電気柵の通電状態を保つための日常管理の重要性が示された.

【書評】
feedback
Top