不安症研究
Online ISSN : 2188-7586
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7 巻 , 1 号
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巻頭言
特集:社交不安症
  • 佐々木 司
    7 巻 (2015) 1 号 p. 3
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
  • 朝倉 聡
    7 巻 (2015) 1 号 p. 4-17
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    社交不安症(SAD)は,他者の注視を浴びる可能性のある社交場面に対する著しい恐怖または不安を特徴とし,自身の振る舞いや不安症状を見せることで,恥をかいたり恥ずかしい思いをしたり,拒絶されたり,他者の迷惑になったりして否定的な評価を受けることを恐れる病態とされる。DSM-5では特定する病型に関する記述が変更されており,DSM-IVでは,多くの社交状況で著しい恐怖感,不安感が出現し回避行動が多くなる全般性を特定することになっていたが,DSM-5では,行為状況のみに状況が限定されるものをパフォーマンス限局型と特定することになった。また,「他者の迷惑になるだろう」と恐れることが診断基準に加えられ,わが国の対人恐怖をSADとして診断する方向となった。しかし,自己臭恐怖,醜貌恐怖が日本語名のまま他の特定される強迫症および関連症に分類されることになったことは混乱をきたしやすい。SADの臨床症状評価尺度としてはLiebowitz Social Anxiety Scale (LSAS)が使用されることが多く,その日本語版であるLSAS-Jは信頼性,妥当性が検証され臨床試験にも使用されている。また,わが国の対人恐怖症状も含めて評価できる社交不安/対人恐怖評価尺度(Social Anxiety/Taijin-kyofu Scale; SATS)も紹介した。
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  • 音羽 健司, 森田 正哉
    7 巻 (2015) 1 号 p. 18-28
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    社交不安症(SAD)は社交場面や対人面において恐れや不安を抱き,それを回避することで日常生活に支障を生じる疾患である。DSM-III以降,欧米では多くの疫学研究が行われるようになり,有病率の高さが注目された。DSM-IVでは社会恐怖の診断名に「社会不安障害」が併記され,恐怖症から不安障害へと名称・概念の変遷に至った。また,他の精神疾患の併存率の高さも指摘されており,特にうつ病や自殺のリスクに注意が必要である。DSM-5で初めて,SADはこれまでの自己主体性の不安だけでなく他者主体性の症状が盛り込まれ,わが国固有の対人恐怖症とほぼ同一の疾患概念として捉えられるようになった。本邦ではいまだ「見逃されている」精神疾患であり,診断と治療が依然十分には行き届いているとはいえない。わが国特有の文化的背景も考慮に入れつつ,患者に最適な治療が届くようにSADを見落とさない努力を医療者側が行う必要がある。
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  • 塩入 俊樹
    7 巻 (2015) 1 号 p. 29-39
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    社交不安症(障害)(SAD)は,社会的状況に対する過度でコントロールできない恐怖または不安が生じ,そのためそのような状況を回避し,著しい社会機能障害を呈する不安症である。本稿では,SADの薬物療法について,最近の知見を中心に述べる。メタ解析やRCTによるエビデンスによると,SADの薬物療法としては,SSRIとSNRI, そしてRIMAがプラセボに比し有意に効果があるとされている。しかしながらわが国ではRIMAは使用できない。また最近承認され,SADに最もエビデンスがあるSNRIであるベンラファキシンもSADへの保険適応がないことから,わが国でのSADの薬物療法の中心は,現時点ではSSRIとなろう。
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  • 金井 嘉宏
    7 巻 (2015) 1 号 p. 40-51
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    近年のメタ分析の結果から,社交不安症に対するさまざまな薬物療法と精神療法の効果を比較した場合,Clark & WellsやHeimbergのモデルに基づく個人対象の認知行動療法が最も有効であることが示されている。一方,そのメタ分析において十分な治療効果が得られない患者の存在も指摘されており,さらなる治療の改善が求められている。社交不安症の認知行動療法では,恐れている社交場面への曝露が共通して含まれているが,その基礎理論となる恐怖条件づけと消去に関する認知神経科学の発展が著しい。本稿では,この認知神経科学の発展に基づいてエクスポージャーの改善を提唱しているCraskeのinhibitory learningや,不安症の治療法としても注目されているアクセプタンス&コミットメント・セラピーの観点から,社交不安症の認知行動療法の治療効果を高めるためのエッセンスをまとめることを目的とした。
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  • 横山 知加, 貝谷 久宣, 谷井 久志, 熊野 宏昭
    7 巻 (2015) 1 号 p. 52-63
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    本稿では,社交不安症(SAD)の脳構造と機能に関する研究について概説した。脳構造に関する研究では,SAD患者は扁桃体,海馬などの灰白質体積が小さいことに加えて,鉤状束における白質の構造的異常が報告されている。脳機能に関する研究では,スピーチ課題や否定的な顔表情に対して,SAD患者の扁桃体が過活動になることが一致した結果である。薬物療法や認知行動療法(CBT)によって,辺縁系および前頭前野領域の機能に変化が生じる。CBTに対する治療反応性の予測には,扁桃体などの皮質下領域でなく,視覚野や前頭前野(背外側,腹外側部)の皮質領域が関与する。また,安静時では扁桃体―眼窩皮質のネットワーク異常が示されている。これらの研究結果から,SADの脳病態に恐怖・不安に関わる辺縁系(扁桃体,海馬,前帯状皮質など)―前頭前野領域(腹内側部など)の構造および機能異常があると推察できる。
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  • 清水 栄司
    7 巻 (2015) 1 号 p. 64-71
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    うつ病やパニック症,PTSDなどの有病率は,女性が男性の約2倍高いが,社交不安症の有病率は,それほど性差がないのはなぜか。脳の性差から,うつ病や他の不安症群が,女性に多いことは理解しうる。社交不安症もうつ病と同様,扁桃体の過剰反応と前頭葉の機能不全が想定される。メス優位社会のボノボは,他者に対して寛容で,親愛の情を示す一方,オス優位社会のチンパンジーは,攻撃的,競争的である。アイ・コンタクトを調べると,ボノボは,チンパンジーよりも多いという研究が報告された(Kano et al., 2015)。アイ・コンタクトを避ける安全行動をしがちな社交不安症は,支配ヒエラルキーの中で,攻撃性が必要とされた男性優位社会の歴史と関連があるかもしれない。進化生物学的観点から,歴史的に,兵士にならなければならなかった男性に,戦場で不安症状をさらせば,戦死につながりうることから,競争社会の中で,敵に対する恐怖(対人恐怖)の圧力が強くかかり,女性と同様に,社交不安症になりやすい要因を考察した。
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原著
  • 入江 智也, 横光 健吾, 河村 麻果, 藤田 雅彦, 坂野 雄二
    7 巻 (2015) 1 号 p. 72-82
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,精神科外来における集団形式のアクセプタンス&コミットメント・セラピー(G-ACT)の効果を検討した。G-ACTは,アクセプタンスとマインドフルネスに関わるエクササイズとホームワーク,コミットメントと行動変容に関わるエクササイズとホームワークを含む全8セッションから構成された。分析は11名(男性5名,女性6名,平均年齢=38.73±5.93歳)を対象に,G-ACT実施前,実施後,実施後1カ月時点の,STAI, 認知的統制尺度の破局的思考の緩和因子,AAQ-IIの得点を用いて行われた。その結果,G-ACT実施後ならびに実施後1カ月時点において,不安症状の減少と心理的柔軟性の向上が認められた。また,それぞれの変化は中程度から大きな効果であった。以上のことから,G-ACTは不安症状に対して有効であり,本研究は不安症状を抱える患者に対するG-ACTの適用を支持する成果を示すものである。
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  • 宮崎 球一, 宮澤 敬子, 根建 金男
    7 巻 (2015) 1 号 p. 83-91
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,母親の育児不安の維持プロセスを,メタ認知療法(MCT)モデルをもとに検討することであった。MCTモデルをもとに,心配に関するメタ認知的信念が心配を強め,心配が育児不安を強める,というプロセスを想定したモデルを作成した。調査対象者は,保育所と幼稚園に子ども(3歳から5歳)を通わせている母親(N=188)であった。共分散構造分析の結果,心配に関するネガティブなメタ認知的信念は心配に強い正の影響を及ぼし,心配は育児不安に中程度の正の影響を及ぼすことが示された。ただし,育児不安尺度の下位因子である育児時間に関しては,弱い影響しか示されなかった。以上のことから,MCTモデルによる育児不安の維持プロセスが示された。
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症例報告
  • 石川 亮太郎
    7 巻 (2015) 1 号 p. 92-99
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル フリー
    強迫症の認知行動モデルによれば,確認強迫とは三つの脅威的解釈(脅威が生じる可能性/確率を高める解釈;実際に脅威が起こった場合の恐ろしさを高める解釈;脅威が起こった場合の自己責任を高く見積もる解釈)によって維持・増悪される。これらの脅威的解釈に加え,強迫症状を増悪させている安全行動に変化を与える認知行動療法(Cognitive Behavioural Therapy; CBT)は,強迫症を改善させるのに有効とされている。当該モデルに基づき,筆者(治療者)は,確認強迫の症状を持つ患者に対してCBTを行った。当該CBTの結果,本症例のObsessive Compulsive Inventoryによって測定された強迫症状は低減され,当該介入は本症例の症状を緩和させるのに有効だったと示唆された。特に脅威的解釈への介入は,強迫症状を低減させるだけでなく,暴露反応妨害法への動機づけを高めるのにも有効であった。さらに,メタファーを用いた心理教育は,CBTの複雑な概念の学習と記憶の定着を促進させるのに有効であったと示唆された。
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